
今夏の幹部人事で審議官への登用が確実視されているのが、旧厚生省の1996年入省組だ。多様な人材が揃う世代でもあるが、同期の中でも出世の如何が絞られてきた。96年入省組の行方は如何に——。
この期の筆頭とも言えるのは、尾崎守正こども家庭庁長官官房総務課長だろう。慶應義塾大卒の尾崎氏は、老健局振興課長や健康局難病対策課長、内閣官房デジタル行財政改革準備室参事官、大臣官房会計課長等を歴任した。
こども家庭庁では、支援局総務課長を務めており、課長ポストは2箇所目だ。物腰柔らかで調整力に富む尾崎氏は、部下からの信頼も厚い。これについて或る大手紙記者は「介護畑が長く、単なる調整に止まらず現場のあるべき姿も勘案しながら政策を立案しているイメージが有る。厚生労働省は優秀な人材を忙しい部署に送り込む習性が有るが、尾崎氏は常にその渦中にいる」と明かす。
現在の尾崎氏はこども家庭庁に出向しているが、今夏の幹部人事で厚労省に戻るのは既定路線だという。年末に向けた社会保障制度改革に関連する部署への異動が有力だ。
加えて目立つ存在なのが、吉田一生大臣官房会計課長だ。塩崎恭久元厚労相(2014〜17年)の秘書官を長く務め、省内外に強烈な印象を残した。或る中堅官僚は「大臣の意向に沿った厳しい指示が飛んできた。対応するのが精いっぱいのところが有った。今は当時に比べると少しは温厚になった様だ」と苦笑する。
上智大卒の吉田氏は、大臣官房広報室長や企業年金・個人年金課長、大臣官房参事官、大分県副知事、健康・生活衛生局総務課長等を歴任した。マスコミ関係者の1人は「呑み込みが早く、塩崎氏にはかなり気に入れられており、大坪寛子健康・生活衛生局長とも馬が合った様だ。気難しい人物とも渡り合える厚労省には珍しい人材だ」と評する。
尾崎、吉田両氏と肩を並べるのは姫野泰啓保険局総務課長で、或る月刊誌では「医療保険の守り神」とも称された。東京大を卒業し、大臣官房総務課国会連絡室長や社会・援護局保護課保護事業室長、保険局保険課長、医政局総務課長、保険局総務課長等を経験した。
保険局勤務の経験が豊富な為、右記の様な表現で形容されたと見られるが、厚労族の或る秘書は「その表現にはやや違和感が有る。医療保険を金科玉条の様に守るというよりも、人当たりが良く、調整↖力に長けているのが姫野氏の持ち味ではないだろうか」と別の見方を示す。利害関係者が多く、調整が難しい医政局と保険局で総務課長を経験した事が、その証左とも言える。
梶野友樹総合政策統括担当参事官もキーパーソンの1人だ。医政局総務課長や大臣官房参事官、社会・援護局保護課長等を歴任した。課長級職員の1人は「社会福祉の分野にも関心が厚く、志の有る信頼出来る官僚の1人だ」と評価する。
梶野氏の他、老健局介護保険計画課長や同総務課長、社会・援護局総務課長等を歴任した山口高志大臣官房国際課長、保険局総務課長や社会・援護局保護課長等を務めた池上直樹社会・援護局総務課長もこの世代だ。
年次が高くなれば、1つのミスが出世の命取りになる可能性が有る。世に出した政策が世論の反発を買ったり、パワハラ・セクハラ行為に及んだりすればあからさまにラインから外れるのも、この年代の特徴だ。幹部人事では審議官に登用される人材とそうでない人材がはっきりと分かれそうではある。


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