
中国は日本企業をどの様に見ているのか
6月、中国で富士電機の日本人社員2人が拘束された。中国当局は中国の法令に違反したとしているが、真相は明確ではない。
中国では近年、日本人ビジネスマンがスパイ容疑等で拘束される事例が続く。今回も高市首相の政治的発言との関連を指摘する声が有るが、同様の事例が以前から続いており、発言だけが原因とは言えないだろう。日本で大きく報じられる事は無いが、米国、英国、豪州、カナダ、韓国等、各国の民間人も拘束されている。寧ろ日本が検討すべきは、中国当局がどの様に情報を収集し、対象企業を選定するのかという点だ。勿論、その実態は外部から確認する事は出来ないが、各国の情報機関は公開情報の分析、人脈の把握、企業活動の調査等を通じ、多面的な情報収集を行う事が一般的とされている。その延長で考えれば、日本国内の情報を分析し、中国に進出している企業や技術を持つ企業に関心を寄せても不思議ではない。日本の医療データにも強い関心を持っている為、医療関係者にも相応の注意が求められる。
情報を集めるのは必ずしも映画に登場する様な「スパイ」だけではない。公開資料、展示会、講演会、商談、人材交流、SNS等、合法的に入手出来る情報を積み重ねるだけでも企業の実態はかなり見えてくる。そこから重点的な調査対象を選ぶ事は、どの国の情報機関でも取り得る手法である。だからこそ、日本企業は「自社には秘密は無い」と油断してはならない。海外展開を進める企業程、情報管理、サイバーセキュリティ、役職員への教育を改めて見直す必要が有る。
顧問弁護士や税理士に対しても同様だ。適切な情報管理体制を構築し、重要情報の開示も慎重になるべきだ。今、日本企業を取り巻く安全保障環境が厳しさを増している事は間違いない。経済と安全保障は既に切り離せない時代に入った。「まさか自社が狙われる筈は無い」という発想こそが、最も危険なのではないだろうか。
日本のスポーツ界を牽引する飲料メーカーの裏側
30年間、伏せられてきた企業の闇が、経営権を巡る対立の中で明らかになろうとしているという。同社の経営への関与を強めようとする顧問弁護士・中田勝也氏(仮名)の進言を契機として、長年、社内で隠蔽されてきた問題を表に出そうとする動きが始まり、経営陣に混乱が生じているという。
1996年秋、或る飲料メーカーの本社に、連日の様に街宣車が押し掛けていた。当時、同社は地方に新工場建設を計画していた。県の許可は得ていたが、工場脇の河川を通じて海域汚染に繋がるとして、地元の漁業関係者等が反発していた。しかし、会社側は反対の声を真摯に受け止めず、翌年夏の商戦に向けて建設を強引に進めた。その為、本社前では大音量の街宣が連日繰り返され、同社関係者は「夜も眠れない日々が続いた」と漏らしていたという。
同社幹部は協議の末、関西の暴力団組長・笠原和人氏(仮名)へ、街宣活動中止への働き掛けを依頼したという。その後、街宣車は突然姿を消した。これに対し、同社から笠原氏側へ多額の金が支払われたとの証言も有る。同社は日本のスポーツ界を牽引し、フェアプレーや正々堂々の精神を掲げるが、裏では反社会的勢力を利用してトラブルを封じ込めていた事になる。約30年前の出来事でも、企業の道義的責任は消えない。又、組織的に隠蔽を図ってきたのであれば、元のトラブル以上に企業の信用を傷付ける。
暴力団組長への依頼は、本当に行われたのか。誰が決裁したのか? 現経営陣はこの問題を認識しているのか? 更に、同社の顧問を長年務めてきたとされる中田弁護士(仮名)は、この問題をいつ把握し、どの様な助言を行ってきたのか。企業の法令遵守を支える立場にある以上、その対応も検証を免れる事は出来ない。しかし、中田弁護士は本誌の取材に対し、「回答はしない」と繰り返すのみだった。回答しない事を事実の承認とは見做せないが、説明責任から逃げていると見られても弁解は出来ない。本誌が得た証言と情報が事実であるならば、社会の公器として存続する資格が有るとは到底思えない。


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