SHUCHU PUBLISHING

病院経営者のための会員制情報紙/集中出版株式会社

未来の会

【「集中」の是々非々 51 】

【「集中」の是々非々  51 】

【世界時もグリニッジが基準】

「英国独自の基準で作る世界大学ランキング」

ロンドン郊外にある小さなグリニッジ時計台は世界に向け世界時を伝える役目を担う。これを世界に認めさせた事を考えると凄い話だ。時を告げるだけでなく、英国発祥と言われるモノは数多く有る。スポーツではラグビー、サッカー、クリケット、ポロ、ゴルフ、テニス、クレー射撃。日本人が大好きな温泉もバースの町が温泉発祥の地と言われる。サンドウイッチの語源もそうだ。サンドウイッチ伯爵がカードゲームを続けながら食べられる様にパンにハムを挟んで作らせた軽食。いつしかカードゲーム好きなお洒落な伯爵の名前が付いた軽食が世界の人々が愛する食べ物になった。古き良き時代、優雅で暇な紳士淑女が集う午餐のパーティーで食されたアフタヌーンティーも然りだ。これら全てが栄華を誇った英国の名残だ。また、米国ハーバード大学もマサチューセッツ工科大学もボストンのケンブリッジ市にある。移民した面々が祖国を想い、ケンブリッジの名称を名門大学の場所に付けたのだろう。

栄枯盛衰、現在の英国経済は沈んだものの、世の中を俯瞰し、世界を支配下に置くための能力、英国風思考力は当時のまま未だに健在だ。

世界大学ランキングもその一つだ。このランキングは英国のTHE(Times Higher Education)が2004年に開始したランキングで、20年を経た今、世界中の一流大学が一喜一憂するまでになった。見事だ。THEは高等教育に携わり50年の歴史があるが、あくまでも一出版社の事業だ。彼等は世界中に拡散されている膨大な量の大学関連情報を収集し、それをデータ化している。その中でも一番重要なポイントと言われるのが、大学教授らが発表する論文だ。2004年の開始当時に、彼等の幹部の一人から弊社に日本の医科大学の情報収集についての相談が有った。当時、世界ランキングと言えば、レストランの格付のミシュランだったが、そのデータ収集に掛ける意気込みはミシュランとは桁違いだった事を覚えている。そんな彼等が20年後には世界の一流大学が右往左往するようなランキングの発表をするまでになった事に敬意を表しているが、審査項目の中身についても英国ファースト過ぎる事を懸念していた。その一つが英語の論文だった。多くの日本人研究者が苦手な英語での論文数が世界大学ランキングの審査で重要視される現状では、日本にとっては苦しい競争になってしまう。今の中学・高校・大学の日本の英語教育では永遠に勝ち目はない。今のままでは世界のベスト50にも入れなくなる。中国の清華大学や北京大学がアジアのトップにあるが、この論文数のお陰だ。戦後、まだまだ先進国が数カ国しかなかった時代は過ぎ、新興国も経済力を高め、世界に追い付け追い越せを国是とする中で、中国は躊躇無く英語教育を最優先した。それは世界と互角に戦うためには卓越した英語力が必要であり、英語力が世界への扉を開く事を学んでいたからだ。英語力が最大の武器と知る英国は、この武器を最大限に活用し、世界に影響力を行使する。その一つが英語力を重視する世界大学ランキングであり、今では、このランキングが国際基準になっている。英国の世界を俯瞰する能力は未だに健在だ。今後、再び、日本の大学が世界と吾して行くためには、教育現場での英語教育の再構築と同時に、日本が得意な分野を審査項目に加えさせる政治力・交渉力も重要だ。その項目が追加されると日本の大学のランキングは上位に来るはずだ。世界に対して物が言える日本であって欲しいと願う。

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