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未来の会

第212回 政界サーチ
〝高市一強〟の今後と〝文春砲〟の行方

第212回 政界サーチ〝高市一強〟の今後と〝文春砲〟の行方

日本の株式市場に6月初旬、異変が起こった。時価総額で22年間トップだったトヨタ自動車がAI関連企業のソフトバンクグループ、半導体メモリーのキオクシアに抜かれ、3位に転落したのだ。その後、トヨタが首位に返り咲くが、これら3社に三菱UFJフィナンシャル・グループを加えた4社の時価総額は拮抗状態だ。日経平均株価は上昇の一途で、7万円の大台が目前だ。

 一方、AI関連企業の突出の裏で、他産業の株価は低迷が続く。歪な市場の様相は時代の変化の現れなのだろう。ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長が指摘するように、次の未来社会への移行という大変革が始まったのかも知れない。

 という訳で、今回はAIで高市早苗政権の今後を予測してみた。結果は以下の通りだ。

AI予測、高市首相は来秋再任?

 〈高市首相は2027年秋の自民党総裁選で再任され、次の衆院選まで継続する可能性が高い。発足当初は少数与党として厳しい政権運営を迫られたが、前回の衆院選で大勝し、現在は強固な政治基盤(高市一強)を確立している〉

 AIは、嘗ては政治問題に言い淀む様子も有ったが、最近はストレートになってきた。進化なのだろう。AIが挙げた根拠は以下の3点。

 〈第1に衆院での主導権を掌握し、安定した国会運営が可能となった。第2に、日本維新の会との連携・政策合意である。消費税減税や憲法改正等、国家観や経済政策が比較的近い保守勢力を結集させる事で、右派から中道まで広く巻き込んだ政権運営を実現している。第3に、高い内閣支持率を背景にしたリーダーシップである。「責任ある積極財政」や経済安全保障の強化、迅速な意思決定(脱慣例主義)は支持層から高く評価されており、発足半年が経過した現在も高い世論の支持を維持している〉

 高市政権のリスクについても論述し、以下の様に結論付けた。

 〈政権を揺るがし得るリスクは先ず、来年秋の自民党総裁選である。党内反高市勢力の巻き返しを抑え込めなければ退陣の可能性も否定出来ない。次に、経済政策に伴うインフレリスクである。飲食料品の消費税ゼロ議論や積極財政は、財政赤字の拡大や急速な円安・物価高を招く恐れが有り、世論の批判が一気に高まる両刃の剣である。更に憲法改正や安全保障政策を巡る世論の分断も、激しい反発を引き起こす火種となり得る。

 結論として、直近の衆院選で大勝を収めた高市政権は、独自の政策をスピード感を持って実行出来る基盤を手に入れた。経済運営や党内統治に致命的な破綻が無い限り、2030年まで続く可能性が極めて濃厚だ〉

 AIなので、内容は新聞、雑誌、論文、SNS等の情報を掻き集め、最良の繋がりを見出して紡いだものである。可も無く不可も無いと言えば、それまでだが、集める情報量が莫大であるから、齟齬は少ない。概ね皆が思っている通りである。

 さて、ここから気になるポイントを少し整理してみたいと思う。

 それは、「高市一強」の現状である。表向き、高市首相には今直ぐ取って代わるライバルはいない。政策執行能力や党内のグリップ力なら、並ぶ人材はいるのだが、海外の要人とジョン・レノンの名曲を一緒に歌う等、高市首相には従来の首相の誰もが持っていなかった独特のパフォーマンス力が有る。というか、パフォーマンスを許容される独特のオーラを纏っている。

 しかし、党内状況を俯瞰すれば、「一強」でない事は明らかだろう。5月下旬に初会合が開かれた自民党有志による議員連盟「国力研究会」を材料に解き明かしてみる。

 同会は「高市首相(党総裁)の支援を目的とする新グループ」という触れ込みで、会長に加藤勝信前財務相、幹事長に萩生田光一幹事長代行、最高顧問に麻生太郎副総裁がそれぞれ就任した。入会者は同党所属の衆参議員の8割を超える。

 事務総長は木原稔官房長官、事務局長は高市首相の最側近とされる山田宏党中央政治大学院長だ。高市首相の政策支援を掲げるが、本当の狙いは来年9月の総裁選での無投票再選なのは間違いないだろう。

 但し、加藤会長は昨年秋の総裁選で小泉進次郎防衛相の選対本部長だった。本音は自身の党内基盤の再構築との憶測も有る。発起人は麻生副総裁の他、茂木敏充外相、小泉防衛相、小林鷹之政調会長らが名を連ねる。つまり、次期総裁で高市首相のライバルとなる候補が3人いる。不参加の2割はというと、石破茂元首相や河野太郎元デジタル相らである。

 自民党のベテラン議員が語る。

 「象徴的なのは高市首相が初会合を欠席した事。同会幹部らは党内分断にならん様に腐心したんだが、結果は主流と非主流というか、麻生副総裁との距離感で、党内の裂け目を作っただけだったね。規模が大きくなり過ぎたのもマイナス。これじゃ、自民党の議員総会と変わらん」

 巨大グループ結成にしてはネガティブなコメントである。ベテラン議員が続ける。

 「本来、首相の右腕である筈の鈴木俊一幹事長が入会を見送った。鈴木さんは元々、〝高市嫌い〟なんだけどね。非主流派とのバランスを取ったという見方も有れば、麻生さんと相談の上、敢えて距離を置いたとの見方も有る。それで、来ないと思っていた岸田文雄元首相が参加している。このグループは雑多な思惑に満ちている。党内の多くは、クリンチワークだろうな。入会しないと、人事で冷遇されるかも知れないから、取り敢えず参加しておこうって算段さ」

 表向きは高市支援なのだが、裏にはそれぞれの野望を秘めたグループであり、一枚岩では決してないという事なのだろう。

 「誰が得をしたか。麻生さんだね。高市首相支援を名目に次の総裁候補3人を抱えている事を公に示し、『何か有れば、いつでも首を変えられる』とばかりに権力を誇示出来た。勿論、安全保障政策等、現在の高市政権の方向性は支持しているんだが、意に染まない行動が過ぎれば、その時は追い落とすという感じかな。高市首相にすれば大応援団を得た格好なんだが、所謂〝おんぶお化け〟って奴だな。むしろ、この一件で高市首相の党内基盤は弱いという事が再確認されてしまった」

 ベテラン議員の指摘は高市首相周辺も十分認識している様で、高市首相周辺は「首相は深入りすべきではない」と警戒している。

肝はネガキャン疑惑への対処

国力研究会が発足したのと同じ5月21日、高市首相の秘書らが自民党総裁選や衆院選で対立候補を誹謗・中傷する動画の作成に関わったとされる所謂「ネガキャン疑惑」の第3弾が「週刊文春」で報じられた。この疑惑は5月の連休明けから、国会で度々取り上げられ、高市首相は「秘書を信じる」等と否定的な答弁を繰り返してきたが、依然、火の粉は消えていない。第3弾は「67通のメール」を取り上げ、高市首相の秘書と「ネガキャン動画」の作成を担った起業家とのやり取りを明らかにし、国会での高市首相の否定に全面的に反論している。

 大手メディアは様子見状態だが、首相直撃の〝文春砲〟には自民党の内部リークの噂も絶えず、懸念の声も徐々に広がっている。

 自民党長老が顔を顰める。

 「国力研究会を巡る党内分裂も麻生さんの権力誇示も政権運営に大した影響は無いだろう。高市政権の肝は国民人気に有る。国民各層の抱いた淡い夢を砕く様な事が有れば、忽ちアウトだ。その意味で文春問題への対応を誤ると大変な事になる。国民人気、つまり、内閣支持率を拠り所とするタイプの政治家の宿命なのだが、対スキャンダル能力が問われる局面だな。醜聞だらけでも平気な様子のトランプ大統領が参考になるかな。まあ、ならんか。ともかく、国会会期末に向けて、どう沈静化させるか。高市さんと周辺の腕の見せ所になるな」。

6月、週刊誌報道に関して答弁する高市首相



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