
【東京女子医科大学とフジテレビに見る危機管理の欠如】
「日本社会全体の課題?他山の石として教訓にしたいもの」
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東京女子医科大学とフジテレビの問題は、日本の大組織における危機管理の甘さが露呈した一例と言える。まさに日本社会全体の課題を浮き彫りにしているとも言える。共通点は、両者ともに長年権力を握り続けた「ドン」と言われる人物の存在だ。東京女子医科大学は、長年にわたり日本の医療界を牽引してきた名門である。しかし、近年は医療事故をはじめとする経営問題が相次ぎ、医療機関としての信頼が揺らいでいた。特に、組織内の不正や説明責任の欠如が指摘される中で、危機管理の基本すら徹底されていない事が明らかになった。医療機関は、社会的責任が極めて大きい組織であり、患者や職員、ひいては国民に対して透明性のある対応を取ることが求められる。しかし、理事長逮捕に至るまでの対応を見ると、迅速かつ適切な説明や再発防止策が不十分であり、結果として信頼の回復には程遠い状況にある事が分かる。
一方、フジテレビも、かつては日本を代表するメディア企業として、影響力を誇っていた。しかし「ライジン事件」や「中居正広の案件」を見ると、報道機関としての責任感が希薄であり、危機管理の意識が著しく欠如していると言わざるを得ない。メディアは、社会の「公器」としての役割を果たすべき存在であり、視聴者や国民に対する説明責任を負っているはずだ。しかし、視聴率しか眼中にない経営姿勢が見え見えで、不適切な報道や組織内の問題が発覚した際の対応は幼稚で、情報を扱う組織としての自覚が問われる。
これらの事例から浮かび上がるのは、日本の大組織全体に共通する「危機管理意識の低さ」だ。本来、危機管理とは、問題が発生する前に適切な予防策を講じ、万が一問題が起きた場合には迅速かつ的確に対応することである。しかし、多くの日本の大組織では、危機が発生して初めて対応を考え、その場しのぎの策に終始することが多い。これでは、組織の信用を守るどころか、さらなる不信感を招く結果となる。
では、なぜ日本の大組織は危機管理が弱いのか。その理由の一つに「事なかれ主義」が根強く残っていることが挙げられる。組織の内部では、不祥事を未然に防ぐ努力よりも、問題が表面化した際に「どう鎮静化するか」「どう隠蔽するか」に意識が向きがちである。このような姿勢では、真の意味での危機管理は機能しない。特に、医療機関やメディアのように、社会的責任が大きい組織においては、問題発生時の対応だけでなく、リスク管理の文化を根本から見直す必要がある。また、危機管理において重要なのは「迅速な情報公開」と「適切な説明責任」である。危機に直面した際、多くの日本企業や組織は、まず「隠す」「時間を稼ぐ」といった対応を取りがちだ。しかし、現代の情報社会において、そのような姿勢は逆効果であり、むしろ信頼を失う原因となる。組織のリーダーは、問題が発生した際に率先して説明責任を果たし、関係者に対して真摯な対応を取るべきである。
東京女子医科大学もフジテレビも、日本社会にとって重要な役割を担う組織である。そのため、一連の問題を単なる一時的なスキャンダルとして済ませるのではなく、組織の在り方を根本から見直し、危機管理体制を強化する契機とすべきである。危機管理とは、単なるマニュアルの整備ではなく、組織全体の文化や価値観の問題である。社会に対して責任を負う立場の組織として、危機に対する備えをより一層強化することが求められている。
日本の大組織がこれからの時代を生き抜くためには、「問題が起きたときの対応」ではなく「問題を起こさないための仕組み作り」が不可欠である。今回の東京女子医科大学とフジテレビの問題を教訓とし、社会全体で危機管理の在り方を見直す必要があるだろう。
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