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未来の会

第198回 ◉ 浜六郎の臨床副作用ノート
脂質低下剤ベムペド酸:寿命短縮

第198回 ◉ 浜六郎の臨床副作用ノート脂質低下剤ベムペド酸:寿命短縮

 薬のチェック126号では、日本動脈硬化学会による「動脈硬化性疾患ガイドライン2022年版」(以下2022GL)1)を批判的に吟味するとともに2)、新規承認されたコレステロール低下剤のベムペド酸(ネクセトール)の批判的吟味を行った3)。その概要を紹介する。

2022GLが依拠するコレステロール仮説

 2022GLは相変わらず、高いコレステロールは下げなければいけないと強調している。しかし、コレステロールは私たちの身体の細胞膜の成分であり、体内で作られる5種類のホルモンの原料になるなど、体にとって必須である。総コレステロール値もLDL-コレステロール値も一部を除いて高い人が長生きで、低い人のほうががんや脳出血などになることが多く、死亡の危険度も高いことが、多数の調査で判明している。今回検索して収集できた文献もすべてこれを支持するものであった。

 では、なぜコレステロール値が高いと危険だという「コレステロール仮説」が成立したのか。19世紀末から20世紀初頭に、動脈硬化部位にコレステロール結晶が見つかったことで、動脈硬化を引き起こす原因ではないかと疑われ、実験でウサギなどに動脈硬化ができたこと、若くして心筋梗塞になった人のコレステロール値が健康人よりも圧倒的に高いことなどでコレステロールが高いと危険という説=「コレステロール仮説」が強まったようである。

問題はコレステロールでなく凝固と炎症

 実は、若くして総コレステロール値が280

mg/dL以上と極端に高く、心筋梗塞を起こした人は凝固能が高く、炎症を起こしやすい性質を合わせ持っている。すなわち、心筋梗塞の原因はコレステロールそのものよりは、凝固と炎症のほうにあることが分かったが、その訂正は困難を極めている。

ベムペド酸(ネクセトール
−代謝の要:アセチルCoA生成酵素阻害剤−

ベムペド酸(ネクセトール)は、2025年に承認されたコレステロール低下剤である。

細胞内でエネルギー代謝の根幹を担うアセチルCoAの生成に必要な酵素、ATP-クエン酸リアーゼ(ACL)を阻害する。

そのため、コレステロール値は確実に低下する。しかし、申請資料概要を見ると、コレステロールを低下させる用量と同じ用量で、腎臓、肝臓、血液、凝固系など全身の機能が低下することが、複数の動物実験で認められている。

2次予防に用いると寿命が縮まる

 心疾患や脳卒中など循環器疾患の既往のある人の再発防止、すなわち2次予防目的で使うと、死亡を減らすどころか、むしろ有意に増やすことが判明した。3試験のメタ解析で、総死亡は18%増加(総合解析オッズ比=1.18、95%信頼区間1.01-1.38、p=0.036)であった。年間293人に1人がベムペド酸によって死亡、3年間で100人に1人が死亡することになる。しかも、予防すべき循環器死亡は23%増である。

腎機能悪化、高尿酸血症、肝機能異常

 腎機能が確実に悪化し、高尿酸血症、肝機能異常、胆石が高率に発症することが明らかである。害は特定の臓器ではなく、全身に及ぶことは、動物実験からも予想された通りであった。

 ヒトではまだ証明されていないが、動物ではヒト用量以下で肝臓がんが高率に発症した。海外で2020年に発売されてからまだ6年しか経っていないので、今後、発がん性についても監視が必要である。使ってはいけない。

参考文献

1)動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版
2) 薬のチェック2026:26(126):76-82.
 https://medcheckjp.org/issue/n126/+Web資料
3)薬のチェック2026:26(126):83-86.

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