「新型コロナ感染拡大の中で見る国家力」
【世界から周回遅れになる前にすべきこと】
日本は一流の国家なのか?はたまた二流なのか?
コロナ禍の前の評価は国家力は1流、医療も1流、経済は1.5流だった。
今回の新型コロナ感染拡大が続くの中で日本は海外から2つの異なる評価を得た。1つ目は圧倒的な感染陽性者数が低かった事から、日本の公衆衛生力が高く評価された。逆に世界一の国家力を誇るアメリカが悲惨な状態を露わにした。貧富の差の存在が大きく、1つの国の中に1流と3流が存在する事を露呈した。コロナ禍が進み、海外から日本のPCR検査数が桁違いに少ない事を指摘され、低い陽性患者数は作られた数字と疑われた。そしてこの疑いを晴らす手段が無いまま今日に至る。
内政不干渉なる言葉は政治の世界の言葉であり、経済や医療は国際ルールで評価される。日本だけが日本ルールを論じても世界から相手にされない。戦後の話だ。「フジヤマのトビウオ」と言われた国民的水泳選手古橋をご記憶の方も多いだろう。世界記録を連発したものの戦犯国として国際試合に参加が許されなかった事から日本のプールは短いに違いないと無視された話。しかし、国際水連に復帰が許された後、古橋は世界選手権に出場し海外選手を圧倒。一躍「世界のトビウオ」と高い評価を得た。
最近、医学部教育でも同じ事が起きた。世界医学教育連盟が提示したいわゆる「23年問題」だ。「2023年以降、医学教育の国際的認証を受けている医学部の卒業生以外には明告でも医師資格を与えない」と宣言した。日本の医学部は慌てて現在の教育内容を米国の基準に合わる作業を開始した。
世界は同一のルールで競う事で評価を共有する事が可能にしている。よって、理由はあるにしてもPCR検査数を抑える事で低い感染陽性者数を世界に発信し続けてしまった日本の医療不信は挽回の余地はない。このミスリードされた医療不信は東京オリンピックの開催にも影響を及ぼしている。ケンブリッジ大学やパリ大学の教授らは遠慮しつつも東京オリンピックは霞んで見えると言う。
今、国家力の観点から見て、一番問題な事はワクチンが未だに微量しか届かない事とその理由だ。これまで日本はワクチンの開発を諦め、海外メーカーのワクチンに依存してきた。それは国の考えであり、ワクチン輸入依存政策は仕方が無かった。しかし、ここからが問題だ。その政策により日本はワクチンの大量購入国として世界の製薬メーカーの超得意先だったはずだ。超得意先であるはずの日本からの購入依頼は後回しとされた。厚労省はワクチン争奪戦を過去の大量購入経験から甘く見た。結果、大得意先だったはずの日本は国家として相手から舐められた。これは国家力の観点からしても危機感を持つべきだ。厚労省の失態で済ます話では無い。国家の危機管理としてアングロサクソンの思考をもっと深く勉強するべきだ。
安倍前総理もコロナ対策の中で厚労省には幾度となく煮え湯を飲まされ続けて来たが、菅総理も同じ状況に置かれた。日本はただワクチンの到着をひたすら待ち続ける考えだが、目を世界に向けるとワクチンを巡る国力を賭けた動きがある。
猛威を振るうブラジルを見た中国は強かな交渉をサンパウロ州知事と行い、州知事はブラジル大統領の方針に逆らい独自ルートで中国ワクチン「コロナバック」を大量購入した。大統領の逆鱗に触れたもののワクチンを早期に確保した事から州知事は世論の高い評価を得た。その後、激怒したはずの大統領も政府ではワクチン確保が十分に出来なかった事から、州知事から譲り受ける不様な姿を国民に晒した。製薬大国インドも国産ワクチン「コパクシン」で海外へ影響力を強めている。プーチン大統領も「スプートニクV」と命名をしたワクチンで世界にロシアの製薬開発力を誇示している。世界のトップ国はワクチンビジネスを強烈に繰り広げる。彼らは国家力を高めるために必死なのだ。
米国の「USニュース&ワールドレポート」誌の行う「世界の国家力ランキング」で日本は世界7位だ。1990年は米国・ロシアに次いで3位だったと記憶するが、ここまで下がってしまった。因みに上位から米国・ロシア・中国・ドイツ・イギリス・フランス、そして日本となっている。コロナ禍が過ぎ去った後、日本の国家力評価はどう変化するのか?
追伸。
コロナ禍の中で国民はこれからの日本の医療を厚労省任せにするのでは「国民の健康」は危険に晒されると知った。世界から周回遅れの医療が当たり前となる前に医学界の強いリーダーシップを求めたい。厚労省離れをして、医学界自身で「患者本位」「患者満足度」の医療・医学を作り上げる事を提案したい。間違いなく世論の支持が得られるはずだ。そして方法もある。
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