
初診料
我が国の国民皆保険制度は、様々なルール(健康保険法等、健康保険法施行令等〈政令〉、療養担当規則〈省令〉、診療報酬点数表〈告示〉、通知等)により司られています。本企画は、保険診療の正しい解釈をお伝えし、保険医療機関の「安全で良質な医療」の提供と共に、収益増大の一助となる事を期待しています。
今回は、「A000 初診料(291点)」を取り上げます。
初診時には、患者の主訴、現病歴、既往歴、アレルギー歴、家族歴等を丁寧に聴取する事が求められます。これらは、様々な主訴を持つ初診患者に対して臨床推論を進める上で基本となる情報であり、再診時の診療とは明確に区別されます。その為、初診料は291点と、再診料の76点に比べて遙かに高く設定されています。
令和8年度の改定では、初診時に「外来・在宅物価対応料」の2点を併せて算定出来るようになった為、初診時の算定点数は実質293点となります(2027年6月からは更に4点増加する予定です)。初診時に物価対応料が正しく付与されているか、レセコン側で算定項目が正しく登録され、レセプトデータに反映されているかを確認する必要が有ります。尚、物価対応料は「届出不要」ですが、「自動算定」ではないので注意してください。
初診と再診の算定については、実際の診療場面において判断に迷う事が有ると思います。目を通しておくべき通則、告示、通知、留意事項等を、以下に抜粋し示します。
【初・再診料の通則】
(同時に2以上の傷病について初診・再診、2以上の保険医等の初診・再診の取り扱い)
*同一の保険医療機関(医科歯科併設の保険医療機関(歯科診療及び歯科診療以外の診療を併せて行う保険医療機関をいう。以下同じ。)を除く。)において、2以上の傷病に罹っている患者について、それぞれの傷病につき同時に初診又は再診を行った場合においても、初診料又は再診料(外来診療料を含む。)は1回に限り算定する。
同一の保険医療機関において、2人以上の保険医(2以上の診療科にわたる場合も含む。)が初診又は再診を行った場合においても、同様である。以下省略
(初診又は再診に付随する一連の行為の取り扱い)
*初診又は再診が行われた同一日であるか否かにかかわらず、当該初診又は再診に附随する一連の行為とみなされる次に掲げる場合には、これらに要する費用は当該初診料又は再診料若しくは外来診療料に含まれ、別に再診料又は外来診療料は算定できない。
ア初診時又は再診時に行った検査、画像診断の結果のみを聞きに来た場合
イ 往診等の後に薬剤のみを取りに来た場合
ウ初診又は再診の際検査、画像診断、手術等の必要を認めたが、一旦帰宅し、後刻又は後日検査、画像診断、手術等を受けに来た場合
【注】 ※抜粋
5 1傷病の診療継続中に他の傷病が発生して初診を行った場合は、それらの傷病に係る初診料は、併せて1回とし、第1回の初診のときに算定する。ただし、同一保険医療機関において、同一日に他の傷病について、新たに別の診療科を初診として受診した場合は、2つ目の診療科に限り146点(注1のただし書に規定する場合にあっては、127点)を、この場合において注2から注4までに規定する場合は、108点(注1のただし書に規定する場合にあっては、94点)を算定できる。ただし書の場合においては、注6から注16までに規定する加算は算定しない。
7 保険医療機関が表示する診療時間以外の時間(深夜(午後10時から午前6時までの間をいう。以下この表において同じ。)及び休日を除く。以下この表において同じ。)、休日(深夜を除く。以下この表において同じ。)又は深夜において初診を行った場合は、時間外加算、休日加算又は深夜加算として、それぞれ85点、250点又は480点(6歳未満の乳幼児の場合にあっては、それぞれ200点、365点又は695点)を所定点数に加算する。ただし、専ら夜間における救急医療の確保のために設けられている保険医療機関にあっては、夜間であって別に厚生労働大臣が定める時間において初診を行った場合は、230点(6歳未満の乳幼児の場合にあっては、345点)を所定点数に加算する。
9 別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関(診療所に限る。)が、午後6時(土曜日にあっては正午)から午前8時までの間(深夜及び休日を除く。)、休日又は深夜であって、当該保険医療機関が表示する診療時間内の時間において初診を行った場合は、夜間・早朝等加算として、50点を所定点数に加算する。ただし、注7のただし書又は注8に規定する加算を算定する場合にあっては、この限りでない。
11 組織的な感染防止対策につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関(診療所に限る。)において初診を行った場合は、外来感染対策向上加算として、月1回に限り6点を所定点数に加算する。ただし、発熱その他感染症を疑わせるような症状を呈する患者に対して適切な感染防止対策を講じた上で初診を行った場合は、発熱患者等対応加算として、月1回に限り20点を更に所定点数に加算する。
14 注11本文に該当する場合であって、抗菌薬の使用状況につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において初診を行った場合は、抗菌薬適正使用体制加算として、月1回に限り5点を更に所定点数に加算する。
15 保険医療機関(診療所又は許可病床数が200床未満である病院に限る。)において、特定機能病院、地域医療支援病院(一般病床の数が200床未満の病院を除く。)、紹介受診重点医療機関(一般病床の数が200床未満であるものを除く。)又は許可病床の数が400床以上の病院(一般病床の数が200床未満の病院を除く。)の紹介を受けて初診を行った場合は、特定機能病院等紹介患者受入加算として、60点を所定点数に加算する。
Dr.の保険診療 うっかりCheck
Q:健康診断で疾患が見つかり、当該保険医がそのまま治療を開始した場合、初診料を算定出来ますか?
A:算定出来ません。但し、疾患を発見した保険医とは別の保険医(同一保険医療機関の保険医を除く。)が治療を開始した場合には、算定出来ます。
Q:入院中の患者が、同じ保険医療機関の外来を受診した場合、初診料を算定出来ますか?
A:算定出来ません。
Q:複数の診療科を受診した場合、初診料はどのように算定しますか?(初診料の特例について)。
A:同一日かどうかによって、扱いが違います。
ア 内科を再診で受診し、同一日に他の傷病について別の診療科、例えば眼科を初診で受診した場合は、眼科は初診料146点を算定出来ます。更に同一日に整形外科を初診で受診した場合は、その初診料を算定出来ない。
イ 内科を再診で受診し、翌日に眼科を初診で受診した場合、眼科は初診料を算定出来ず、再診料を算定します。更にその日、整形外科も初診で受診した場合、整形外科は初診料146点を算定出来ます。
※「別の診療科」とは、医療法上の標榜診療科が異なる場合を言います。但し、総合診療外来等、医療法施行令に無いものは、診療科として見做されません。
Q:保険医療機関Aに検査又は画像診断の設備が無く、保険医療機関Bに実施を依頼した場合、Bは初診料を算定出来ますか?
A:Bが設備を提供するだけの場合、初診料、検査料、画像診断料等は算定出来ません。但し、判読まで依頼を受けた場合は、初診料、検査料、画像診断料等を算定出来ます。
【訂正】第9回の本コラムのQ1について、解釈に変更が生じた為、以下の様に訂正致します。短期滞在手術等基本料3の対象手術を実施した患者が、6日目以降も入院が必要な場合は、DPC/PDPS病床では、入院1日目に遡り、DPC/PDPSにより算定します。それ以外の病床では1日目から5日目は短期滞在手術等基本料3で算定し、6日目以降の費用は出来高で算定します。



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