
薬のチェック125号1)では、日本骨粗鬆症学会等による「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版」(以下GL)2)を批判的に吟味した。その③は、2000年以降販売の骨粗鬆症用剤について。過去に、薬のチェックは命のチェック誌(ビスホスホネート)3)や、薬のチェック誌(その他の3剤)4-6)で評価したが、その後の情報も含めて見直した。
ビスホスホネート剤(商品名種々)
GLでは破骨細胞による骨の吸収抑制作用が強調されている。しかし、古くなった骨を吸収しながら新しい骨を作ってはじめて、健康でしなやかな骨になる。ビスホスホネートは、リン酸の利用を阻害するため、古い骨を残したまま、骨の新生をも阻害する。そのために骨は硬くなるが、しなやかさが失われ、異様な骨が蓄積し、通常は折れないような部位まで骨折する「非定型骨折」が起こることがある。
生命体にとって必須の物質であるリン酸の利用を阻害するため、コレステロール合成や、コエンザイムQ合成も阻害され、骨の新生に必要な血管形成や軟骨の骨化を阻害するため、全身状態、免疫状態にも影響する。
GLにおいて、使用を3年で一区切りとし、途中で骨折した場合でも3〜5年で一区切りとし、使用休止を検討するとの趣旨になってきている2)のはこのためである。
長期試験を詳しく検討したところ、5年どころか、3年以上の使用も危険、3年以内も確実に安全とは言えないという結果であった。
テリパラチド
副甲状腺ホルモン様製剤のテリパラチドは、週1回または2回皮下注のテリボンⓇと、毎日注射するフォルテオⓇがある。
骨組織が増え、椎体骨折率は約3分の1に、非椎体骨折率は約3分の2に減ったが、骨からカルシウムが遊離し、腎臓でのカルシウム再吸収が増え、腸からのカルシウム吸収を増加させ高カルシウム血症を起こす。また、平滑筋を弛緩させ、血圧低下、悪心、頭痛、めまいを起こし、神経の興奮性を変化させて無力症やうつ病、呼吸困難が、用量依存性に増加する。しかも費用は2年間100 万円超と高額である。
デノスマブ(プラリアⓇ)
デノスマブも破骨細胞を抑制して骨を硬くするが骨新生も阻害する。異物除去の免疫反応に重要な役割を持つTNF-αスーパーファミリーに属するRANKLの阻害剤であるため、感染症やがんを多発させる。背部痛が起こりやすく、ビスホスホネート同様、抜歯後の顎骨壊死、発疹やかゆみなどアレルギーが多い。
ロモソズマブ(イベニティⓇ)
1カ月に1回の皮下注射剤。骨の形成を抑制する因子スクレロスチンを阻害し、骨の石灰化を促進する。骨の石灰化だけでなく、血管の石灰化も促進するため、血管の動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞などを起こして多数が死亡した。脊椎の骨折を3人減らすごとに、心筋梗塞か脳卒中、あるいは何らかの原因で死亡が2人増えると推定され、総死亡も1.4倍に増える傾向があった。1年間の使用制限付きだが、休止後の再使用で長期使用の可能性もある。
総合的に
当シリーズ①で触れたように、薬物治療が骨折抑制に貢献しているといえない。いずれも不要。
参考文献
1)薬のチェック2026:26(125):52-57.
https://medcheckjp.org/issue/n125/
Web資料②:
https://medcheckjp.org/wp-content/uploads/2026/05/sousetuweb2.pdf
2) 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版
3)薬のチェックは命のチェック207:7(28):26-41
4)デノスマブ、薬のチェック2017:17(72):76-80.
5)テリパラチド薬のチェック2017:17(74):127-130
6)ロモソズマブ、薬のチェック2020:20(87):4-7.





LEAVE A REPLY