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桑名市総合医療センター(三重県桑名市)

桑名市総合医療センター(三重県桑名市)

219 桑名市総合医療センター(三重県桑名市)
官民統合で地域医療を担う中核病院を実現

中核市でありながら大規模な病院が無かった三重県桑名市で、地方独立行政法人「桑名市総合医療センター」が設立されたのは2012年4月。市立の桑名市民病院と民間の2病院による全国でも数少ない官民統合の例として知られている。18年に新しい病院施設が完成。20年には旧病院の改修も終わり、念願の400床を実現した。

 それまで同市周辺地域には、脳卒中や認知症などの早期発見に欠かせない核医学検査(SPECT)装置を置いている病院が無く、癌の放射線治療の為の機器も無かった。地域住民が精密な検査や高度な治療を受けようと思えば、名古屋市や四日市市に行くしか無かった。

 こうした患者が地元で必要な治療を受けられるよう、新病院ではコンセプトの1つに「高度で専門的な医療を受けられる病院」を掲げ、SPECTの他、高精度MRI、癌に対する強度変調放射線治療(IMRT)が可能な治療機器等を導入した。

 病棟の廊下やエレベーターホール、食堂といった様々な場所に、絵画等の美術品が飾られているのも病院の特徴だ。絵画の展示には竹田寬理事長の「病院にこそ優れた芸術作品を置くべきだ」という思いが込められている。「病気によって気分が落ち込み、感受性が高まっている患者や家族の気持ちを癒やすのは、優れた芸術作品に他ならない」と言う。また、院内の家具には全て、地元のスギ材といった三重県産の木材が使われている。これも医療だけでなく地域に貢献したいとの病院の姿勢の表れと言えるだろう。

 同センターは災害拠点病院にも認定されている。災害時には24時間、重傷患者を受け入れられる体制を整え、被災地に派遣される医療チームDMATも組織されている。

 「職員が働きやすい病院」もコンセプトの1つ。特に子育て中の女性職員への支援に力を入れ、院内保育園を開設。保育園では急な発熱などで通常の保育が困難な子供を受け入れる病児・病後児保育も行っている。家族の介護が必要な職員への支援制度もあり、20年3月には三重県から「女性が働きやすい医療機関」に認証された。

 急性期や救急医療、周産期医療にも対応出来る中核病院の開設に漕ぎ着けた竹田理事長は、地域住民の「近くで治療が受けられて良かった」と言う感謝の声を励みに病院の運営に当たっている。


桑名市総合医療センター

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