
監督官庁の厚労省は監督責任が有る事を忘れるな
障害者法定雇用率が年7月1日から、民間企業では2・7%へ引き上げられ、企業の範囲も従業員40人以上から37・5人以上へ拡大された。又、対象企業は雇用状況を確認する基準日である6月1日現在の障害者雇用状況をハローワークへ報告しなければならない。同年の報告は法定雇用率の引き上げ前を基準とする為、従業員40人以上の企業が対象となる。常用労働者が100人を超える企業が法定雇用率↘を達成出来なかった場合、不足する障害者1人に付き月額5万円の障害者雇用納付金を支払う。この5万円は罰金ではないが、金を支払えば障害者を雇用しなくても構わないという制度でもない。納付金は、障害者を雇用している企業と雇用していない企業との経済的負担を調整し、障害者雇用を促進する為の仕組みだ。
数字合わせに使われる障害者雇用
企業に課された雇用義務が消える訳ではない。ところが、制度上の数字だけを整え、障害者を共に↘働く仲間として迎え入れようとしない企業が後を絶たない。読売新聞は、障害者雇用ビジネスを手掛けるサンクスラボを介して障害者を雇用した一部企業が、国への報告に際し、本来は該当しない最長1年契約の障害者を「1年を超えて雇用する見込み」が有る常用雇用労働者に含め、法定雇用率を達成したかの様に報告していた疑いを報じた。障害者は企業の本社や事業所ではなく、サンクスラボが運営する福祉事業所等で働き、企業との1年契約が終われば退職し、別の障害者と交代する。企業は法定雇用率を達成したという数字を得て、仲介会社は利用料↖を得る。しかし、障害者には安定した職場も、能力を伸ばす機会も残らない。これを障害者雇用と呼べるのか。日本で唯一の障害者の労働組合である「ハートフルユニオン」を取材すると、更に耳を疑う事例を聞いた。或る医療系企業は、6月1日時点の雇用状況を報告した直後、雇用していた障害者50人全員を解雇したという。同ユニオンは「不足する50人分の納付金は月額250万円、年間3000万円となる。それを逃れる為の基準日だけ人数を揃える雇用は、一種の詐欺ではないか」と怒る。この証言が事実であれば、制度の趣旨を踏みにじる悪質な行為だ。行政は6月1日時点の報告書だけを見るのではなく、その前後で雇用人数が不自然に増減していないか、契約更新の実態が有るか、障害者が何処で、どの様な仕事をしているか迄調査するべきだ。企業側の負担や人手不足を検証する事は必要である。しかし、企業にとって雇用率が高いか低いかという議論だけで終われば、肝心の障害者が置き去りになる。障害者雇用は企業にとっての罰ゲームではない。納付金と人件費を比較し、安い方を選ぶ経営判断でもない。企業は社会の公器である。利益を上げ、税金を納めるのと同じ様に、障害の有る人に働く場を開く事も社会的責任である。ハートフルユニオンの活動を取材すると、障害者への向き合い方を通して企業の本当の姿が見えてくる。採用後も仕事を教え、能力を引き出し、長く働ける環境を整える企業が有る。一方で、基準日の数字を作る為だけに雇い、用が済めば切り捨てる企業も有る。必要なのは、雇用率という数字を達成したとの説明ではない。障害の有る人と共に働く覚悟だ。『集中』は障害者雇用推進を応援し、編集業務の一部をA型事業所へ発注している。障害の有る人が誇りを持って働ける社会が実現する様、企業の実態を問い続ける。同時に厚生労働省による監督や指導が十分に機能しているのか? 企業に課す負荷はあまりにも大きい。制度を所管する行政機関には毅然とした態度で臨んで頂きたい。



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