猛暑90日…元気になった蚊が危ない
東京の真夏日(最高気温30度以上)が歴代最多の90日を超え、異常な暑さが続いていた今年の夏。唯一の〝収穫〟と言えば、「蚊が少なかった事ですね。暑過ぎて殆ど活動出来なかった様です。確かに全然刺されませんでした」(気象予報士)。ところが10月に入り、気温が下がって来るとたちまち蚊の活動が活発になったというから侮れない。日本の夏と言えば「蚊取り線香」だが、今後は秋の風物詩になるかも知れない。
「蚊に刺されるのも嫌なものですが、何と言っても蚊は世界で最も人間を殺している生き物です。太平洋戦争で多くの日本兵を苦しめたマラリアを始め、蚊を媒介にする感染症は多い」と注意を呼び掛けるのは、都内の感染症医だ。マラリアを媒介するコガタハマダラカは、日本では一部の南方の島を除いて生息していないとされるが、温暖化が進めば生息域が広がる恐れが有る。更に、2014年夏に東京・代々木公園から広がったデング熱等、蚊が媒介する感染症は多い。
そんな中、この人類の天敵を絶滅させようという研究が注目を集めている。「英国のバイオ企業が子孫を増やさない様遺伝子改変した蚊を開発しました。この蚊が米国で大量に放たれ、実際に蚊が減っている事が確認されたそうです」(同)
メカニズムはこうだ。遺伝子改変された蚊が野生の蚊と交配すると、メスは孵化しても育たず、オスの蚊だけが残るというのだ。オスだけでは繁殖出来ない事から、どんどん蚊の数が減って行き、最終的には絶滅するという計画だ。
「今夏、熊本県の男性が発症した事が報じられた日本脳炎も、コガタアカイエカという蚊が媒介する感染症です。年間数人の発症が確認され、予防接種で防げますが、コガタアカイエカが居ない北海道では長年、定期予防接種の対象ではありませんでした。ところが、道外で感染する恐れが有る等の理由で、16年からは道内でも定期接種に。温暖化が進めば蚊の生息域が北上し、今後は北海道で感染が広がる恐れもゼロでは無いと思います」(同)
遺伝子操作された蚊が日本国内に放たれる日も、近いかも知れない。
沢井よおまえもか……ジェネリックが危ない
深刻な薬不足が続く中、品不足の引き金を引いたと言われているのが、ジェネリックメーカーで相次いだ不祥事だ。
「国内3大ジェネリックメーカーのトップ、日医工が先ず20年2月に富山県の抜き打ち査察で問題を指摘されました。21年には中堅の小林化工が水虫薬の製造不正で116日間という長期の業務停止命令を受け、続いて日医工も前年の査察以降指摘された不正により、32日間の業務停止命令となりました」(業界紙記者)
小林化工は今年、医薬品製造販売業許可を廃止し、製薬会社としては事実上、廃業。日医工も又、経営不振から昨年5月、「事業再生ADR」を申請。不採算の薬を今後はどう製造するかが焦点となる中、旧小林化工の工場を引き取ったサワイグループホールディングス傘下の沢井製薬に激震が走った。
「今夏、沢井製薬の工場でも長年の検査不正が発覚したと業界紙等が報じたのです。厚生労働省始め当局からの処分等は未だ出ていませんが、もし業務停止にでもなれば、ジェネリック医薬品の供給は事実上、終わってしまうでしょう」(薬局関係者)
日医工無き今、ジェネリック医薬品を支える東和薬品と沢井製薬は製造ラインを強化してこの危機を支える事が求められている。だが、そこへ降って沸いた「沢井よ、お前もか」の疑惑。厚労省もこの件は不問にしようとしているとの憶測も流れる中、切り替え先の先発薬の不足も続く。
医療費削減の議論で真っ先に削減対象とされて来た薬価だが、「これでは誰も薬を作りたくなくなる」(製薬関係者)とのぼやきが現実になりかけている。
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