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新修学支援制度と学費値上げで「医大生の負担」が増加

新修学支援制度と学費値上げで「医大生の負担」が増加
医学連がアンケート結果と要請項目を発表

低所得世帯の高等教育の負担軽減を目的に大学修学支援法が4月から施行される。しかし、支援要件が厳しくなったり、東京医科歯科大学など国公立大の授業料値上げが相次いだりしており、国公立大に通う学生の授業料負担などが増える懸念がある。

 新制度では、夫婦と子ども2人(うち1人が大学生)の家庭の場合、世帯収入270万円未満を目安に、国公立大では授業料全額の約54万円が免除される。年収380万円未満までは授業料の一部が免除されるが、年収がそれ以上の場合は対象にならず、中所得世帯の支援が手薄になる懸念がある。また、3年以上浪人して入学した学生や学士卒業後の編入学生、入学後に留年経験のある学生は原則として支援の対象外となる。

 文部科学省の調査では、新制度の導入で授業料の減免額が減少かゼロとなる国公立大の学生は1万9000人に上る見通しだ。

 このような状況下、全日本医学生自治会連合(医学連)は医学生を対象に、学費や奨学金などの経済状況についてのアンケート調査を実施。50大学から816人の回答を得た。

 家庭の世帯収入は400万円未満が17・2%。授業料減免は10・8%、奨学金は40・4%が受けていた。大学や学部を選択する際、学費を判断の基準にしたかについて、「非常にした」「少しした」が計77・7%に上った。また、将来の進路を考える上で学費や奨学金の返済による影響の有無については、「非常にあった」「少しあった」を合わせて35・8%だった。仕送り・小遣いをもらっていない学生は21・3%だった。経済的理由で削ったり諦めたりしているものには、服・おしゃれ31・8%、旅行30・2%、食費24・8%、飲み↖会・付き合い20・9%、趣味20・2%が挙がった。

 アルバイトの収入の使途は、趣味・娯楽が50・8%、生活費が37・2%と、自分がやりたい事がメインになるが、生活費を稼ぐためにアルバイトをしている事も分かった。また、アルバイトのために負担になっているものについては、「学習時間が削られる」48・9%、「睡眠時間が削られる」32・4%と、忙しい医学部の勉強の中でアルバイトをして学習や睡眠を削っている実態が明らかになった。

 自由記述では「生活費のためにアルバイトをしていた友人が留年し、学費を稼ぐために過重にアルバイトをしてさらに1年留年した」「大学の制度では留年は2回までだが、奨学金は1回でも留年すると貸与・給付されなくなるため、常に背水の陣で試験に臨まなければならず、精神的にきつい」「借りている奨学金が就職先・場所を制限するものなので、将来自分がやりたい事が出来ない可能性がある」等といった事が挙げられた。

 以上を踏まえ、医学連は①新修学支援法による授業料減免制度の後退に強く反対し、学生が現行と同じ規模の支援が受けられるような措置を講じること②多浪の学生、再受験などの高校卒後3年以上たって入学する学生への支援を削減させないこと③国公私立すべての大学で、これ以上学費の値上げをせず、学費値下げに向かうようにすること等、7つの要請項目を発表した。

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