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医療機器「保守管理費」のブラックボックス

医療機器「保守管理費」のブラックボックス
そのコ本体価格のがる懸

 日本病院会(日病)が会員病院を対象に「医療機器・医療情報システム保守契約、費用に関する実態調査」を行ったところ、病院の年間負担額は約2兆6000億円にも上ることが分かった。高額医療機器には控除対象外消費税(損税)の問題があったり、医療情報システムは診療報酬上評価されなかったりする。このため日病は、病院の経営環境が厳しい中で、これらに多大な費用を投入することが今後困難になるとしている。

 回答施設数は408(16.8%)病院で、日病は病院規模や機能、設立母体構成などを考慮して日本全体の機器保守管理費用の総額を試算した。その結果、医療機器などの関連費用(減価償却費、保守費など)が約1兆9121億円、IT関連費用(電子カルテやレセコンなど)は6848億円で、合計金額は最大で年間2兆5969億円と推計した。この数字は病院医療費26兆2072億円の約10%を占める。

 病床規模別の集計で浮き彫りになったのは、病床規模が大きいほど100床あたりの費用が増加傾向にあること。記者会見で調査結果を発表した安藤文英・日病「医業経営・税制委員会」委員長(西福岡病院理事長)は「規模の経済が病院では働いていない。医療機器の設備が高度化して設備投資負担も重くなっている」と指摘する。

 自由記載欄から、生命維持管理装置の操作・保守点検業務を行う臨床工学技士の活用や、グループ病院間の情報交換や共同導入などの自衛策を取っていることも伺えた。

 一方で、「病院の担当者と業者の間の知識や情報量の差が大きく、価格交渉が難しい」「メーカーや代理店以外の業者との保守業務委託が難しく、競争原理が働かない」「設定された金額の根拠が不明確」「部品供給可能期間が短過ぎるので、最低でも製造終了後10年(高額機器は15年)は部品を供給してほしい」といった不満や要望が多く寄せられた。

 大病院ですら手を焼く保守契約の主な交渉相手は、機器導入の際のメーカーやメーカー系の代理店。高額医療機器の代表であるMRI(磁気共鳴画像装置)やCT(コンピュータ断層撮影装置)では、特にその傾向が顕著となっている。

 一方、日本と同じく医療費の高騰が問題となっている欧米では、メーカーやディーラーに加え、独立した保守管理会社(Independent Service Organization ; ISO)が多く存在し、保守管理市場は日本円で約5兆5000億円とされているという。米国食品医薬品局(FDA)でも関心を示し、病院などから保守費用についてヒヤリングを行う予定があるという。

 医療機器の保守管理費抑制策としては、日病の営業部門を担当する株式会社日本病院共済会が2016年秋から、損保ジャパン日本興亜やエムスリードクターサポートと共同で医療機器保守契約補償サービスを行っている。日病では、その費用削減効果を検証の上、会員施設に情報提供していく予定だ。

 医療機器の購入価格は公定価格が設定され、一定程度コントロールされているが、保守管理費用は自由価格。このため、価格決定は“ブラックボックス”化しがちだ。医療機器業界には「本体価格を抑え、保守費用を高額にする」という商習慣もあるというが、「保守管理費を抑えられれば、メーカー側は本体価格を高額に設定するだろう」(業界事情通)という指摘もある。保守管理費の抑制は、両刃の剣となりかねない側面もあるようだ。

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