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病院経営者のための会員制情報紙/集中出版株式会社

日本ライフ協会

日本ライフ協会
身寄りのない高齢者から集めた金を 不正流用した悪徳公益財団 

 公益法人が適正に運営しているか監督する「公益認定等委員会」の要請に基づいて、内閣府が日本ライフ協会に是正を勧告したことから、不正流用が明らかになった。 勧告と同時に理事、評議委員が全員辞任。勧告に従って是正する意識もなく、民事再生法を申請したが、スポンサーになるような慈善家が現われるはずもなく、破産した。会員の老人たちには、葬儀費用に充当される預託金はせいぜい4割しか戻ってこないという。かつて老人を標的にした豊田商事事件や昨今のオレオレ詐欺も顔負けの非道である。

当初は崇高な理念を持つ組織だった
 日本ライフ協会は最初から不正や詐欺を計画するような、いい加減な財団法人ではなかった。高齢化社会を迎えた2001年、三重県で濱田健士代表理事を中心に、福祉施設の入居待機者の現状や高齢者の福祉を考える研究会を立ち上げたのが始まりだ。 この研究会から「みまもり家族制度」と銘打ち、家族に代わり高齢者の生活を支援するNPO法人が発足し、日本ライフ協会に発展する。 09年には一般財団法人になるが、一貫して身寄りのない高齢者のために〝家族〟としての務めを果たそうという団体だった。

 具体的には、アパートや老人ホームなどの入居時や病気で入院するときの身元保証や生活サポート、独居老人の安否確認などの見守りサービスに加え死後の葬儀や納骨など、さらに成年後見制度に基づく法定後見人の役割を担う支援をも行うという、崇高な理念を持つ団体だったのである。 濱田代表理事は「2000年は介護保険制度と成年後見制度が施行され、高齢者を取り巻く環境が大きく変わったターニングポイントだった」と語っている。

 ちょうど、問題を起こしたコムスンを筆頭に、介護サービス業者が雨後のタケノコのように登場した時期だ。 「介護保険制度がない時代は、家族で介護を行う場合の負担は月に40万円以上かかったが、介護保険が出来たおかげで負担は1割で済むようになった。

 さらにデイサービスなどの福祉サービスは、利用者が自由に選ぶことができるようになった。しかし、その一方で、それまで行政が家族に代わって身元保証を引き受けてきた措置制度が廃止になり、身寄りのない高齢者が入院や福祉施設への入居時に求められる身元保証をしてくれる人がいなくなるという問題が生じた」 さらに、成年後見制度では後見人は身元保証ができないことになっているし、「後見業務は被後見人の死亡により終了する」と定められていて、死亡後、本人の銀行口座からお金を引き出せないし、葬儀もできない。

濱田氏たち研究会のメンバーはこういう問題に気付いたとき、身寄りのない、家族がいても頼れない高齢者のために、家族に代わるみまもり家族制度を24時間体制で提供するNPOの設立を思い立ったと語っている。 実際、身寄りのない独居老人ともなれば、自身の終に関する事柄はより切実だ。そういう高齢者に金銭でといえば語弊があるが、会員になることで、日本ライフ協会が家族の役割を果たそうとしていた。

当初の本部は三重県だったが、会員数が増えるのに従って東京に本部を置き、全国に18カ所の事業所を設けるほどの全国組織に拡大した。 それだけ頼るべき縁者のいない高齢者が多いということだろうが、身寄りのない高齢者、家族がいても折り合いが悪く疎遠になっている独居老人にとって頼りがいのある仕組みだった。 新聞各紙はこぞって日本ライフ協会の活動を紹介した。市町村からも福祉担当者が同協会を訪れて説明を聞き、高齢者から相談を受けたとき紹介先に役立てることを検討した。活動そのものは真面目な支援事業だったのだ。

仕組みは、モデルケースで約150万円を支払うと、そのうちの約100万円が入会金や身元保証料などに充当され、残りが葬儀、納骨の費用として預託されるというもの。 この手の支援組織はNPO法人だったり、一般社団法人だったりするのが普通だが、日本ライフ協会は一歩進んで、10年に、より公益責任を持つ公益財団法人に認定された。 認定を受けるために、日本ライフ協会は協会と加入者の2者だけで入会契約(2者契約)をせず、弁護士を加えた3者による契約を決め、勝手に預託金に手を付けられないように管理下に置く仕組みをつくった。公益財団法人の認可決定は、この3者契約による厳重な高齢者保護の徹底が評価されたからだった。

同名のNPO法人の運営資金に流用
 ところが、そんな会員保護を誇る公益財団法人で不正流用事件が起こっていたのである。一体、どういうことなのか。 ある関係者が言う。 「実は、公益財団法人の認可を受けたわずか3カ月後には、日本ライフ協会は2者契約で会員を集めていたんです。2者契約の会員数は1600人に上り、その預託金が運営費や職員の人件費に使い込まれたばかりでなく、第三者のNPO法人にも2億7000万円が不正流用されていた。

NPO法人は1億円を返したが、まだ1億7000万円が残っているというわけです」 流用先はなんとも紛らわしいのだが、日本ライフ協会と同名で、三重県で三つの老人ホームを運営しているNPO法人だった。しかも、NPO法人の代表者も公益財団法人の代表理事である濱田氏本人なのだ。 日本ライフ協会は、かつて三重県のNPO法人から全国区に活動が広がったとき、老人ホーム事業を切り離し、同名のNPO法人が運営することにした。しかし、老人ホームが資金不足に陥り、支援のために濱田氏が公益法人の資金に手を付けて横流ししたのである。 公益財団法人を監督する公益認定等委員会は当初、2者契約が行われているのを気付かなかったらしいが、昨春以来たびたび3者契約に改め、預託金として管理するように指示していたという。

 だが、濱田氏は見掛けの体裁を繕ってごまかしていた。 「濱田代表理事は預託金から1億7000万円を銀行に定期預金し、それを担保にNPO法人が1億7000万円を借り入れ、公益財団法人に返済している。早い話が預金提供です。日本ライフ協会はNPO法人が銀行に返済しない限り、1億7000万円は引き出せないどころか、戻ってこない公算が大きい。もはや自浄は困難とみて、委員会は是正を勧告した」(関係者) 日本ライフ協会は民事再生法の適用を申請した。会員の「万一のときの葬儀費用」に充当する預託金は8億8300万円が保全されているはずだが、実際は2億7400万円が不足していたという。 むろん、債権者集会は高齢者の怒りや戸惑いの声にあふれた。

 保全管理人はスポンサーを募ったが、現われず、万事休す。日本ライフ協会は2月26日、同様のみまもり支援をしているNPO法人「えにしの会」に事業を譲渡して解散することを決めた。しかし、同会は3月14日、「資金調達の見通しが立たない」として、契約解除を管財人に通知した。

公益財団法人認定は資金集めの方便
 それにしても、どこで間違ったのか。 代表理事の濱田氏は三重県亀山市に生まれ、三重短期大学を卒業し、団体職員になりながら、三重大学で学び直した苦労人だった。01年に始めた研究会から日本ライフ協会がスタートしたとき事務局長に就任し、みまもり家族制度をつくり、先頭に立って日本ライフ協会を牽引してきた。 だが、老人ホームを切り離したとき、公益財団とNPO双方の理事長を兼任したことがほころびをもたらしたようだ。 別の関係者が次のように話す。 「濱田氏は事務局長や代表理事に就くことで日本ライフ協会を引っ張ってきた。それだけの情熱を持っていたのはいいのだが、老人ホームも自分でなければ運営できないと錯覚した。公益財団法人の代表を務める人物がNPOの代表も兼任したことが間違いの元。福祉事業に熱心だったのに、ライフ協会が大きくなって、経営者になったつもりになってしまった。NPOの老人ホームが苦しくなると、NPOも大切だと、ためらいもなく日本ライフ協会の資金を流用した。もしNPOの代表者が別人だったら、そんなことはしなかっただろう」 濱田氏は周囲に「職員を増員したことで、人件費や運営費の不足を招いた」と語ったそうだ。

 しかし、今となっては3者契約を行うといううたい文句で受けた公益財団法人認定は、高齢者から資金を集めるための方便だったのではないか、という疑いが濃厚だ。 濱田氏は「公益認定等委員会にはいえなかった」と言っているそうだが、弁解にもならない。 濱田氏以外の協会の理事、監督を義務付けられている評議員たちも役割を果たしていなかった。研究会時代からの仲間で、事務局長や代表理事として日本ライフ協会を牽引してきた濱田氏に任せきりで、ごまかしに対して疑問にも思わず、不正流用を見抜けなかった。 そもそも身寄りのない高齢者のための「みまもり家族制度」にはボランティア精神が必要だということを忘れたところに、不正流用が起きた背景がある。福祉的行為を信じて入会した身寄りのない高齢者をだまして食い物にしたといわれても仕方がない。

3.5 rating

COMMENTS & TRACKBACKS

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  1. By カダフィー

    あほらしい。
    どこがや...何もわかってない。
    あの真実がどんな情熱なのか..証明してくれたまえ。

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