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第172回 政界サーチ 衆院4補選付きの統一選迫る

第172回 政界サーチ 衆院4補選付きの統一選迫る

地方政治の大枠を決める統一地方選が迫って来た。道府県と政令市の首長と議員を選ぶ前半戦は4月9日投票。政令市以外の市区町村の首長と議員を選ぶ後半戦は同23日投票になるが、今回はこれに安倍晋三・元首相の死去に伴う衆院山口4区補選、薗浦健太郎・前衆院議員の議員辞職による衆院千葉5区補選の他、山口2区、和歌山1区の各補選が加わる。4衆院補選の追加で、〝ミニ国政選挙〟の様相を強める統一選は今年前半の政局の山場の1つとなりそうだ。

 「千葉補選は頂きだろう。山口、和歌山は保守王国だが、岸田文雄・首相が防衛増税や新型コロナウイルスの『5類』移行を打ち出し、自民党内がごちゃごちゃしているから、攻め口は有る。地方選も感触は悪くない。何たって、内閣支持率が低いからね」

 立憲民主党の選対関係者はいつになく、前向きだ。立憲民主党が国民のニーズを捉え切れず、政党支持率が低迷している事は百も承知だが、それでも、嘗て無い感触が有るという。

 「岸田政権の〝増税前のめり〟に国民は強く反発している。メールや手紙の文面が従来とは違うんだ。だって、そうでしょ。物価は4%も上がっているのに給料は変わらない。その上、増税すると言うんだから……。コロナをインフルエンザ並の扱いにしようというのも財界は歓迎しているが、専門家の中には依然、異論が有るし、自民党にも懐疑的な人がいる。国民は当然、不安なんですよ」

野党は千葉5区補選に照準

 衆院補選で野党が注力する千葉5区には、立憲民主党が矢崎堅太郎・元県議、国民民主党が岡野純子・浦安市議、日本維新の会が一般社団法人代表の岸野智康氏、共産党が斉藤和子・元衆院議員をそれぞれ擁立している。自民党は汚職辞任に伴う守勢の選挙で、公募で候補を立てる予定だ。

 野党有利の選挙では有るが、問題が無い訳ではない。〝共倒れ〟の危険性だ。圧倒的な存在がいない中で野党候補が乱立すれば、公募の自民党候補が漁夫の利を得る事だって有り得るのだ。

 「沢山候補が出れば、より多くの人にアピール出来、投票率を上げる効果も期待出来るが、そこは当選ラインの見極めとの兼ね合いだ。当然、野党共闘も模索しなければいけない。ここで、野党が議席を奪えないと、先々の展望が開けないからね」

 千葉5区は市川市の一部と浦安市で構成される。東京勤めの、所謂〝千葉都民〟が多いエリアで、進歩的な思考をする有権者が多いとされる。期待感は大きいが、不確定要素も消し切れていないというのが、立憲民主党の選対関係者の胸の内といったところだろう。一方、自民党内では千葉5区への関心は低く、山口2区、4区を含めた長州の情勢が注目されている。今後の政局を占う一戦だと言うのだ。

 少し複雑なので整理してみる。現在の山口の衆院小選挙区は、1区が高村正大・元財務政務官、2区が岸信夫・元防衛相、3区が林芳正・外相で、安倍元首相の4区が空席になっている。衆院の定数是正に伴い、次期総選挙(衆院選)では、4小選挙区から3小選挙区に改編される事が決まっている。 

 衆院補選は現行の区割りを前提に実施される。当初は安倍元首相の死去に伴う4区のみだったが、安倍元首相の実弟、岸元防衛相が健康上の理由で議員辞職が許可され、2区も対象になった。

 山口は幕末・明治時代から続く政治王国だ。首相輩出数もナンバー1だが、その分、名門政治一家による争いも多発して来た。現在の衆院議員は、いずれも名門政治一家の跡取りだが、嘗ての中選挙区時代から続く、「下関市を主要地盤とする安倍家と林家という名門政治一家の長年に亘る覇権争い」は未だに続いている。その政治王国で、衆院補選が2つも有るのだから、地元は「衆院解散・総選挙並の騒ぎ」になっているのだ。

 自民党山口県連関係者は「補選は現行の4小選挙区制度下で行われるが、次期衆院選は3小選挙区になる。先々の議員構成にも思い馳せながら、欠員補充の衆院補選をやるという込み入った話になっている」と説明する。

 自民党内では、安倍元首相を神格化する右派とリベラル派の勢力争いの1つと捉える向きも有る。自民党中堅議員が語る。

 「ゴールは補選ではなく、下関を中心とする新たな小選挙区を誰が手中に収めるかに有る。岸田派ナンバー2の林外相と、安倍元首相の後継者のいずれが小選挙区をものにするのか。その勝敗で、自民党の空気感が変わる。長州戦争の行方は先々の政局にも影響すると思うよ」

 4区では、候補者の公募が実施され、安倍家が推している吉田真次・下関市議の出馬がほぼ固まった。吉田市議は安倍元首相に近い市議らによる市議会会派を率いるが、安倍後援会幹部らの間では無名に近いとされる。安倍家では「次期総選挙も出馬する」と強気だが、後援会の中には「次期総選挙迄の繋ぎ」との声も有り、一枚岩とは言えない様だ。

 2区は岸・元防衛相の長男で、大手テレビ局出身の信千世氏の出馬が2月7日に決定した。安倍元首相、岸元防衛相の母洋子氏も政治一家の未来を託しているという。もちろん、補選当選が前提だが、次期総選挙では、4区の吉田市議との公認争いが避けられなくなる。地元支持者の間では「その場合は、吉田市議を比例に回す」という気の早いプランも浮上している様だ。

 下関を中心とする新たな小選挙区の公認争いは、安倍元首相が死去した事で、現職の林外相が有利になったとの下馬評も有るが、岸田政権の人気低迷に伴う〝連れ安〟現象で、林外相の党内評価は今一つだ。盟主を失った政治王国のごたごたは、しばらく続きそうだ。

 政治王国・山口の行方に大きく影響する次期総選挙に関し、東京・永田町では「年内は無い」との怪情報が駆け巡った。出所は、小泉純一郎・元首相である。

岸田政権に波浪注意報?

いや、正確に言うと、2000年代初めの小泉政権の要職者の同窓会だ。メディア報道の大半は、現役議員である二階俊博・元幹事長を主語に報じているが、スポークスマンは山﨑拓・元幹事長である。自ら記者団への説明を「クリエイティブ(創造的)」と称するヤマタク(キムタク人気にあやかった呼称) さんの話だから、中身半分としても、ズバリ解散・総選挙に言及したものだから、俄然耳目を集めた。

 同窓会は1月中旬、東京・赤坂の日本料理店で開かれた。出席者は小泉元首相、二階元幹事長、山崎元幹事長、中川秀直・元幹事長、武部勤・元幹事長らだ。二階元幹事長は自民・公明・保守連立の小泉政権で保守党の幹事長だった。 

 山崎元幹事長によると、岸田政権の低迷する内閣支持率に話題が及び、「この状況では衆院解散・総選挙はとても出来ない。少なくとも今年は無い」「広島サミットが開かれても総選挙は無理じゃないか」との見方で一致したという。原発再稼働を推進する岸田政権の方針や防衛費増額等についても異論が出たという。 

 二階元幹事長を除けば、いずれも一線を退いた御仁であるから、影響力は限定的だろう。ただ、同様の政権批判は、同時期に菅義偉・元首相からも発信されている。政権に〝波浪注意報〟が出つつあるのかも知れない。

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