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「医は算術」の介護施設経営が 各地で事件・事故を招来

 「これほどひどい有料老人ホームは聞いたことがない」と、介護関係者もあきれている。昨年11月から12月にかけてわずか2カ月の間に86歳から96歳の入居老人3人が相次いで〝転落死〟した神奈川県川崎市の介護付き有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」だ。

 3件の転落死事件が起きた全ての日に夜勤をしていた23歳の職員に疑惑が集まっているが、川崎市の調査とともに、当初、事故扱いとした川崎警察署も事件、事故の両面で捜査に着手した。

 すると、同老人ホームで83歳の男性が浴槽内で死亡していた事件や職員4人による85歳の女性への虐待事件も発覚。そればかりではない。Sアミーユ川崎幸町を経営する「積和アミーユ」の親会社「メッセージ」(岡山市)グループのあちこちの有料老人ホームでの事件、事故が出るわ出るわ。メッセージの体質、経営そのものに問題があるのではないか、という声が日増しに強くなっている。

 実際、メッセージの有料老人ホームの事故件数は突出している。ざっと明らかになったものを挙げただけでも、昨年6月には名古屋の介護付き有料老人ホーム「アミーユ大曽根」で20代の介護職員が70代の女性入居者の顔にオムツを乗せる虐待があり、名古屋市が改善を指導した。

 同じ6月に横浜市の「Sアミーユ横浜神大寺」では80代の女性入居者が右目にあざをつくっていたし、10月には90代の女性入居者が顔を強く押さえつけられてあざをつくっていた。

 8月には東京・三鷹市の「Sアミーユ三鷹新川」で女性介護職員が60代の男性入居者の顔を叩いた虐待行為が明らかになった。

 今年に入っても続いている。3月に名古屋市にある「Cアミーユ瑞穂公園」で火災が発生し、入居者一人が死亡している。6月には大阪の「アミーユ豊中穂積」で男性介護職員が70代の女性入居者に平手打ちをしたり首を絞めたりした虐待が発覚……。

捜査の行方注目される3人転落事故

 入居者の家族が市に通報したり、老人ホーム側が市に届け出たりしただけでもこれだけあるのだ。介護付き有料老人ホームの入居者には軽度、中度の認知症の人が多く、暴行されても忘れてしまうことが多い。あるいは、家族が不審に思っても退去させられることを恐れて届け出ないことも多い。実際の虐待事件はもっと多いだろう。

 Sアミーユ川崎幸町での介護職員4人による85歳の女性入居者への虐待は、不審に思った家族が隠しカメラを設置し、職員4人が叩いたり放り投げたりした挙げ句、ナースコールのコンセントを抜き取る行為を撮影し、市に訴えたことで判明したのだ。

 しかも、映像には暴行されている女性が「話すからね」と抵抗している声まで録音されていた。家族が密かに設置していたカメラで録画していたから表面化したが、もし家族が不審に思わなかったら埋没していただろう。

 中でも、大問題になっているのは、Sアミーユ川崎幸町の3人連続転落死事件であるのはいうまでもない。3人の認知症の入居者が相次いで転落死しているのだ。

 すでに報道されているように、2人は4階のベランダから転落し、1人は6階のベランダからの転落死である。3人が倒れていた場所はほぼ同じ場所であり、道路からも隣地の建物からも見えにくく、死角になっている場所だ。

 6階ベランダから転落死した入居者に至っては、寝ている他人の部屋を通り抜けて、ベランダに出たと見られている。4階も6階もベランダには高さ1・2㍍の手すりがある。この手すりを乗り越えて落下したと考えられるが、痴呆症の入居者にそんなことが可能だろうか。不審は募るばかりだ。

 ある捜査関係者がいう。

 「真っ先に疑われたのは23歳の職員です。当直職員3人のうち、彼は3人が落下したいずれの夜にも当直していた。しかも、第一発見者でもあるんです。Sアミーユ川崎幸町では今年5月、金銭が盗まれるという事件が頻発していた。被害は19件、200万円を超え、容疑者として23歳の介護職員が逮捕されているが、県警は彼が転落死事件にも関係している疑いで調べている」

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