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第200回 ◉ 浜六郎の臨床副作用ノート
レキサルティをADに用い死亡増

第200回 ◉ 浜六郎の臨床副作用ノートレキサルティをADに用い死亡増

 従来、アルツハイマー型認知症(AD)のアジテーション(激越)に対しては、適応外でハロペリドールやリスペリドンなど、抗精神病剤が用いられてきた。しかしプラセボ(PL)群に比較して約1.7倍死亡が増加することが添付文書上で指摘され、慎重な使用が求められてきた。

 2018年から統合失調症に承認されている非定型抗精神病剤ブレクスピプラゾール(BR、レキサルティ®)が、2024年にADに伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動または攻撃的言動など、いわゆるアジテーションに追加承認された。薬のチェック127号1)で評価したので、概略を紹介する。

興奮の抑制レベルの臨床的意義は疑問

 治療開始から1〜3カ月で、認知症の興奮評価尺度(Cohen-Mansfield Agitation Inventory:CMAI)に11点の減少があれば臨床的に意義あるとされる。日本で実施したランダム化比較試験(RCT)で、BR 2mg群とPL群の変化量の差が7.2点であり臨床的意義は疑問である。

死亡危険度は約5倍にも

 死亡率の算定方法は、以下のとおり。分母は、脱落を考慮した曝露期間(人日)とした。分子は、試験期間内(日本のRCTでは10週曝露+28日、海外のRCTでは12週曝露+30日)に重篤な有害事象を発症して結果的に死亡した例とした。

 日本のRCTでは、死亡例はPL群では149人中0人、BR群(1mg群と2mg群合計)でのみ261人中3人に認められた。

   海外のRCT3件を含めたBRの4試験のメタ解析結果は、統合オッズ比2.19(95%CI:0.50〜9.67)と統計的に有意でない結果が報告されている。しかし、3件のRCTでPL群の死亡例は0人であり、PL群の合計死亡数が1人にすぎないこと、試験期間内の死亡例に限る試験を含めてメタ解析されているため、過小評価になっていると考えられた。加えて、海外の3件のRCTを米国のFDAが計算した結果では罹患率比は4.75 (0.50〜38.08)であった。

 米国FDAのBR以外の抗精神病剤による死亡率比は薬剤ごとで1.11〜2.22、全体で1.71(1.38〜2.10)である。FDAの解析で日本を除いた死亡率比の点推定値4.75は大きい。日本を含めるとより大きくなると推定される。

 また、10〜12週間使用した場合にBRによる超過死亡(罹患率差)は4件のRCT併合で、1.18%(95%CI:0.27〜2.09)、p=0.0114と推定できた。つまりBRを10〜12週間使用すると同剤のために84人に1人が死亡することになることを示している。この危険度の大きさは、決して従来の抗精神病剤による死亡危険度より軽いとは言えない。

害反応は薬剤性拘束(ドラッグロック)相当

 害反応も他の神経遮断剤と同じで、傾眠や、運動緩慢、筋固縮、歩行障害など錐体外路症状は有意な用量-反応関係を認めた。これらの害反応の結果として自由に動けなくなる状態は、薬剤による身体拘束(ドラッグロック)に相当し、介護上不適切とされていることである。

 また、添付文書に記載はないが他の神経遮断剤同様、脳卒中発症の害はあると考えるべきだ。

実地診療では

 認知症患者への効力や害反応に関して、他の神経遮断剤より優れるとの証拠はなく、むしろ死亡の害は大きい可能性がある。使用に際しては、ドラッグロックにならないよう配慮し、危険が迫っている状況で短期使用に限ることを勧める。

参考文献

1)薬のチェック2026:26(127):100-104
  https://medcheckjp.org/issue/n127/
    Web資料1:害反応とドラッグロックについて
  Web資料2:臨床試験における死亡の増加について
  Web資料3:神経遮断剤による脳卒中発症機序考察

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2026-November

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