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未来の会

第207回 ◉ 経営に活かす法律の知恵袋
妊娠・出産・産後の検討会がスタート

第207回 ◉ 経営に活かす法律の知恵袋妊娠・出産・産後の検討会がスタート
歴史的な大改革

この10月1日、厚生労働省は、第1回目の「妊娠・出産・産後における診療やケアの内容等に関する検討会」を開催した。12月の取りまとめを予定し、「妊娠・出産・産後」を貫く制度の大改革となる。特に、出産費用の無償化(つまり、正常分娩の現物給付化)が目玉であると言ってよい。「出産」の前後の「妊娠」「産後」を含む「継続ケア」が検討会のコンセプトであり、医療保険制度におけるお産の大改革と言ってよい。

厚労省の開催要綱では、「出産に係る給付体系を新たに構築する必要があるが、中央社会保険医療協議会等において、出産に係る診療・ケアの体制や内容等を新たな給付体系でどのように評価するかを検討する際には、出産に係る診療・ケアの実情や、関連する妊娠から産後にわたる支援体制、自費と保険診療が併用されている中での出産に関連する保険診療の現状等を踏まえる必要がある。そのため、妊娠・出産・産後における診療やケアの内容等に関する現状の分析を踏まえ、出産に係る給付体系における提供体制や実施内容に応じた評価の設計に関する論点整理を行う」と説明されている。12月の取りまとめ後、社会保障審議会医療保険部会で「分娩の手当」などの費用水準を、中医協で配分や加算などの算定要件を決めることになろう。施行は遅くとも2028年6月までとされているけれども、前倒しして27年度中の施行スタートも模索されているらしい。

特に、正常分娩のみを扱う助産所、助産師にとっては、この「正常分娩」の現物給付化はラッキーな出来事である。よく新制度に習熟して即応し、有床助産所、出張専門助産師が、業務を改革しつつ拡大していくことが期待されよう。

指定助産所・登録助産師の規定

改正健康保険法では、分娩取扱保険医療機関・指定助産所等から分娩の手当を受けたときに分娩費を支給することとされ、分娩取扱保険医療機関・指定助産所において分娩の手当に従事する医師・助産師は、保険医・登録助産師でなければならないものとされている。

(1)指定・登録に係る定め

指定助産所・登録助産師の指定・登録について、保険医療機関・保険医等と同様の規定が置かれ、手続の詳細は政令に委任されている。

具体的には、指定については、「保険医療機関等/指定助産所の指定は、『政令で定める』ところにより、開設者の申請により行う(第65条第1項/第98条の6第1項)」とされ、登録については「登録は、医師等/助産師の申請により行う(第71条第1項/第98条の12第1項⇒詳細は『政令委任』(第71条第4項/第98条の12第4項)」とされている。

それらの政令というのは、現在のところは、「保険医療機関及び保険薬局の指定並びに保険医及び保険薬剤師の登録に関する政令」だけであり、今のところ、主な規定事項は

・指定、登録に関する公示(第1条・第6条)
・保険医・保険薬剤師名簿(第3条)
・登録票の交付(第4条)
・包括省令委任(第8条)

だけであるが、追って、これらに準じた「政令」が追加して制定されよう。

さらに、政令から包括委任を受けた「省令」とは、現在のところはやはり「保険医療機関及び保険薬局の指定並びに保険医及び保険薬剤師の登録に関する省令」だけであり、主な規定事項は、今のところは、

・指定、登録の申請方法、添付書類(第3条・第12条)
・公示の方法(第5条・第21条)
・指定申請書、登録申請書等の様式

だけであるが、追って、これらに準じた「省令」が追加して制定される予定である。

(2)責務に係る定め

分娩取扱保険医療機関、分娩取扱保険医療機関の管理者、分娩取扱保険医療機関において分娩の手当に従事する保険医の責務について、保険医療機関等、保険医療機関の管理者、保険医療機関において診療に従事する保険医等の責務規定(責務の具体的な内容は省令に委任)が準用されている(第98条の5)。

同様に、指定助産所、指定助産所の管理者、分娩取扱保険医療機関・指定助産所において分娩の手当に従事する登録助産師の責務規定が置かれ、責務の具体的な内容は省令に委任されている。

具体的には、責務については、法第70条、第70条の2、第72条/第98条の10、第98条の11、第98条の13で定められ、詳細は「省令」に委任されている。その「省令」は、現在のところは「保険医療機関及び保険医療養担当規則」だけであり、その主な規定事項は、今のところは、

・経済上の利益の提供による誘引の禁止(第2条の4の2)
・受給資格の確認(第3条)
・領収証等の交付(第5条の2)
・帳簿の保存(第9条)
・診療の具体的方針(第20条)
・診療録の記載(第22条)
・適正な費用請求(第23条の2)

だけではあるが、追って、事柄の性質に応じて、準用されていくこととなるであろう。

ただし、正常分娩に関する「分娩の手当」は、本来は医療が介入するものではないので、「診療の具体的方針」(第20条)についてだけは直ちに準用すべきものではない。むしろ、法的には「看護」よりも「介護」に準ずるテクニックを採用すべきところであろう。「令和6年度老人保健健康増進等事業」として25年3月に制定された「原則として医行為ではない行為に関するガイドライン」に類した法的位置付けを採用すべきである。過剰な医療安全に走らず、現実に即して効率的に、助産(保健師助産師看護師法第3条)に含まれる行為や助産に付随する行為(同法第37条ただし書き「臨時応急の手当をし、又は助産師がへその緒を切り、浣腸を施しその他助産師の業務に当然に付随する行為」)を広く認めるのがよい。

出張専門助産師の法的な支え

もともと医療法第5条では、「出張のみによってその業務に従事する助産師」が法的に無条件で認められており、この度の健康保険法の改正によっても、法的な制約を受けていない。健康保険法第98条の9に、

との定めが設けられ、「指定助産所のみなし指定」と称されている。したがって、出張専門助産師が、保険登録をした場合には、無留保で出張助産を行う権利があると言えよう。

なお、この点、医療安全上の懸念を示す向きもあるらしいが、現行法上も、出張専門助産師は「医学的管理の下に」助産を行っているのであり、真正面から認められているので、懸念には及ばないところである。ただ、健康保険法第101条を受けた健康保険法施行令第36条第1号、第2号は遵守しなければならず、特に留意しなければならない。すなわち、特定出産事故が生じた場合の補償金の支払に備える保険契約と、事故情報の収集・整理・分析及び提供の確実な実施のための措置が求められる。

現物給付化までの間の研鑽の勧め

産科の医療機関と異なり、助産所・助産師は、余り法律・省令・規則・ガイドラインには縛られずに、ここまで来た。しかしながら、今回の「正常分娩の現物給付化」により、今までとは異なる多くの法規制の下に置かれることになる。そこで、現物給付化の施行までの間に、厚労省の各検討会・協議会の動向を注視しつつ、法的規律の研鑽や安全管理の研鑽を積むことが望まれる。

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2026-November

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