
「画期的な手法で医療費削減を」
「医療機関の叡智に期待」
医療費は年々増加するもの。これが当たり前の感覚になっていないか?医療機関の窓口で・1割・2割の自己負担をすれば、それで良しとする感覚は棄てるべきだ。我々は社会を俯瞰するべき時に来ている。「子や子孫に美田を残す」は既に過去の言葉。我々は、「禍根を残している」現実を自覚すべきだ。
社会保障財政に直結するこの医療費問題は、国の将来を左右する大きな課題だ。厚労省の統計によれば、往診の件数は過去5年間で1.4倍に増加し、高齢社会の実態を映し出している。一方で訪問医療はさほど伸びず、緩やかな増加にとどまっている。この違いは偶然ではなく、厚労省が往診の報酬を引き上げた政策の影響によるものだ。診療報酬の影響力は極めて強く、現場の診療行動を即座に変えてしまう力を持っている。しかし光の裏には影が潜む。一部の医療機関では不要な往診を繰り返し、収益を得ているとの指摘もある。厚労省は、本来であればこうした無用な訪問の積み重ねは、医療費全体を押し上げ、医療に対する社会的信頼を損ねかねないリスクとなっている。医療費は単なる数字の増減ではなく、国民の負担という重い現実を背負っており、日々、子や子孫に莫大な借金を作っていると言う現実を目視するべきだ。
その中で、現場の創意工夫次第で流れを変え得た、榊原記念病院(東京都府中市・院長:磯部光章)の取り組みが象徴的だ。例えば、電話による無料の相談窓口の存在だ。同院には毎月1,000件を超える相談が患者や家族から寄せられる。勿論、最初から1,000件の相談があった訳ではない。日々、看護師らが丁寧な説明の対応を続けた結果、近隣住民に口コミで広がった。この取り組みにより、患者や家族の不安は電話口で解消され、不要な受診は大幅に減少し、結果として外来の混雑が緩和され、医師は真に必要な診療に集中でき、病院全体の運営効率も高まったと言う。これで、患者にとっては待ち時間の短縮、病院にとっては効率の改善、そして国にとっては医療費の適正化という三者全てに利益がある好循環が生まれたのである。
ここから得られる教訓は明確だ。厚労省が政策を講じるのを待つのではなく、現場が能動的に考え出した取り組みこそが新たな光を放つ。制度は確かに必要だが、それは舞台装置に過ぎない。演じるのは現場の医療従事者達である。厚労省が方向を示す羅針盤ならば、医療機関は実際に船を漕ぐ漕ぎ手であり、嵐の海原を渡るには両者の連携が欠かせない。だが最後に舵を切るのは現場の意思であることを忘れてはならない。
是々非々の視点に立てば、過剰な往診は政策の副作用であり、病院の創意工夫はその副作用を打ち消す解毒薬である。医療費削減とは単に数字を削る作業ではなく、「無駄を省き、安心を守る」ための創造的挑戦である。患者が納得し、社会が信頼を寄せ、現場が誇りを持ち続ける三者一体の営みこそ、持続可能な医療への道筋である。
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