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未来の会

245 岡山大学病院 (岡山県岡山市)

245 岡山大学病院 (岡山県岡山市)

長い伝統とアートで地域医療を支える
245 岡山大学病院 (岡山県岡山市)

緒方洪庵ら多くの医学者や蘭学者を輩出した岡山県は江戸時代から日本の医療先進地域だった。岡山大学病院の源流である岡山藩医学館大病院が設立されたのは1870(明治3)年。以来150年以上、地域医療の中核として発展して来た。

岡山大学病院でホスピタルアートが導入されたのは2022年。以前から職員の間では、手術室の在る総合診療棟と入院棟を繋ぐ3階通路と、総合診療棟東棟4階のICU(集中治療室)前の待合スペースについて、「一面が白い壁で、あまりに殺風景ではないか」という声が上がっていた。18年、院内美化を通じてより良いホスピタリティを実現する事を目指し、院内の多職種が意見を出し合う「院内美化検討ワーキング」が立ち上がったのを切っ掛けに、病院全体の環境についての検討が始まった。その中で、患者や家族の気持ちを和ませるアートを取り入れてはどうかという提案が有った。

第1期では、院内で売店等を運営する一般財団法人積善会からの支援を受け、広島県廿日市市で色彩プロデューサーとして活動する稲田恵子氏に企画を、兵庫県在住の現代美術家・西山美なコ氏にアートの制作を依頼した。完成した作品はピンクを基調とした優しい印象のデザインで、3階通路には丸いドットの模様が歩いて行く方向に軌道を描いて繋がる意匠が、4階待合スペースには淡い大きな花で空間が包まれる様な意匠が描かれた。岡山のフルーツ等も連想させる、見る人によって自由にイメージが膨らむ様なデザインを考えたという。塗料には子供が触れても安心な様にと人体に害の無いものが使われた。

翌年3月の第2期では、院内外からの寄付「想い虹基金」を活用し、小児病棟スタッフステーションの通路の壁にも西山氏の手によって作品が描かれた。今度はゾウやキリン、テナガザル、リクガメ等の動物と樹木をモチーフにしたデザインで、手摺りを樹木に見立てたり、冷たい鉄扉に曲線を使った装飾を施したりして、心和ませる雰囲気を醸し出している。背の低い子供の他、車椅子やストレッチャーで移動する患者の事を考え、低い部分や天井にも動物を見つけられる様デザインも工夫した。

小児病棟に入院している患者の中には、外出が出来ない子供も多いが、絵を見る為に散歩する機会が増え、表情も明るくなったという。

院内には他にもアートが展示されており、外来棟玄関を入ると、人間国宝の故・藤原雄氏が制作した巨大な備前焼のレリーフが目に入る。又、20室有る手術室の5室には、岡山市在住の写真家・難波由城雄氏が撮影した岡山後楽園の大きなパノラマ写真が壁にプリントされている。岡山城を背景にした茶畑や朝靄の中の紅葉、雪化粧の沢の池といった風景が、患者の不安を和らげ、医師に難手術に立ち向かう意欲をもたらしている。

医学の進歩を願って設立された藩医学館の伝統を受け継ぎ、アートの力を取り入れながら、優れた医療人の育成と医療の発展に貢献して行く。


245岡山大学病院 (岡山県岡山市)

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