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「わいせつ」逆転有罪の 医師を襲った悲劇

「わいせつ」逆転有罪の 医師を襲った悲劇
「わいせつ」逆転有罪の
医師を襲った悲劇   

 家族を襲った悲しみはいかばかりであっただろうか。

 9月6日早朝、千葉県船橋市のJR船橋駅で、ホームに入ってきた総武線に人が飛び込み亡くなる事故があった。亡くなったのは、12歳の少年。実はこの少年は、手術後の女性患者にわいせつな行為をしたとして東京高裁で逆転有罪となった乳腺外科医の息子だった。

 「もちろん、死を選んだ理由は本人でなければ分からない。でも、父親の有罪判決が出たのは7月13日で、2カ月も経っていない。影響がなかったとは言い切れない」と医師に近い関係者は話す。

 東京高裁の判決を巡っては、医療現場の戸惑いは依然大きい。1審で無罪だった医師は、起訴事実を否認している事を「反省、謝罪の態度を示していない」とされ、高裁で懲役2年の実刑を言い渡された。

 都内の内科医は「恐ろしい判決。術後間もない患者の訴えが全て『事実』とされてしまっては、女性患者の診療に当たる男性医師は必ず女性スタッフの付き添いを求める等、自衛手段を執らざるを得ない」と訴える。都内の総合病院の医師は「4人部屋のカーテンの内側で患者が訴えたようなわいせつ行為に及んだと判断するなんて、医療現場を知らない荒唐無稽な判決だ」と憤る。

 医師側は最高裁に上告しており、判決は確定していない。まだ戦わなければいけない中で起きた最愛の息子の死。医師を知る人は「家族が心の支えだっただろうに、なんと言葉をかけて良いのか」と肩を落とす。

 司法によって生まれた絶望は、司法によってしか救えない。

菅政権から〝拒否〟された
医大教授のナゼ?

 菅義偉首相が就任早々、〝任命拒否〟をした事で騒ぎになった日本学術会議問題。政府に批判的だった事が影響したとの憶測も報じられるが、学術会議側が推薦したものの任命されなかった研究者6人が、どんな人物なのかは気になるところだ。

 任命されなかったのは、芦名定道・京都大学大学院教授(キリスト教学)、宇野重規・東京大学教授(政治学)、岡田正則・早稲田大学教授(行政法)、小澤隆一・東京慈恵医大教授(憲法学)、加藤陽子・東京大学大学院教授(歴史学)、松宮孝明・立命館大学大学院教授(刑法)。一流大学がずらりと並び、専門も様々。その中で異彩を放つのが、医大教授でありながら憲法学が専門という小澤氏だ。

 「小澤氏は2002年に設置された人間科学教室の教授で、医学科・看護学科の1年生に法学や教養を教えている。私立大学だしどんな講義をしても良いが、ゴリゴリの護憲派で、憲法9条改正を巡りメディアでの過激な発言も目立つ。大学のイメージに色がついてしまう事を懸念する声は以前から上がっていた」と同大関係者は話す。

 静岡大助教授時代から、共産党系の雑誌や新聞に登場。公安筋から警戒されているとの情報もある(全国紙記者)。

 首相官邸前の抗議集会に駆け付け、「権力から独立して意見を述べ、国民の幸せを実現するのが学術会議だ」と声を張り上げた小澤氏。有名教授の存在は大学人気を左右するが、憲法学の講義を聞くために東京慈恵医大を目指す学生が増えるとは考えにくい。医療者を目指す学生から憲法の専門家が育つ可能性も低く、結局のところ、どれほどの教授なのか不明なのだ。

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