【身元保証が無ければ生きていけない社会が到来】

「看護師は強かった！」

今、医療機関で働く看護師を悩ませる事案の1つに、身寄りの無い高齢者（お一人さま）に対する入院拒否がある。「お一人さま」に財務的な裏付けが無い場合、入院を拒否せざるを得ない事に精神的な苦痛を感じると言う。以前に取材したコンビニスタッフの話に似ている。コンビニスタッフはコンビニの食材廃棄ルールに基づいて、まだ十分に食べられるはずの食品を廃棄しなければならない日々が続き、精神を病むと言う話だったが、人を助ける仕事をしている看護師の場合には、その受け止め方はコンビニスタッフとは格段の差があるはずだ。高齢化社会になり、「お一人さま」問題が俄然クローズアップされて来た。昨年暮れにNHKでも「お一人さま」問題を取り上げ、1時間番組を2回にわたり放送したことでもその重要問題の深刻度が分かる。

入院費の支払いが出来ないことを理由に入院を断わらざるを得ない現状を厚労省に取材すると「医師は応召義務が有り、医療費の未払いがあっても診察拒否や入院拒否は出来ません」と言う。そのような現状では、医療法人側でも支払能力に不安のある入院患者や長期通院患者への対抗策として、「生活保護受給」の指導をする事になるのではないか。

閑話休題。

「日本介護事業連合会」（会長・愛知和男・元国務大臣）と言う組織がある。2014年に立ち上げているが、厚労省が主導しているのか、政治家や医療人や厚労省OBなど錚々たる名前が並ぶ。2年前から集中出版が主催する「日本の医療の未来を考える会」も連携をさせて頂いている。

この日本介護事業連合会が世の中の問題点を先取りする形で「お一人さま」問題に対応し、医療機関と連携を始めている。これも厚労省の意を受けているに違いないと思う｡数年前から、介護施設の入居拒否問題が、高齢者の増加とともに問題視されるようになった。人権問題を声高に叫んでも施設を運営する企業からすれば入居拒否は当然だろう。支払能力のない高齢者を入居させ、会社に損害が出た場合には株主からの追及が怖い。日本介護事業連合会は、医療機関や介護施設等の受け入れ側のスタンスでその問題解決に素早く取り組んでいる。幣誌『集中』でもお一人さま対応で積極的に日本介護事業連合会と連携を取る日本赤十字社医療センターや虎の門病院を取材している。先日、ひとりの看護師を取り上げました。彼女は看護大学を卒業後ずっと日本赤十字病院で看護師として勤務している方ですが、昨年の春に突然、余命宣告を受ける病が見つかりました。身寄りがないことから、日本赤十字社医療センターの紹介で日本介護事業連合会のお一人さま支援を活用し、「その日」が来た時の為の全ての準備を整える事が出来たと話してくれました。実に辛く悲しい取材でしたが、看護師は強かった。『集中』4月号に記事を掲載します。

【「集中」の是々非々 01】「大日本印刷北島社長の引責辞任」
【「集中」の是々非々 02】「悪辣な看護師派遣ビジネスで重い医療法人の財務負担」
【「集中」の是々非々 03】「日大田中理事長体制を守ってきた責任は文部科学省にある！」
【「集中」の是々非々 04】「東京にタクシーがいない・東京オリンピックにむけて大丈夫？」
【「集中」の是々非々 05】「大日本印刷北島社長の引責辞任（2）」
【「集中」の是々非々 06】「企業検診の義務化と予防医学を目指す」
【「集中」の是々非々 07】 ｢新型コロナウイルス対策｣
【「集中」の是々非々 08】「NIPT（出生前遺伝学的検査）は知る権利の一つだ」
【「集中」の是々非々 09】「地に落ちた権威・WHO」
【「集中」の是々非々 10】「世界が疑う日本発の情報」
【「集中」の是々非々 11】「新総裁候補に期待すること」
【「集中」の是々非々 12】「ファンド資金が医療法人に流入」
【「集中」の是々非々 13】「替わらない厚労省と変われない医師」
【「集中」の是々非々 14】「オンライン診療の導入を」
【「集中」の是々非々 15】「日本初の医療格付がスタート」
【「集中」の是々非々 16】「日本薬剤師連盟が頭を抱える松本純議員の行状」
【「集中」の是々非々 17】「米国医師はカルテと処方箋の記載に全精力を傾ける」
【「集中」の是々非々 18】「米国史上で最悪の医薬事件の顛末」
【「集中」の是々非々 19】「新型コロナ感染拡大の中で見る国家力」
【「集中」の是々非々 20】「尾身発言は立派の一語」
【「集中」の是々非々 21】「大学医学部の2023年問題」
【「集中」の是々非々 22】「日本の大学総長選挙が海外で注目に」
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【「集中」の是々非々 24】「病院は不正企業の稼ぎ場なのか」
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【「集中」の是々非々 29】「当事者になって見えたもの」
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