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未来の会

【「集中」の是々非々 ㊳】 

【「集中」の是々非々 ㊳】 

内部告発には迅速な対応が必要

「院内での内部通報制度の見直し」

静岡県裾野市の園児が虐待を受け、3人の保育士が逮捕された。半年程前に、園は虐待について内部通報を受けていたと言う。

弊社への内部告発は「集中格付」の開始で一気に増えた。

弊社は今年9月から「集中格付・大学医学部版」を開始した。防衛医大を除く81大学医学部の情報を収集し、格付をして公表するというものだ。何故、防衛医大を格付しないのかの問い合わせが複数あるので、ここで説明をしたいと思うが、防衛医大を除外した理由は、監督官庁から、その情報の一部は国家機密に相当するとの話を受けた事に有る。やはり、防衛医大の情報が開示されると国益に反するという理由は、このご時世、至極最もだと弊社の判断で除外した。

この格付が始まり、実に多くの内部告発が届く。ここで告発例を2つ挙げる。1つは某大学医学部教授の法令違反とも受け取れる行為について。この告発者は文科省へも告発をしているが、文科省が実に丁寧に告発者とやり取りをしている事に驚く。

やはり内部告発制度があるために、このような丁寧な対応をしているに違いない。逆にもっと驚く事は、文科省からの指摘を受けた大学の対応が非常に緩い事だ。もう1つは、某大学医学部教授からの告発で、ある教授のアカデミックハラスメントついてだ。部下の作成した論文を全て自分の手によるものとして発表しているとあり、ご丁寧に論文作成者の抗議文も添付されている。このケースでは、教授へは一切、アカハラについて抗議をしていないという事に驚いた。

日本では、内部告発は組織への裏切りととられる面が強く、同時に企業の内部情報を漏洩したとして懲戒処分の対象になる恐れもあった。一方、海外で1989年に米国では「Whistleblower Protection Act(内部告発者保護法)」が、英国では「Public Interest Disclosure Act(公益情報開示法)」が制定されている。日本は対応の遅れを海外から批判されていたが、2004年に海外の法律を参考にして出来上がった「公益通報者保護法」が成立し、告発者の保護が可能になった。当然ながら保護される条件としては「真実性・真実相当性」「目的の公益性」「正当性」が求められている。また「クリーンハンズの原則(自分の手がきれいでないと、法の保護は受けられないという原則)」も求められる。

園児虐待の内部通報への対応が出来ていたとしたら、逮捕者を出す事無く、穏便な解決が出来ていたのではないか。「内部告発への対応はトップ案件」とする内部規定があれば中間管理職が苦心・苦慮をする事は無くなる。消火活動は早いが一番だ。

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