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病院経営者のための会員制情報紙/集中出版株式会社

未来の会

【「集中」の是々非々 ㉗ 】

【「集中」の是々非々 ㉗  】

「コロナ幽霊病棟補助金の話題が拡散中」

「補助金は人件費へ回すべし」          

複数の大学病院やJCHO、日本赤十字社医療センターなどの医療法人が受け取った多額のコロナ補助金に驚く人は多い。過去の決算書から見て20年分、30年分の利益に相当する巨額な補助金を受け取っている医療法人もある。このような巨額の補助金話にマスコミが飛びつき、あっと言う間に情報が拡散され続けている。弊社にも複数のマスコミから補助金の説明を求める取材が入った。コロナ禍で経営が悪化する航空業界や観光業界、飲食業界からは怨嗟の声が上がり、コロナ禍で頑張り続ける医療機関へ感謝の声が消えつつある。また、この情報により、医師や看護師らの病院に対する貢献度に変化が出てきた。その理由は、①病院経営者から補助金の説明がなかった事。②補助金の大半が内部留保に回り、人件費へ回ったのは2~3%と微々たる数字でしかない事だ。これまでコロナ禍最前線で献身的に医療に取り組んできた医師や看護師らだがこの事実を知り、心に変化が起きている。都内大病院の医師は「皆で頑張ろうと、ここまでやって来たが、やる気が失せた」と言う。1990年後半から厚労省は「患者満足度を高める医療」を推奨し、医療法人へは「医師満足度や看護師満足度を高める環境作り」を提唱してきたが、まさか、補助金支給がこの動きにブレーキを掛ける結果になる事は想定外だったに違いない。今からでも遅くはない、医療法人は受け取った補助金を人件費に振り分けるべきだ。そもそも、内部留保は「日本経済沈没の30年」の最大の要因だと言う経済評論家もいる。岸田政権は企業の膨らんだ内部留保を吐き出す政策を模索している。海外では内部留保にせっせと取り組む経営者は二流・三流と言われる。投資する事が評価の1つになっている海外では、投資も出来ない経営者と言う烙印を押されてしまう。過去の繰越赤字などを考えずに単純な話として、補助金を内部留保すれば、半分は税金として国庫に流れて行く。同じ国庫に返すのであれば、人件費として個人に支給し、個人の所得税として国庫へ返すほうが、遙かに効果のある補助金の使い方になる。また、コロナボーナスを受け取った医師や看護師らの満足度は上がり、病院への貢献度も高くなり、患者へ提供される医療の質もより高まる。ボーナスを受け取った個人消費者は、家族と買い物などをする事で家庭内の貢献度も上がり、何よりもコロナ禍で疲弊する経済をも動かしてくれる。全てがウィンウィンの状況になる。内部留保された資金は何も生み出さない。

巨額の補助金で院内からクレームが付くのはナンセンスだ。国からの補助金で院内の満足度を上げる。これが補助金の1番の有効活用に違いない。

 

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2024年3月8日
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