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第113回 プラリア:免疫不全と多発骨折

第113回 プラリア:免疫不全と多発骨折

 デノスマブは、TNFスーパーファミリーに属するサイトカインのRANKL(NFkB活性化受容体リガンド)に結合するモノクローナル抗体である。単球上の受容体へのRANKLの結合を阻害することで、単球の破骨細胞や骨芽細胞への分化を阻害し、骨回転を阻害する1)。固形がんの骨転移などに120mg製剤(ランマーク)が2012年から使用されている。また、骨粗しょう症に60mg製剤(プラリア、半年に1度)が2013年に承認された。さらに、プラリアは、メトトレキサートとの併用で関節リウマチに対し2017年に承認された。

 その作用機序から、当然予想される害として、免疫不全と中止後の多発骨折について、薬のチェックでは、83号2)と84号3)で扱った。その概略を紹介する。

免疫抑制:感染症やがん、自己免疫疾患など

 免疫不全に関わる害反応は市販開始後から報告されており、2018年半ばの時点で世界各国から寄せられた報告数は数千件であった。大部分は、骨粗しょう症に使用した例に生じていた。

感染症:市販前の臨床試験で、デノスマブが心内膜炎や敗血症性関節炎を増やすことが報告されている。2018年の欧州データベース(EDB)には、感染症3962例中、骨髄炎が約60例、蜂窩織炎が約30例あり、死亡例も報告されている。

がん:フランス規制当局による4件の臨床試験の分析で、進行がん患者に発症した二次性原発がんが、ビスホスホネート(ゾレドロン酸)群0.6%に対して、デノスマブ群で1.1%と多かった。

過敏反応:EDBには過敏反応201例、うちアナフィラキシー反応58例、アナフィラキシーショック16例、死亡が1例報告されていた。

自己免疫疾患:EDBにはサルコイドーシス7例、自己免疫性肝炎7例、グレーヴス病6例、ループス症候群7例など自己免疫疾患が報告されていた。WHOのデータでは、デノスマブによる50件の自己免疫疾患中6例が回復しなかった(うち死亡1人)。

中止後に多発骨折が増加

 2017年2月、スイスのチームが、デノスマブ中止後9〜16か月以内に平均5.5回の特発性脊椎骨折を生じた女性9人の症例報告をした4)。2017年6月には、欧州医薬品庁(EMA)が、骨粗しょう症に用いた第Ⅲ相プラセボ対照試験のデータを分析した。1471人中114人が中止後約10か月間に少なくとも1回骨折していた。1回以上の新たな脊椎骨折はプラセボ群よりもデノスマブ群で少なかったが、多発性脊椎骨折の割合は高かった。

 冒頭で述べたように、デノスマブは、骨芽細胞にも破骨細胞にも分化する単球の分化を抑制するため、骨の吸収(破骨)を抑制すると同時に、骨の形成も抑制する。そのため、骨は硬くなるが老化した骨が増え、変形性関節症や背部痛が増える1)。

 そして、使用を中止すると、骨の吸収も形成も増えるようになるが、骨吸収(破骨)が骨形成を上回ると、多発骨折が起こると考えられる。

 日本でも、中止後の多発骨折や皮膚の感染症、アナフィラキシーは、添付文書の「重大な副作用」として記載されているが、発がんや自己免疫疾患についての記載は全くない。薬のチェックでは「使うべきでない」と判定した。

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