SHUCHU PUBLISHING

病院経営者のための会員制情報紙/集中出版株式会社

未来の会

【「集中」の是々非々 ㉚ 】

【「集中」の是々非々 ㉚ 】

「ジェンダー平等は時代の趨勢」

【国際基準と言う名の黒船の襲来再び】

  弊社主催の「日本の医療の未来を考える会」で、秋田大学大学院野村恭子教授による「医療界におけるジェンダー平等」の講演会を年初に開催した。この講演内容は非常に勉強になった。と言うのは、筆者の認識とかなりかけ離れている内容だったからだ。これが今日の世界ではノーマルなのか、日本もこれを目差して行かなければならないのかと驚いた。これに似た感想を持ったのが、同じく以前開催した同勉強会の「医学界における働き方改革」だった。講師の厚生労働省の先生が「これからは働く時間はキチンと制限される」などと働き方改革の仕組みを丁寧に説明をしたが、質疑応答の時間になると、ある外科医から「そんな事まで厚労省に指導されたくない!俺達の前には患者がいるのだから」と反論する場面もあった。外科医からすれば当然なのだろう。しかし、海外では外科手術をしている外科医も時間になると医師が交代する場合もあると言う。どちらも日本には馴染まないシステムだが、これが国際基準だから遵守して下さいと言う。まさに、この国際基準は水戸黄門の印籠だ。自分が納得するしないではなく、それが国際社会の一員の責務だと言う。日本の経済界でも黒船の襲来があった。20年前の話だが、日本の上場会社は日本式会計基準から国際会計基準の導入を迫られた。日本式の会計基準では、財務内容が理解出来ないからと指摘を受けた。日本企業が世界を席巻していた頃には、彼らは、日本企業に投資をしたいがために、自らが日本式会計基準を勉強し、彼らの国際会計基準に照らし合わせ、投資をしていたが、バブル崩壊すると、落ち込んで行く日本企業の財務内容を手間暇掛けて調べるのは無駄だと考え、国際会計基準の導入を迫った。アングロサクソンは実に分かりやすい。上場会社は海外からの投資資金を必要としていたので、莫大な経費を使い会計基準を変えた。経済界は一時的にはパニックに陥ったが、国際会計基準の導入で海外企業と同じ土俵で評価をされるようになった。

日本の医療法人の経営者の多くは戦後の独特の教育を受け、成功体験もあり、この国際基準をすんなりと受け止める事が難しいと思慮する。「清濁併せ飲む」ではないが、飲み込み、理解するように努める以外、方法はないようだ。

今、国際基準を無視する事は、鎖国をするようなもので、現実的ではない。

訴訟なども国際基準に沿って判決が成されていく。3月16日に新潟地裁で「研修医自殺で賠償命令」の新聞記事があった。自殺の理由は長時間労働が原因とされた。裁判官は自身の出す判決に世論がどう評価・反応するかを気にするし、裁判官はどちらが弱者かを考える。

今後、このような医療訴訟は国際基準に沿った判決が続くだろう。既に、攻める原告側の弁護士はその点を熟知している。そうなると医療過誤やセクハラ・パワハラ・アカハラに関する訴訟は厳しい対応が予想される。「医療法人冬の時代」が来る。その対策の為には、心では理解出来ない手法でも、国際基準に沿った手法を取り入れて行く必要がある。

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