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232 千里リハビリテーション病院 (大阪府箕面市)「気づきの医療」を実現するデザインの力

232 千里リハビリテーション病院 (大阪府箕面市)「気づきの医療」を実現するデザインの力

「気づきの医療」を実現するデザインの力
千里リハビリテーション病院 (大阪府箕面市)

脳疾患や脊髄の損傷、骨折による歩行困難等からの社会復帰を目指す患者のリハビリテーションに特化した病院として2007年に開院した千里リハビリテーション病院。大阪府北部に位置し、緑溢れる環境に囲まれている。

コンセプトとして「リハビリテーション・リゾート」を掲げる通り、外観は病院というよりホテルの様だ。従来の病院に見られる効率を優先した無機質な環境ではなく、患者が心身共にリラックスしてリハビリテーションに取り組める理想の環境を追求したという。

社会復帰に向け、自宅での生活を想定したリハビリを基本にしており、患者は病棟から出る度に玄関で靴を脱ぎ履きし、食事の際にはベッド上ではなく少し離れたレストランに足を運ぶ。

これは、日常動作の全てがリハビリの一環であり、日常生活に戻る訓練として生活の場を利用するという考えに基づいている。こうした“当たり前の視点”を医療に生かす「気づきの医療」が、法人の理念である。

病室は個室主体で、洗面台やクローゼット、机など日常生活で使用するものを備え、畳敷の和室も用意している。パブリックスペースにはリビングやキッチン、ライブラリー等が在り、薪をくべる本物の暖炉等が心を和ませ、病院にいる事を一時忘れさせてくれる。

又、院内のデザインディレクションはクリエイティブディレクターで株式会社サムライ代表の佐藤可士和氏に依頼。18年に増設されたアネックス棟と絵画・音楽棟、園芸棟も佐藤氏にデザインを依頼した。外装から内装迄ふんだんに木材が使われ、温かみが感じられる他、豊かな緑が目に優しい空間も実現した。

アネックス棟のエントランスロビーには佐藤氏が自ら制作したドローイングと大皿を展示。青を基調とした作品には「患者にエネルギーを感じ取ってほしい」との思いが込められているという。

絵画・音楽棟と園芸棟では音楽療法や園芸療法にも取り組み、患者が自由にデッサンや楽器の練習、陶芸等も楽しめる。木の温もりに包まれながら、趣味を通して体を動かす事で体の機能を回復し、前向きな気持ちを取り戻してもらうのが狙いだ。今までの病院とは異なる発想で患者と接し、社会生活と同じ環境の中で日常を取り戻して行く。そんな理想を掲げて、本当の意味での社会復帰をサポートしている。

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