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未来の会

政治主導で「命と暮らし」を守る社会保障を ~労働、雇用、子育て支援、児童虐待にも取り組む~

政治主導で「命と暮らし」を守る社会保障を ~労働、雇用、子育て支援、児童虐待にも取り組む~
大隈 和英(おおくま・かずひで)1969年兵庫県生まれ。函館ラ・サール高、聖マリアンナ医科大卒業。京都大大学院医学研究科医療経済学分野博士課程単位取得退学(衆議院当選により)。大阪大医学部第一外科(現心臓血管外科)に入局。国立呉病院・中国地方がんセンター外科・心臓血管外科、大手前病院外科、宝塚市立病院呼吸器外科、大阪警察病院外科等で勤務。大学院進学後は高槻市内の総合病院で乳腺外科診療に従事。2014年衆院選で初当選。17年衆院選で再選。20年厚労大臣政務官。

厚生労働大臣政務官に就任して半年余り。大隈和英氏は、医師の経験を活かして従来から取り組んできた医療や介護等の社会保障行政に留まらず、コロナ禍で深刻化する労働や雇用の問題、更には子育て支援や児童虐待防止等の問題にも、内閣の一員として深く関わってきた。新型コロナウイルスの蔓延で大きなダメージを受けた日本は、この試練をチャンスに変えて未来を切り開く事が出来るのだろうか。コロナ禍における厚生労働行政について話を聞いた。


——厚生労働大臣政務官に就任され半年余りですが、現在のお仕事の状況は?

大隈 昨年9月から半年を過ぎ、改めて厚生労働省の所管分野の広さと責務の重さを痛感しながら、コロナ対策を含め、日々の課題に懸命に取り組んでいるところです。特に医療の分野に関しては、厚労省がどのような舵取りをするかによって大きな影響が出る事を身をもって体験してきた人間ですから、心して仕事をしなければと感じています。医療現場の皆さんの高いモチベーションを維持して、思う存分に活躍していただけるような環境を作っていかなければと思っています。暮らしを支えていくという点では、労働や雇用の問題は、コロナ禍の今では重要性は増すばかりです。更に、私の担務である、子育て支援や児童虐待等の問題もあります。こうした多くの分野で、厚労省がしっかり目配り、心配りしてやっていかなければと考えています。

——勤務医の時は、厚労省からいろいろ言われていたのが、立場が大きく変わったわけですね。

大隈 180度とは言いませんが、立場が大きく変わったのは事実です。私なりに思うところはありますが、全体最適という事が、この厚労省にも求められていると思います。特に社会保障に関しては、1つのホールケーキをどう切り分けるかという事に議論が終始しがちですが、これから10年後、20年後、30年後のあるべき姿についてしっかり議論し、英知を結集して良いモデルを示していかなければ、という思いがあります。

——昔の勤務医仲間からこうしてほしい、ああしてほしいという声は?

大隈 しょっちゅうありますよ。それだけではなく、恩師や大先輩の方々からお叱りを頂戴する事もあります。かなり昔と比べたら抑えておられますが。それは非常に励みになります。また、現場の医療従事者の生の声を聞く事が出来たり、こちらからも相談出来たりするというのは、非常に恵まれていると思っています。新しいアイデアや政策について、実務面でどんな問題があるか、といった具合に生の声をすぐにリサーチ出来ますからね。

ピンポイントの対策が可能になった

——コロナ対策の現状をどう見ていますか。

大隈 1年以上経過しましたが、1週間単位で目まぐるしく局面が変わってくるな、というのを強く感じます。1カ月も経つと状況は全く変わってしまいます。1年前に、ここまで長きにわたって甚大な影響が出ると予測出来た人は誰もいなかったし、去年の段階では皆手探り状態でした。政府も、地方自治体も、医療現場も、社会のあらゆるところが、初めて経験する本格的な本土決戦と言われる、新たなウイルスの脅威に手探り状態で対策に当たったわけです。しかし、苦労してきた事で得られた知見が積み重なって、様々な事が分かってきました。対策についても、昨年はPPEさえ入手出来ないという問題を抱えていましたが、今はもう根拠のある有効な対策をピンポイントで打てるようになっています。コロナ対策に携わってきて、そう実感しています。こうした経験を無駄にしてはいけません。人口当たりの死者数では、欧米と比較にならない少なさの日本は、客観的な検証を加えながら、自信を持ってジャパンモデルとして世界に発信して行くべきだと思います。

——日本は検査数が少ないと指摘する人もいますが。

大隈 昨年来、PCR検査をなぜ増やせないのかという声が国内に満ちていました。医療体制が整っていなかった当初は、検査対象を有症状者に限るという方針を執った事は、賛否はあったとしても、結果的には一定の評価をされるべきだと思います。その後、HER-SYS(新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理システム)が整いましたし、検査機器や抗原検査の簡易キットの開発等もあり、また民間検査会社の尽力もあって、検査数は飛躍的に伸びました。安倍総理(当時)は1日2万件を目指して苦心されましたが、今や検査能力は1日約18万件に上っています。それによって、高齢者施設等への感染を防ぐ水際対策として、全職員の頻回検査のように、機動的かつ戦略的に検査を実施出来るようになりました。

——批判の中には誤解もあるのかもしれませんね。

大隈 間違った情報が発信されているような事があれば、きちんと訂正が必要です。そういったリスクコミュニケーションは迅速さが大切です。これは、単に支持率や組織防衛のために必要なのではなく、対策には何より国民からの信頼と協力が不可欠だからです。海外の数十万の死者を出す国でデモや暴動が起きる報道を見ると、つくづくその重要さを感じます。大切なのは根拠のある対策によって、国民的団結と日本らしい支え合いを維持していく事です。

オンライン診療の適切な実施を目指す

——オンライン診療を推進するチャンスだと思いますが、どのように進みそうですか。

大隈 医療においてもICTを利活用しない手はありません。このパンデミックの中で、人と人との接触を減らすのに貢献するオンライン診療は、今までになかった大きな追い風を得ていると思います。ただ、オンライン診療では個人の健康や傷病という最も大切な情報を扱う事になるので、何より安全性と信頼性を担保する事が求められます。その点を踏まえて、初診も含めた身近なかかりつけの医師によるオンライン診療を原則解禁する事で、厚労大臣とIT担当大臣と行政改革担当大臣の間で意識合わせがなされました。

——問題点を指摘する声もあります。

大隈 私が臨床医の経験から考えただけでも、初対面の患者のオンライン診療では、理学的所見をどう詳細に診るのかといった問題がありますね。初診から診断・治療までの遅延や、疾患の見落としリスクや、なりすまし等の解決すべき課題が存在します。オンライン診療の実施に当たっては、従来の対面診療との適切な組み合わせが必要でしょう。厚労省では、「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」で検討を進めています。今後のスケジュールについては、現在の時限的・特例的措置でのオンライン診療を着実に実施しながら、今後の恒久化への諸問題について、専門的な観点も含めて丁寧に検討を行い、今年の夏を目途にその骨格をまとめ、その上で秋頃に指針を改定する予定になっています。

——医療のICT化ではデータの管理も重要ですね。

大隈 マイナンバーカードに健康保険証や口座等の様々なデータを結び付け、ワンストップで行政サービスが受けられるようにしていこうという考えがあります。パーソナルヘルスレコードを個人が携帯出来るようにするという事も議論されています。こうした事を進めるのに肝心なのはセキュリティーと情報管理です。自分の健康情報は人に知られたくない、見られたくない情報ですから、そこは特に守っていかなければなりません。

大隈 昨年9月から半年を過ぎ、改めて厚生労働省の所管分野の広さと責務の重さを痛感しながら、コロナ対策を含め、日々の課題に懸命に取り組んでいるところです。特に医療の分野に関しては、厚労省がどのような舵取りをするかによって大きな影響が出る事を身をもって体験してきた人間ですから、心して仕事をしなければと感じています。医療現場の皆さんの高いモチベーションを維持して、思う存分に活躍していただけるような環境を作っていかなければと思っています。暮らしを支えていくという点では、労働や雇用の問題は、コロナ禍の今では重要性は増すばかりです。更に、私の担務である、子育て支援や児童虐待等の問題もあります。こうした多くの分野で、厚労省がしっかり目配り、心配りしてやっていかなければと考えています。

——勤務医の時は、厚労省からいろいろ言われていたのが、立場が大きく変わったわけですね。

大隈 180度とは言いませんが、立場が大きく変わったのは事実です。私なりに思うところはありますが、全体最適という事が、この厚労省にも求められていると思います。特に社会保障に関しては、1つのホールケーキをどう切り分けるかという事に議論が終始しがちですが、これから10年後、20年後、30年後のあるべき姿についてしっかり議論し、英知を結集して良いモデルを示していかなければ、という思いがあります。

——昔の勤務医仲間からこうしてほしい、ああしてほしいという声は?

大隈 しょっちゅうありますよ。それだけではなく、恩師や大先輩の方々からお叱りを頂戴する事もあります。かなり昔と比べたら抑えておられますが。それは非常に励みになります。また、現場の医療従事者の生の声を聞く事が出来たり、こちらからも相談出来たりするというのは、非常に恵まれていると思っています。新しいアイデアや政策について、実務面でどんな問題があるか、といった具合に生の声をすぐにリサーチ出来ますからね。

ピンポイントの対策が可能になった

——コロナ対策の現状をどう見ていますか。

大隈 1年以上経過しましたが、1週間単位で目まぐるしく局面が変わってくるな、というのを強く感じます。1カ月も経つと状況は全く変わってしまいます。1年前に、ここまで長きにわたって甚大な影響が出ると予測出来た人は誰もいなかったし、去年の段階では皆手探り状態でした。政府も、地方自治体も、医療現場も、社会のあらゆるところが、初めて経験する本格的な本土決戦と言われる、新たなウイルスの脅威に手探り状態で対策に当たったわけです。しかし、苦労してきた事で得られた知見が積み重なって、様々な事が分かってきました。対策についても、昨年はPPEさえ入手出来ないという問題を抱えていましたが、今はもう根拠のある有効な対策をピンポイントで打てるようになっています。コロナ対策に携わってきて、そう実感しています。こうした経験を無駄にしてはいけません。人口当たりの死者数では、欧米と比較にならない少なさの日本は、客観的な検証を加えながら、自信を持ってジャパンモデルとして世界に発信して行くべきだと思います。

——日本は検査数が少ないと指摘する人もいますが。

大隈 昨年来、PCR検査をなぜ増やせないのかという声が国内に満ちていました。医療体制が整っていなかった当初は、検査対象を有症状者に限るという方針を執った事は、賛否はあったとしても、結果的には一定の評価をされるべきだと思います。その後、HER-SYS(新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理システム)が整いましたし、検査機器や抗原検査の簡易キットの開発等もあり、また民間検査会社の尽力もあって、検査数は飛躍的に伸びました。安倍総理(当時)は1日2万件を目指して苦心されましたが、今や検査能力は1日約18万件に上っています。それによって、高齢者施設等への感染を防ぐ水際対策として、全職員の頻回検査のように、機動的かつ戦略的に検査を実施出来るようになりました。

——批判の中には誤解もあるのかもしれませんね。

大隈 間違った情報が発信されているような事があれば、きちんと訂正が必要です。そういったリスクコミュニケーションは迅速さが大切です。これは、単に支持率や組織防衛のために必要なのではなく、対策には何より国民からの信頼と協力が不可欠だからです。海外の数十万の死者を出す国でデモや暴動が起きる報道を見ると、つくづくその重要さを感じます。大切なのは根拠のある対策によって、国民的団結と日本らしい支え合いを維持していく事です。

オンライン診療の適切な実施を目指す

——オンライン診療を推進するチャンスだと思いますが、どのように進みそうですか。

大隈 医療においてもICTを利活用しない手はありません。このパンデミックの中で、人と人との接触を減らすのに貢献するオンライン診療は、今までになかった大きな追い風を得ていると思います。ただ、オンライン診療では個人の健康や傷病という最も大切な情報を扱う事になるので、何より安全性と信頼性を担保する事が求められます。その点を踏まえて、初診も含めた身近なかかりつけの医師によるオンライン診療を原則解禁する事で、厚労大臣とIT担当大臣と行政改革担当大臣の間で意識合わせがなされました。

——問題点を指摘する声もあります。

大隈 私が臨床医の経験から考えただけでも、初対面の患者のオンライン診療では、理学的所見をどう詳細に診るのかといった問題がありますね。初診から診断・治療までの遅延や、疾患の見落としリスクや、なりすまし等の解決すべき課題が存在します。オンライン診療の実施に当たっては、従来の対面診療との適切な組み合わせが必要でしょう。厚労省では、「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」で検討を進めています。今後のスケジュールについては、現在の時限的・特例的措置でのオンライン診療を着実に実施しながら、今後の恒久化への諸問題について、専門的な観点も含めて丁寧に検討を行い、今年の夏を目途にその骨格をまとめ、その上で秋頃に指針を改定する予定になっています。

——医療のICT化ではデータの管理も重要ですね。

大隈 マイナンバーカードに健康保険証や口座等の様々なデータを結び付け、ワンストップで行政サービスが受けられるようにしていこうという考えがあります。パーソナルヘルスレコードを個人が携帯出来るようにするという事も議論されています。こうした事を進めるのに肝心なのはセキュリティーと情報管理です。自分の健康情報は人に知られたくない、見られたくない情報ですから、そこは特に守っていかなければなりません。

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