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迷走続く日本専門医機構役員入れ替えで批判に幕引きか

迷走続く日本専門医機構役員入れ替えで批判に幕引きか
迷走続く日本専門医機構
役員入れ替えで批判に幕引きか

 迷走が続く日本専門医機構が6月末、社員総会を開いて新たな理事25人を選任した。現在の理事長と副理事長1人は25人の中に選ばれず、もう1人の副理事長は監事となったため、7月の新体制発足を待たずして現執行部全員の交代が決まった。

 現理事長の吉村博邦氏は昨秋、病に倒れてその後復活したものの、「退任は健康上の理由という名目が立った」(医療担当記者)。問題は、日本医師会の枠で副理事長を務めていた松原謙二氏だ。松原氏は6月23日の日医会長選で4選を果たした横倉義武氏が示した「新内閣」の候補から外れたものの、日医副会長選に立候補を強行し当選。横倉氏が松原氏を外した原因となったのが「新専門医制度を巡る松原氏の失言だった」(同)とされるだけに、機構内での去就に注目が集まっていた。

 結果的には〝監事〟となり面目を保った格好だが、もう一人の副理事長だった山下英俊・山形大学医学部長についても毀誉褒貶が定まらない。「5月中旬頃から、機構のガバナンスを問う告発文とともに専門医機構の内部資料が流出している。この中に、日本眼科学会が知らない間に愛知県の中京病院眼科の専攻医が増員されていたことを問いただす学会からの質問状が含まれていたのです」(同)。山下氏は日本眼科学会の特任理事を務める。つまり、機構の副理事長という要職にありながら、その所属団体から抗議を受ける〝板挟み〟状態になっていたのだ。

 これまでも医師偏在や医局復活の恐れなどの問題が指摘されてきた専門医機構。塩崎恭久・前厚生労働大臣から「待った」をかけられ、制度開始が1年後ろ倒しになった過去もある。しかし、何としてでも制度を軌道に乗せたいと、外野の声に頬被りして突っ走ってきたツケが一気に回ってきた。制度に異を唱える医師からは「執行部の退任で、一連の騒動に幕引きを図ろうとしているとしか思えない」と怒りの声が上がっている。

株主総会は大荒れだが
武田薬品に他社の意外な「高評価」

 約7兆円という日本企業による過去最大の買収で、今年上半期の経済界を賑わせた武田薬品。この買収劇を同業他社は意外にも好意的に受け止めているようだ。「英断と思う。日本の製薬もあのくらいの決断をしないと生き残れない」と絶賛するのは、大阪に本社を置く製薬大手の幹部社員だ。その上で「思い切った勝負ができるのは今しかない。あと数年たっていたら、体力が失われていただろう」と指摘。都内の中堅製薬の役員も「追い込まれてこれしか道がなかったという言われ方をしているが、だとしても何もしないより何かをする決断をしたことをたたえたい」と高評価だ。

 一方で、製薬企業同士の買収や合併を経験したという都内の製薬大手の役員は「買収額の大きさから買収だけが話題になっているが、買収した〝資産〟をどう生かすかが真の勝負。社長交代のゴタゴタなどを見ていても、武田が人材や資産の有効活用に優れている会社とは思えない」と突き放す。

 気になるのは、買収相手のシャイアー自体が買収を繰り返して成長してきた会社だということだ。前述の役員は「大手製薬企業が開発力のある新興製薬企業を買収するのは世界的潮流。シャイアーがそうした目利きに長けていることは間違いない。武田の浮沈は、シャイアーの研究開発能力ではなく、目利き力をどこまで生かせるか。人材をいかに登用できるかにかかっている」と語る。業界一とされる家族的な社風は排他的とも評されてきた。外からの風が嵐を呼ぶか。

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