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未来の会

第218回 厚労省ウォッチング
「第3号被保険者制度」は自然消滅待ち?

第218回 厚労省ウォッチング「第3号被保険者制度」は自然消滅待ち?

自民党、日本維新の会の両与党は、会社員や公務員の扶養を受ける配偶者が加入する年金、「第3号被保険者制度」の見直しに向けた議論をスタートさせた。両党は制度の「段階的縮小」という方向性では一致しており、5月中に骨子案を纏める意向だ。それでも漸次縮小を進めたい自民に対し、「廃止」をゴールに改革を迫る維新の間の温度差は小さくない。自民案の後ろ盾となっている厚生労働省は落とし所を探るのに苦心している。

 自民、維新両党は4月13日、社会保障制度改革の実務者会議を開き、「第3号」の見直しに関する議論を始めた。共に制度を縮小する事に異論は無く、連立合意書にも見直しを盛り込んでいる。只、維新が主張する早急な縮小・廃止案に対しては、自民党の田村憲久元厚労相が「国民的な議論が必要な部分も有る」とやんわりブレーキを掛ける等、初回から両党の思惑の食い違いが顔を覗かせる場面も有った。

 第3号被保険者制度は、扶養される配偶者が年収130万円未満の場合、保険料を払わなくとも老後に基礎年金を受給出来る仕組み。保険料は配偶者等が加入する厚生年金制度全体でカバーする。専業主婦等も自分の年金を受給出来る様にする為、改正法が1986年に施行された。加入者数は95年度(約1220万人)にピークを迎えた後、共働き世帯の増加等で減り続け、24年度末時点で641万人となっている。近年は厚生年金の適用拡大によって急減しており、23年度末から24年度末の1年間で約45万人も減っている。

 与党が3号制度の見直しに着手した背景には、制度が保険料負担回避の為の就労調整、「130万円の壁」を生み、短時間労働者のキャリアアップの阻害や人手不足を生じさせている経緯が有る。更に自営業者の配偶者は、国民年金の1号被保険者として毎月約1万7000円の保険料を払わなければならないのに、老後の年金額は「負担ゼロ」の第3号と同額という不公平が問題視されている。勤め人として働き、保険料を負担している女性達からの不満は根強い。

 こうした課題の解決策として、自民党や厚労省が模索しているのは厚生年金の更なる適用拡大による「自然減」だ。関連法の成立により、今後、厚生年金が適用される企業規模要件(現行51人以上)が撤廃され、週の労働時間が20時間以上なら厚生年金に加入する様になる。こうした適用拡大を徐々に進めていけば、第3号は自然と淘汰されると見ている。但し、同省幹部は「病気や障害が有る等、働きたくとも働けない人は一定数残る。3号廃止で其の人達の年金権を無くすなら『皆年金』の旗が揺らいでしまう」と言う。

 一方、連立入りの成果に乏しい維新は「自民党の自然消滅を待つ様な考え方なら何十年も掛かる」(中堅幹部)として、目に見える成果を求める。

 とは言え、縮小を急げば保険料の負担増が一気にのし掛かる層も出てくる。「足して2で割るという妥協がし辛い」(自民党厚労族)中、縮小案の1つとして浮上しているのが「人生の一定期間のみ3号対象とする」案だ。育児や介護の期間中等、働くのが難しい期間に限り、3号の適用対象とする。それでも厚生年金には育児休業期間中保険料が免除され、将来の年金は減らない仕組みが既に有る。自営やフリーランスの人向けにも今年10月から同様の免除制度が始まる。厚労省幹部は「維新には、有権者へのアピール材料として乏しいだろう」と言う。

 厚生年金も無制限に適用拡大を進めると、極短時間しか働かない人が自営業者より少ない保険料で国民年金を上回る厚生年金を受給出来る様になる。新たな不公平を招き兼ねない。この同省幹部は「一気に縮小するなんて無理。与党の言う『段階的縮小』をどのレベルに落ち着かせるかの話だ」と話す。

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