SHUCHU PUBLISHING

病院経営者のための会員制情報紙/集中出版株式会社

未来の会

地域の皆で創造する「絵画のある病院」

地域の皆で創造する「絵画のある病院」

地域の皆で創造する「絵画のある病院」
276 西条中央病院(愛媛県西条市)

豊富な地下水に恵まれ、四国屈指の工業地域である愛媛県西条市。化学メーカー、倉敷レイヨン(現クラレ)の手で財団法人倉敷中央病院分院西条中央病院(当時)が設立されたのは、戦後間もない1954年の事だった。当初から同社の工場従業員に加えて地域住民の医療も担い、その後規模を拡大し84年に倉敷中央病院から独立。一貫して地域医療に貢献し続けてきた。

 同社の創設者、大原孫三郎は私設の美術館を設置する等、数多くの社会・文化事業に取り組んだ。孫三郎の息子である大原聰一郎が創設した同院も、孫三郎の理念を受け継ぎ、地元の郷土作家による絵画が随所に展示されている。これらは単に来院患者や家族の心を和らげる為の展示ではなく、多くの美術愛好家や一般の人達も鑑賞目的で訪れるといい、広く「絵画のある病院」として親しまれている。

 2015年に新設された西病院棟は、1階の受付周辺に、ゆとりの有る吹き抜けの空間を設けている。又、建物の内装は白を基調とし、そこに和紙をモチーフとしたデザインを採用。落ち着いた空間の中、棟内に掲げられた絵画を見る事が出来る造りとなっている。

 同院では21年、院内職員の手で地域向けイベントを企画・運営する「まじわるチーム」を結成。25年からはホスピタルアートに関する活動を開始した。県から「がん診療連携推進病院」の指定を受け、心のケアに繋がる活動をしようと考えたのがきっかけだった。これ迄と同様、絵画鑑賞だけに留まらず、患者と地域、芸術家、病院が協力してアートを創出するのが狙いだ。

 まじわるチームによる初めてのアートイベントが開かれたのは同年11月5日。県内で活動する自然画家絵美さんによる作品制作の実演とトークショーを行った。当日、絵美さんは約80人の患者や病院スタッフが見守る中、アクリル絵の具等の画材を使って、病院の理念や日々の営み等から感じた思いを表現した。

 完成した作品「Birth」は全長5.67mの大作で、病院に寄贈された後、外来待合スペースに常設展示されている。又、イベント開催前の10月末から今年1月末の間には、新棟1階通路に絵美さんの別の作品も展示。多くの人の目を楽しませた。

 今年は8月から3カ月間の予定で、若手パラアーティストとして県内で活動する河北康佑さんの油絵約10点を展示している。河北さんは14歳から絵を描き始め、これ迄の約17年間、家族旅行で見た風景や日々の出来事等を作品として発表し続けている。

 更に10月にも、新たなイベントが開催される事になっている。再び絵美さんを迎え、誰でも参加出来るワークショップを実施。絵美さんの指導の下、同院敷地内の林の中で、自然の絵を描いて貰うという内容だ。病院は、より多くの人達に参加して貰い「表現する事の力」や「アートがもたらす癒やし」を体感出来る機会にしたいと意気込む。

 絵画等の芸術作品で患者や家族、医療従事者の心を癒やすと共に、県内のアーティストに加え地域の人達も参加する創作活動を支援し、地域文化の発信拠点となる。同院はその様な、地域に貢献するホスピタルアートの姿を創造し続けている。


276_西条中央病院(愛媛県西条市)

LEAVE A REPLY

*
*
* (公開されません)

Return Top