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第76回 厚労省人事ウォッチング 霞が関にも蔓延る「裏金」問題

第76回 厚労省人事ウォッチング 霞が関にも蔓延る「裏金」問題

 自民党の最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)が政治資金パーティー収入の一部を裏金化したとされ、閣僚や党幹部が辞任する等政界は大揺れだ。永田町での錬金術に世間の注目が集まっているが、取材を進めて行くと霞が関界隈でも表に出せない「裏金」のやり取りが存在しているという。どの様なカラクリなのか。証言を基に実態に迫りたい。

 与党国会議員の秘書が証言するのは、年末年始等での挨拶の際に「裏金」のやり取りをするという。この秘書は「各省庁の局長級に部屋で挨拶する去り際にポケットに忍ばせたビール券を渡すのです。困った様な態度を取る人も居ますが、すんなり受け取ってくれる人が多いですよ。勿論、受け取らない官僚もいますが少数派です」と明かす。

 ビール券は一般的に商品券よりも換金率が低く、受け取る側の罪悪感が多少和らぐ効果が有ると見られる。ビール券の出所は明かさなかったが、永田町近くの酒屋でビールと交換出来る為、「部下の方と一緒にお飲み下さい」(前出の秘書)と渡す名目も作り易い。ビール券は果たしてどれ位の額に上るのか。「お世話になった内容で差を付けます。事務次官など上級の幹部となれば数万円では済まない場合も有ります」と件の秘書は続ける。

 政治家が官僚に「お世話」を依頼する事といえば地元の陳情だ。市町村行政なら保育園の優先的な入園の取り計らいといった個人レベルのものから、国政では各種特区に於ける特定の市町村の認定など幅広い。こうした地元支援者からの陳情を行政に繋ぐのが、秘書の役目の1つだ。多くの陳情を如何に早く処理出来るかが秘書の有能さを図る指標だとされる。

 受け取る側の官僚の心理はどうか。或る省庁の幹部経験者は「お世話になっている政治家の秘書から商品券やビール券等を贈られるケースはよく有る事。陳情のお礼という意味も有ると思う。その場で突き返しても郵送される事も有るので困ってしまう。いよいよ断れずに最終的には受け取ってしまう事も…」と言葉を濁す。

 官僚側としても与党の政治家からの陳情をこなす事で「貸し」を作る事が出来る。一方で、実現したい政策の後ろ盾になって業界団体の反対を抑えて貰う等、互いに「ウィンウィン」の関係を作る事が可能になる。ビール券や商品券の受け取りはこうした関係の中から生まれて来たものといえる。

 「癒着」の最たるものだが、両者に罪悪感は無いのか。秘書は「地元の支援者の要望に応えており、必要経費の様なもの」と悪びれない。対して、官僚側には後ろめたさが有る。前出の元官僚は「やっぱり、本来は受け取るのは望ましくないもの。議員自ら渡しに来られたり、本当に断れないケースも多々有る。断ると相手はメンツを潰されたと思い兼ねない」と漏らす。

 政治家の秘書では無いが、厚生労働省では過去に業界団体から飲食接待を受けていたとして問題になったケースが有った。大手紙記者は「医政局長で退任した或る幹部は、製薬業界から繰り返し飲食接待されていたとして処分を受けた事が有る」と明かす。

 永田町だけで無く、霞が関にも古い慣習が蔓延っており、政官財による癒着の構図を今後も温存する事は望ましくないだろう。自民党の長期政権が招いた結果といえるが、安倍派の裏金問題を契機にこうした構造にもメスを入れ、一掃してほしいものだ。

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