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未来の会

【「集中」の是々非々 73」】

【「集中」の是々非々 73」】

「ノーベル賞受賞・日本の研究魂が世界から称賛」

「結果を出すためには没頭する時間が必要」

この秋、日本の科学界が再び世界の注目を浴びた。ノーベル賞の受賞が発表されるやいなや、英国ケンブリッジ大学の仲間からは次々と「Congratulation!」のメールが届いた。教授陣、研究員、卒業生たちが口々に「日本の科学は健在だ」と讃え、私の受信箱は祝福の嵐に包まれた。ケンブリッジ大学という知の殿堂が、遠く東洋の島国に敬意を寄せる——それは単なる一個人の栄誉ではなく、日本の研究者全体への賛辞である事は明白だ。

彼らが驚嘆するのは、日本の研究者がわずかな研究費で世界の頂点に立ったという事実だ。欧米の巨額の予算と比べれば、日本の研究費など桁が一つ、いや二つも少ない。それでもなお、限られた条件の中で知恵と執念を燃やし続けた。その努力が、世界を揺るがす発見へと結実したのだ。日本の研究者たちは、潤沢な資金ではなく、飽くなき探究心と忍耐という「知の武士道」で勝ち取ったと言っても過言ではない。

さらに称賛すべきは、受賞者が海外に流出せず、日本の大学に籍を置いたまま研究を続けてきた点である。日本の土壌で育まれ、世界に誇る成果を生んだ。この事実は、次代を担う若い研究者たちにとって何よりの励ましとなるだろう。研究者が報われる社会、成果が正当に評価される国づくり——それこそ、今の日本が真剣に取り組むべき課題である。

ノーベル賞は、個人の栄誉であると同時に、国家の研究政策の鏡でもある。これほどの成果を挙げた研究者を生み出したという事実は、計り知れない価値を生み出したと言える。では、ノーベル賞はどれほどの国益をもたらしたのだろうか。今度は国がそれに報いる番だ。次なる芽を育てる責任を負っている。研究費の削減が常態化し、若い才能が萎縮してしまうようでは、次のノーベル賞は夢のまた夢だ。高市早苗首相にお願いをしたい。この快挙の裏に潜む「血と汗の研究現場」を直視し、「知への投資」を惜しまないで頂きたい。国の未来は、科学技術の灯を絶やさない政策によってこそ輝く。

一方で、近年の「働き方改革」は本当に研究現場に光をもたらしているのだろうか。研究とは、時間を忘れ、夜を徹して実験し、思考の果てに真理を見いだす営みである。にも拘わらず、時間外労働の上限や形式的な休暇取得が「研究をしたくても出来ない」環境を生み出してはいないか。効率の名の下に、情熱の火を消してはならない。科学の進歩は、合理の計算ではなく、非合理なまでの情熱から生まれるものと、ある記事で述べられていた。

フランスでは、若手研究者に長期的な研究休暇と生活保障を与える制度がある。研究はマラソンであり、短距離走ではない。息の長い支援があってこそ、世界を変える成果が生まれる。日本もまた、時間や制度に縛られぬ「自由な研究の空気」を取り戻すべきだ。最後にもう一つ、メディアの慧眼を称えたい。日本経済新聞が発表当日の10月7日の朝刊で、9名の研究者をノーベル賞候補として挙げ、その中に今回の受賞者・北川進氏の名があった。「的中」である。情報戦の時代にあって、記者の直感と取材力がここまで冴え渡ったのは、まさに職人技。新聞記者魂ここにあり、である。研究者が知を掘り当て、新聞がその金脈を嗅ぎ当てた。日本の知性が、また一つ世界に誇れる瞬間を迎えた。今回、日本の研究者たちが示してくれたのは、「限られた条件でも、情熱と努力があれば世界を動かせる」という素晴らしいメッセージだ。これはもう万歳三唱だ。

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2025年12月10日
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