
【日本の女性が世界の女性と同じ権利を有する事の難しさ】
「女性の受診も配偶者の同意が必要と言う日本は世界の冷笑に」
この記事(1,287文字)は100秒でお読み頂けます。
旧知のパリ大学教授から届いたメールには、彼の友人の国連関係者が「国連の劣化」を嘆いていると言う。それはそうだろう。今、世界で起きている紛争について、常任理事国の一国の拒否権で決議は否決され、和平への道は閉ざされる。実に不可解なルールだ。「大国の一致」が必要だと言うが、紛争に関して言えば、紛争当事者の背後にはアメリカ・ロシア・中国の大国だ。「大国の一致」など有り得ない。このルールが存在する限り、国連による紛争解決は実効性を欠くと言わざるを得ない。しかし、国連が持つ機能は昔から変わっていない。「国連の劣化」と感じるのは、大国が絡む紛争が世界中で起きているからに他ならない。別な見方もある。「国連の劣化」の一つに、国連の勧告には強制力が無い事が挙げられる。教授は、この強制力の欠如で助かっている国の一つに日本があると笑う。事実、日本は女性に関する医療やジェンダー平等について、度々、勧告を受けるもスルーしている現実がある。この10月にも国連は日本のジェンダー平等への取り組みに対する見解を発表しているが、日本は勧告馴れてきてしまっている感がある。
教授は、日本がジェンダー平等の取り組みで遅れている理由を2つ挙げている。一つは未だに家長制度を引き摺っている事、もう一つは「変わりたくない・変われない」という日本人の特性だと指摘する。家父長制度を辞書で引くと「主に男性が支配的で特権的な地位を占める社会的システム」とある。教授の指摘は正しいのか。ダイバーシティーやジェンダーの分野で、日本は先進国の中で最下位にある。「報道の自由度ランキング」でも同様に最下位に近い所に位置している。世界では日本にとって厳しい判定が行われている事をもう少し知るべきだ。
今年、ジュネーブに日本人の市民団体が乗り込み、日本社会が如何に女性を差別しているかを訴えた。韓国の市民団体が国連に乗り込み、日本批判を繰り返すニュースは目にするが、自国の批判をするために国連に乗り込む団体は珍しい。それほどまでに日本の現状に危機感を覚えている証しだ。その訴えの中に妊婦を含む女性に対する医療がある。「リプロダクティブ・ヘルス&ライツ」も槍玉に挙がる。日本では、人工妊娠中絶についても原則、配偶者の同意を要する。NIPT(出生前診断)でも配偶者の同意を必要としている。このように女性が自身の身体について決定する権利が制限されている日本の医療制度。欧米からは理解不能だと冷笑されている。一方で、日本では若い女性の堕胎はずっと年間十数万件を越えている。厚生労働省のHPには2022年度の「人工中絶届出数」は12万2,275件とある。あくまでも届出件数だ。こんな数字がありながら、一方では配偶者の同意を要する制度との矛盾は明らかだ。一例を挙げると「大学医学部2023年問題」は、欧米諸国が日本政府に突き付けたチェンジを求めた通達だった。悲しいかな、この通達は先進国で唯一日本だけだった。日本は慌てて医学部教育カリキュラムを世界基準に変えた。その気になれば変われるのだ。「日本の女性が世界の女性と同じ権利を有する」事に反対している日本はもう変わらなければ。
皆様からの情報をお待ちしております。>>> info@zezehihi.shuchu.jp
【「集中」の是々非々 01】「大日本印刷北島社長の引責辞任」
【「集中」の是々非々 02】「悪辣な看護師派遣ビジネスで重い医療法人の財務負担」
【「集中」の是々非々 03】「日大田中理事長体制を守ってきた責任は文部科学省にある!」
【「集中」の是々非々 04】「東京にタクシーがいない・東京オリンピックにむけて大丈夫?」
【「集中」の是々非々 05】「大日本印刷北島社長の引責辞任(2)」
【「集中」の是々非々 06】「企業検診の義務化と予防医学を目指す」
【「集中」の是々非々 07】 「新型コロナウイルス対策」
【「集中」の是々非々 08】「NIPT(出生前遺伝学的検査)は知る権利の一つだ」
【「集中」の是々非々 09】「地に落ちた権威・WHO」
【「集中」の是々非々 10】「世界が疑う日本発の情報」
【「集中」の是々非々 11】「新総裁候補に期待すること」
【「集中」の是々非々 12】「ファンド資金が医療法人に流入」
【「集中」の是々非々 13】「替わらない厚労省と変われない医師」
【「集中」の是々非々 14】「オンライン診療の導入を」
【「集中」の是々非々 15】「日本初の医療格付がスタート」
【「集中」の是々非々 16】「日本薬剤師連盟が頭を抱える松本純議員の行状」
【「集中」の是々非々 17】「米国医師はカルテと処方箋の記載に全精力を傾ける」
【「集中」の是々非々 18】「米国史上で最悪の医薬事件の顛末」
【「集中」の是々非々 19】「新型コロナ感染拡大の中で見る国家力」
【「集中」の是々非々 20】「尾身発言は立派の一語」
【「集中」の是々非々 21】「大学医学部の2023年問題」
【「集中」の是々非々 22】「日本の大学総長選挙が海外で注目に」
【「集中」の是々非々 23】「研究費を自ら集めまくる海外一流大学」
【「集中」の是々非々 24】「病院は不正企業の稼ぎ場なのか」
【「集中」の是々非々 25】「オリンパスの漏洩事件が医療期間へ波及する?」
【「集中」の是々非々 26】「海外メディアが配信する日本大学理事長逮捕の衝撃」
【「集中」の是々非々 27】「コロナ幽霊病棟補助金の話題が拡散中」
【「集中」の是々非々 28】「小野薬品オプジーボ訴訟から見えた日本の現状」
【「集中」の是々非々 29】「当事者になって見えたもの」
【「集中」の是々非々 30】「ジェンダー平等は時代の趨勢」
【「集中」の是々非々 31】「医療ツーリズムは国際間競争に発展」
【「集中」の是々非々 32】「岸田首相の考える健康危機管理庁(仮称)構想」
【「集中」の是々非々 33】「米連邦最高裁判所で中絶NOの判決」
【「集中」の是々非々 34】「東京電力13兆円賠償判決は医療賠償に影響」
【「集中」の是々非々 35】「東京工業大学と日本医科歯科大学の統合協議開始」
【「集中」の是々非々 36】「コンサル会社にご用心」
【「集中」の是々非々 37】「上辺だけのサービスにはご用心」
【「集中」の是々非々 38】「内部告発には迅速な対応が必要」
【「集中」の是々非々 39】「世界は混沌」
【「集中」の是々非々 40】「1000億円の損害賠償」
【「集中」の是々非々 41】「マスコミにはご用心」
【「集中」の是々非々 42】「日本の国際社会から乖離の一例」
【「集中」の是々非々 43】「日本M&Aセンターの凄み」
【「集中」の是々非々 44】「海外金融機関から期待されている集中格付」
【「集中」の是々非々 45】「有機トリチウムは恐ろしい物質」
【「集中」の是々非々 46】「海外のスパイが跋扈するお気楽な日本」
【「集中」の是々非々 47】「過疎化と高齢化がもたらす病院経営の変化」
【「集中」の是々非々 48】「強引とも思える国際基準は誰が決めるのか?」
【「集中」の是々非々 49】「新たなアインファーマシーズ事件」
【「集中」の是々非々 50】「海外臓器移植斡旋に実刑判決」
【「集中」の是々非々 51】「世界もグリニッジが標準」
【「集中」の是々非々 52】「日本の臓器移植のお寒い現状」
【「集中」の是々非々 53】「身元保証が無ければ生きていけない社会が到来」
【「集中」の是々非々 54】「日本の医療制度は世界一、秀逸」
【「集中」の是々非々 55】「製薬会社が国民から袋叩き状態に!」
【「集中」の是々非々 56】「地方の医師不足を解消するために新制度?」
【「集中」の是々非々 57】「美容医療トラブル急増」の大きなタイトル記事」
【「集中」の是々非々 58】「医師の報酬を欧米並みに高額にするべし」
【「集中」の是々非々 59】「医療現場を脅かすモンスターペイシェントの存在」
【「集中」の是々非々 60】「医師の偏在問題と僻地医療の新たなアプローチ」
【「集中」の是々非々 61】「患者代表を中医協に加える事の意義と必要性」
【「集中」の是々非々 62】「日本の女性が世界の女性と同じ権利を有する事の難しさ」
【「集中」の是々非々 63】「日本の英語力92位に転落」の記事に驚愕
【「集中」の是々非々 64】「東京女子医科大学とフジテレビに見る危機管理の欠如」
【「集中」の是々非々 65】「日本の医療の信用失墜を心配する内閣府」
【「集中」の是々非々 66】「フジテレビ「調査報告書」の中立性は保たれているのか?」
【「集中」の是々非々 67】「都合の良い人間関係」が人生を壊す
【「集中」の是々非々 68】「取り残される国、日本」
【「集中」の是々非々 69】「英国最大の失敗、BREXITから学ぶ」
【「集中」の是々非々 70】「お一人さま問題が社会に与える損失は膨大」
【「集中」の是々非々 71】「画期的な手法で医療費削減を」