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第196回 ◉ 浜六郎の臨床副作用ノート
薬物治療は骨折を減らしたか②

第196回 ◉ 浜六郎の臨床副作用ノート薬物治療は骨折を減らしたか②

 薬のチェック125号1)では、日本骨粗鬆症学会等による「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版」(以下GL)2)を批判的に吟味した。概略のその②を紹介する。

GLは薬物(骨粗鬆症用剤)偏重

 GLは臨床医、特に一般整形外科医向けに作成されており、栄養や日光、運動についての記載はあるものの扱いは小さく、大半が検診と薬物療法に関する記述である。

 骨粗鬆症用の薬剤には、2000年以前から用いられてきた薬剤として、栄養成分(1.カルシウム剤、2.ビタミンD、3.ビタミンK、4.女性ホルモン剤、5.カルシトニン)がある。また、比較的新しい薬剤として、6.ビスホスホネート剤、7.ラロキシフェン、8.テリパラチド(副甲状腺ホルモン剤)、9.デノスマブ、10.ロモソズマブがある。

 GLでは、カルシトニン以外、高い合意率で推奨または提案をしているが、薬のチェックで厳密に検討した結果は異なる。

カルシウム剤、ビタミンD剤、ビタミンK剤

健康人を対象にした2万人規模のRCTが2件実施され、いずれも、ビタミンD剤を補充しても、骨折率は低下できなかった。

日本で実施されたアルファカルシドールのRCTでは、椎体骨折がプラセボ群の23.6%に対して13.3%と10%減っていたが、脱落が20%あるために、結果は信頼できない。また、より作用持続時間が長い(血中半減期174時間、生物学的半減期はさらに長期間)エルデカルシトールは、アルファカルシドールに比べて、4.1%骨折が減ったが、高カルシウム血症が7.5%増えていた。

ビタミンK剤は、骨粗鬆症用剤としては欧米での販売はなく、日本のローカルドラッグである。

カルシウムやビタミンDなどが無効なのは、それらが不足している人は、タンパク質も運動も不足しているためであろう。また、カルシウムやビタミンDは、食事から摂る限り過剰になることはほとんどないが、薬剤やサプリメントとして摂ると過剰になりやすく、タンパク質やリン酸の摂取量とのバランスがとれなくなると考えられる。

いずれも薦められない。

エストロゲン剤

 薬のチェック誌28号では、海外のデータ(WHI:Women's Health Initiative)に基づいて、エストロゲンを主体にしたホルモン補充療法を推奨したが、日本には骨粗鬆症の適応はないので使えない。また、骨粗鬆症を適応とするエストロゲン剤はあるが、エビデンスは限られ血栓症や循環器疾患、がん、あるいは総死亡への影響は全く不明であり、推奨できない。

ラロキシフェン

 エストロゲン作用と、臓器によっては受容体の関係で抗エストロゲン作用を有する特徴があり、選択的エストロゲン受容体修飾剤(SERM)と呼ばれる。骨に対しては、エストロゲン作用が発揮されて骨折を防止する。エストロゲンは乳がんや子宮体がんを増やすが、ラロキシフェンは乳がん(10年生存率が90%の乳がん)を減らす。

 最大の問題は、血液凝固に関係する物質に対してもエストロゲンと同様に働くため、致死性脳卒中と肺塞栓症死を増やし、その程度は乳がん死の減少を上回る。最大7年間使用して、総死亡率はプラセボと差がなかった。あまり薦められない。

カルシトニン

 骨粗鬆症による痛みに承認されているが、作用機序は不明。不要である。

参考文献

1)薬のチェック2026:26(125):52-57.
   https://medcheckjp.org/issue/n125/
2)骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版

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