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未来の会

世界に学び、日本の伝統を活かして新しい時代の「食文化」を作り出す

世界に学び、日本の伝統を活かして新しい時代の「食文化」を作り出す
辻口 博啓(つじぐち・ひろのぶ)1967年石川県生まれ。高校卒業後、東京のフランス菓子店で修業。90年史上最年少で全国洋菓子技術コンクール優勝。97年パティシエのワールドカップと呼ばれるクープ・ド・モンド・ドゥ・ラ・パティスリーの飴細工部門優勝。98年東京・自由が丘にモンサンクレールを開店し、それ以降コンセプトの異なるブランドを多数展開。2011年一般社団法人日本スイーツ協会設立。12年石川県にスーパースイーツ製菓専門学校を開校。15年糖質コントロールチョコレートの販売を開始。20年You Tubeチャンネル『FOOD MASTER JAPAN』を開設。
——日本スイーツ協会ではどのような事をしているのですか。

辻口 2011年の設立なんですが、その頃にはスイーツという言葉がいろいろなお菓子やデザートを指すという事で、市民権を得ていました。そこで、スイーツを日本の文化にしていこうと設立したのがこの協会です。スイーツ業界の繁栄に役立つ人材の育成にも関わっていますし、業界の活性化に貢献するために様々な事業を行っています。フランスではケーキ職人をパティシエ、ケーキ屋さんをパティスリーと呼ぶわけですが、それはあくまでフランスの話です。私自身は日本の食文化をパティシエの仕事に組み合わせながら、独自のスタイルを築いてきました。そこで、スイーツという1つの軸を作っておけば、それがキーワードになって、日本にスイーツを食べに行こう、日本にスイーツを学びに行こう、といった事も生まれてくるはずです。また、日本で採れたスイーツの素材や、日本で作られた伝統の器等も束ねながら、日本文化としてのスイーツを世界に向けて発信していく。そういった目的があって誕生したのが日本スイーツ協会です。

——辻口さんはフランスで賞を受けていますが、日本のスイーツを追求されているのですね。

辻口 ヨーロッパと日本では食事に関する考え方が少し違っています。例えば、日本の料理は砂糖を結構使うのですが、ヨーロッパの料理ではあまり使わない。だから最後のデザートでしっかり甘みを取ります。一方、日本の料理だとデザートの糖分は抑えられている。日本のデザートにはそういう傾向があります。また、気候の違いもあって、ヨーロッパは湿度が低くてカラッとしていますが、日本は湿度が高い。そういう事もあって、日本では割とウエットな、喉越しの良いものが好まれるのかなという感じがします。

——協会として今後やっていきたい事は?

辻口 作り手と食べ手のコミュニケーションの場を作っていきたいと思っています。今はコロナの問題があって、なかなか人が集まる事は出来ませんが、スイーツの作り手や素材の生産者の方々に、食べ手の皆様も加えて、勉強会なんかをしていきたいと考えています。

血糖値の急上昇で困っている人へのスイーツ

——学校での教育にも力を入れているのですね。

辻口 これまでも学校法人の資格を取得して、専門学校をやってきました。石川県金沢市のスーパースイーツ製菓専門学校と、白山市の国際調理専門学校という2校があり、スーパースイーツ製菓専門学校では学校長を務めています。また、21年4月に白山市に4年制の大学が開校するのですが、その教授に就任予定です。「かなざわ食マネジメント専門職大学」という大学です。申請から足掛け5年を経て、ようやく文部科学省の認可が下りました。日本初のフードサービスに特化した経営学が学べる大学なので、期待しています。

——学生には今後、どのような事を伝えていく予定ですか。

辻口 経営にはストーリーというものが非常に大事になってきます。科学的な分析、根拠、そういったものも含めて、どうお客様に伝えていくのかという事です。それを大学のコンテンツとして生かしていければと思っています。大学ですから、素材の効能だとか、調理の工程で素材の持つ作用を壊さないようにする方法だとかを研究する事が出来るので、そこにも期待しています。

——糖質コントロールのスイーツも作っていますが、何がきっかけだったのですか。

辻口 私自身、甘い物と関わっているうちに、糖尿病ではありませんが、血糖値が次第に高くなってくるという状況がありました。そんな頃に北里大学北里研究所病院の山田悟・糖尿病センター長との出会いがあって、山田先生が推奨しているロカボ(おいしく楽しく適正糖質)、緩やかな糖質制限という概念を知ったわけです。極端な糖質制限だと反動が起きてしまうので、緩やかになるべくストレスなく糖質をコントロールするという方法に興味を感じました。血糖値の急激な上昇が太る原因になったり、様々な合併症を引き起こしたりします。認知機能にも関わっているようです。そこで、血糖値の上昇を緩やかにする事に主眼を置いたスイーツを作ってきました。和三盆やココナッツシュガーを利用したり、天然甘味料と人工甘味料を組み合わせたりして、血糖値を急激に上げないスイーツ作りに取り組んでいます。そこにニーズがあったというより、血糖値の急上昇で困っている人がいるなら、それを何とかしようと歩み寄って行く事も、我々の仕事だと思っています。

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