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「病院サバイバル時代」の本格到来

「病院サバイバル時代」の本格到来
合がて浮上

 2017年も早ひと月が過ぎたが、18年度には6年に1度の診療報酬と介護報酬の同時改定を控え、医療界も何かと気ぜわしくなっている。16年度診療報酬の改定や患者数の減少など、病院経営を取り巻く環境が厳しさを増している上に、続伸する社会保障費を抑えるために、次期改定はこれまで以上に厳しいものになると予想されている。

 16年末には、いくつか大型のニュースがあった。

 まず、共に埼玉県川越市の中核医療機関であった武蔵野総合病院(185床、従業員240人)と本川越病院(一般70床 回復期リハビリテーション35床、従業員45人)を経営する二つの医療法人が、さいたま地裁に民事再生法の適用を申請したことだ。両院とも埼玉県の2次救急指定病院になっており、武蔵野総合病院では年間約1150件の救急搬送の患者を受け入れているという。

 武蔵野総合病院は1967年に創立され、内科、外科、脳神経外科、神経内科、循環器内科などを備える総合病院である。

 医療法人武蔵野総合病院は、デイサービスセンターも開設しており、15年には約25億円の売り上げを上げていた。さらに同年、地元の大型ショッピングセンターには、CTやMRIなどの画像診断装置を備えた健診クリニック、川越予防医療センター・クリニックを開設して、さらに売り上げを伸ばしていたという。しかし、設備投資の負担に加えて、医師や看護師などの人員不足に悩まされていたとされ、直近では2期連続の赤字が続いていた。

 一方、本川越病院は、前身である医療法人刀圭会廣瀬病院が1958年に設立された後、地域に根付いていたが、こちらも設備投資の過剰から、2006年に民事再生法を申請しており、翌07年には武蔵野総合病院グループに統合された。6年には7億円の売り上げを上げているが、赤字は常態化していたとされる。

 両法人とも資金繰りに苦しみ、債務超過に陥っていたことから、破産申請の止むなきに至ったとされる。帝国データバンクによると、負債は、武蔵野総合病院が約34億円、刀圭会本川越病院が約28億円となっている。

 しかしながら、なお、いずれも通常通り病院の運営を続けている。申請時点で、両法人とも、病院経営・運営の支援をする「キャピタルメディカ」からの支援を受けることが決まっていたからだ。このため、埼玉県でも医療サービスの継続を確認できたことから、地域医療に影響はないと見ている。

サービス機能の拡大・相互補完に期待
 設備投資や人件費は、経営者の悩みの種である。

 独立行政法人福祉医療機構では、貸付先より提出された財務諸表データを用いて、病院の経営状況について分析・報告を行っている。15年度のデータによると、病院の赤字割合は近年増加傾向にあり、一般病院で39.6%、療養型病院で21.0%、精神科病院で26.6%となった。赤字割合の増加は医業費用の増加、中でも人件費の影響が大きいという。

 医業収益対医業利益率は、一般病院1.1%、療養型病院5.6%、精神科病院2.4%。自己資本比率は、一般病院24.8%、療養型病院46.4%、精神科病院49.3%と、いずれも前年度からほぼ横ばいだという。一般病院で自己資本比率が低い理由として、投資機会が多いことに加えて、キャッシュベースの利益が減少傾向にあるため、設備投資の際に負債による資金調達が増加していることが考えられている。

 一方で、資金に余裕はあるものの、設備投資等に投下せず現預金で保有する傾向もあったという。設備投資を行っていない病院では、その後の業況が大きく低下していた。このため、将来的な経営環境の変化への柔軟な対応や病院の発展のためにも、現預金については積極的な活用をしていくことが望ましいようだ。

 病院経営のトピックでは、16年末に東京都内で著名な病院同士の合併があった。杉並区で河北総合病院(331床)などを経営する社会医療法人河北医療財団と、多摩市内で新天本病院など高齢者医療を中心に展開している医療法人財団天翁会が合併を発表したのだ。天翁会は、16年12月1日から河北医療財団多摩事業部として、これまで通りの活動をしている。

 同財団は河北総合病院を中軸として、急性期医療から回復期、在宅医療まで幅広く展開しており、杉並区の地域医療の中心的な役割を担っている。

 率いる河北博文理事長は、自ら設立を主導したとされる公益財団法人日本医療機能評価機構の理事長職にもあり、東京都病院協会や日本病院会副会長などの要職を歴任してきた病院経営のキーパーソンである。

 片や、理事長として天翁会を率いてきた天本宏氏は、1980年に個人病院として高齢者医療専門病院の先駆けである天本病院(179床)を設立した後、介護老人保健施設、クリニック、居宅介護支援事業所など多機能な事業所ネットワーク「あいセーフティネット」を構築。超高齢社会を支える「地域包括ケアシステム」の先駆として知られる。「老人の専門医療を考える会」初代会長、日本慢性期医療協会初代会長、全日本病院協会副会長、日本医師会常任理事などの要職も歴任した。合併後は、河北医療財団理事長相談役に就く。

 多摩事業部は、2017年2月には小規模多機能施設、フィットネスサロン、訪問看護ステーションを開設するなど、さらなる事業展開を進めている。法人の合併により、サービス機能の拡大・相互補完が期待されている。

 一般急性期病院の市場が縮小する流れの中にあって、荒波の中をどう生き残っていけばいいのか。公立病院の統廃合は言うに及ばず、今や民間の病院にとっても、再編や統合が経営戦略として浮上してきている。

地域医療構想が病院に迫る選択
 各都道府県の地域医療構想は、間もなく出揃うはずだ。そして、都道府県においては、18年度から始まる医療計画を策定する年でもある。今回の医療計画は、地域医療構想を踏まえた上で、医療提供体制のビジョンを示すものとなるはずだ。

 塩崎泰久・厚生労働大臣は、四病院団体協議会(四病協)の念頭の挨拶においても、地域医療構想の具体化と、そこに向けた病院の役割の大きさを強調した。

 地域医療構想が、全国の病院に対して再編や統合の選択を突き付けるものになるだろうことは想像に難くない。同時改定まで残すところ1年余り、病院の再編や統廃合についての活発な動きが見られるはずだ。先駆けとなる事例を注視していきたい。

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