SHUCHU PUBLISHING

病院経営者のための会員制情報紙/集中出版株式会社

未来の会

第9回 保険診療のルール 〜安全で良質な医療の提供を目指して〜

第9回 保険診療のルール 〜安全で良質な医療の提供を目指して〜

短期滞在手術等基本料

 今回は「A400短期滞在手術等基本料」を取り上げます。当該基本料は、日帰り手術及び4泊5日以内の入院で行う手術・検査・放射線治療について、実施環境に加え、当該手術を行う為に必要な術前・術後の管理や定型的な検査、画像診断等を包括的に評価する制度です。

 令和8年度診療報酬改定では、当該基本料が大幅に見直されます。今回の改定により、手術の外来移行や、手術症例の在院日数の短縮が進み、急性期病床の更なる削減が促されるものと考えられます。特に、基本料3(4泊5日迄の場合)の対象手術が追加され、DPC対象病院を含む全ての病院で算定する方式に改められた点は重要です。平成20年度診療報酬改定で基本料3が新設されて以来、遂にわが国に於いても診断群別包括支払方式、所謂DRG/PPS(Diagnosis Related Group/Prospective Payment System)の導入が本格的に開始されたものと言えます。

 DRGは患者の病状に基づいて診断群を分類する仕組みであり、PPSはその診断群に対して予め定められた一定額の診療報酬を支払う方式です。実際の治療内容や入院日数に拘わらず支払額は原則として同一です。過剰な検査や治療、必要以上に長い入院期間は医療機関のコスト増に繋がる為、医療提供の効率化を促す仕組みとして機能します。アメリカでは1983年に導入され、その結果平均在院日数は短縮、病床利用率は6割に低下、日帰り手術が過半数に増加し、入院医療費は劇的に減少したと言われています。嘗て1998年11月から、国立病院(8病院)及び社会保険病院(2病院)の計10病院を対象に、診断群分類別の1入院当たりの包括支払い方式(所謂日本版DRG/PPS)が試行された事が有り

 表1短期滞在手術等基本料(日帰りの場合)に含まれるもの表2短期滞在手術等基本料(4泊5日迄の場合)に含まれるもの
 尿中一般物質定性判定量検査 入院基本料、入院基本料等加算、医学管理等
 血液形態・機能検査の一部 在宅医療(在宅療養指導管理料、薬剤料、特定保険医療材料料等を除く)
 出血・凝固検査の一部 検査
 血液化学検査の一部 画像診断
 感染症免疫学的検査の一部 投薬(退院時の投薬、除外薬剤・注射薬を除く)
 肝炎ウイルス関連検査の一部 注射(除外薬剤・注射薬を除く)
 血漿蛋白免疫学的検査の一部 リハビリテーション
 心電図検査 精神科専門療法
 写真診断 処置(人工腎臓を除く)、手術、麻酔
 撮影 放射線治療
 麻酔管理科(Ⅰ)、(Ⅱ) 病理診断

ましたが、当時は同じ疾患でも患者によって入院期間のばらつきが大きく、 DRG/PPS を導入する事が困難であったようです。 

 以下、紙面の都合上、告示、注、通知等の内、特に確認しておきたい項目を抜粋してご紹介します。

【告示】 ※抜粋

1 短期滞在手術等基本料1(日帰りの場合)
イ 主として入院で実施されている手術を行った場合
 (1) 麻酔を伴う手術を行った場合 2948点
 (2) (1)以外の場合 2719点

ロ イ以外の場合
 (1) 麻酔を伴う手術を行った場合 795点
 (2)(1)以外の場合 680点

2 短期滞在手術等基本料3(4泊5日までの場合) 
  以下、算定する手術、検査又は放射線治療は省略

注3別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長に届け出た保険医療機関において、以下に揚げる手術を行った場合(入院した日から起算して5日までの期間に限る)は、入院手術対応加算として次に揚げる点数を所定点数に加算する。
※以下の対象となる手術は省略し、注4及び5で示される包括内容夫々を左頁の(表1)、(表2)として示します。

【通知】(令和8年3月5日の留意事項通知) ※抜粋

(1)短期滞在手術等基本料は、短期滞在手術等(日帰り及び4泊5日以内の入院による手術、検査及び放射線治療)を行うための環境及び当該手術等を行うために必要な術前・術後の管理や定型的な検査、画像診断等を包括的に評価したものであり、次に定める要件を満たしている場合に限り算定できる。

ア手術室を使用していること((5)のアからカまでを算定する場合を除く。)。なお、内視鏡を用いた手術を実施する場合については、内視鏡室を使用してもよい。

イ手術等の実施前に十分な説明を行った上で、別紙様式8を参考にした様式を用いて患者の同意を得ること。

ウ退院翌日に患者の状態を確認する等、十分なフォローアップを行うこと。

エ退院後概ね3日間、患者が1時間以内で当該医療機関に来院可能な距離にいること (短期滞在手術等基本料3を除く。)。

(2)短期滞在手術等基本料を算定した後、当該患者が同一の疾病につき再入院した場合であって、当該再入院日が前回入院の退院の日から起算して7日以内である場合は、当該再入院においては短期滞在手術等基本料を算定せず、第1章基本診療料(第2部第4節短期滞在手術等基本料を除く。)及び第2章特掲診療料に基づき算定する。

(17)「注3」に規定する入院手術対応加算は、診療所を除く保険医療機関において、短期滞在手術等基本料3を算定する場合であって、以下のいずれかに該当する場合に限り算定できる。

  ア手術に当たり全身麻酔が必要な患者に対して、「L008」声門上器具又は気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔を伴う場合

  患者の病態や内服薬等により、手術に伴う偶発症の発生する可能性又は偶発症が発生した場合に重症化する可能性が高い場合

  ウ 原疾患により全身状態不良である場合


Dr.の保険診療 うっかりCheck

Q:短期滞在手術等基本料3を算定した患者が、6日目以降も入院が必要な場合、その療養に係る費用はどの様に算定しますか?
A:出来高で算定します。

  出来高病床・ DPC病床のいずれも同様です。
  6日目以降の療養に係る費用は、第1章基本診療料 
  (第2部第4節短期滞在手術等基本料を除く)、及び、
  第2章特掲診療料に基づき算定します。

Q:有床診療所で短期滞在手術を入院で実施する場合は、短期滞在手術等基本料3は算定出来ますか?
A:算定出来ません。

  有床診療所は引き続き基本料3の算定対象外です。従来通り出来高で算定します。

Q:短期滞在手術等基本料1の「イ」又は「ロ」の(1)は、どの様な麻酔を伴う場合に算定しますか?
A:L002硬膜外麻酔、 L004脊椎麻酔、 L008声門上器具又は気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔等です。

Q:短期滞在手術等基本料を算定している月に於いて、血液学的検査判断料、生化学的検査(Ⅰ)判断料、又は免疫学的検査判断料は算定出来ますか?
A:算定出来ません。

  但し、短期滞在手術等基本料3を算定している月にお いては、入院日の前日迄に行ったこれらの検査診断料については算定出来ます。

Q:短期滞在手術等基本料3を算定する場合、入院中に使用する薬剤の取扱いについて教えて下さい。
A:入院中に使用する薬剤は、原則として、入院中に入院医療機関が処方します。入院が予定されている場合、当該入院の契機となる傷病の治療に係るものとして、当該又は他の保険医療機関等で処方された薬剤を、予め患者に持参させ、使用する事は、特別な理由が無い限り認められません。やむを得ず患者が持参した薬剤を使用する場合は、その特別な理由を診療録に記載する必要があります。

LEAVE A REPLY

*
*
* (公開されません)

Return Top