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未来の会

医学生の7割が「将来の働き方」に不安を抱く

医学生の7割が「将来の働き方」に不安を抱く
医学部に根強く残る「差別意識」が調査で浮き彫りに

医学部不正入試問題を受け、25大学の医学部自治会が加盟している全日本医学生自治会連合(医学連)は全国の医学生を対象にアンケート調査を実施、3月12日に中間報告を発表した。アンケートは全国81大学の医学部自治会を通じ、昨年11月から始め、今年2月1日時点で50医学部の2186人(男性57・5%、女性40・7%、性別無回答1・8%)からの回答を集計した。

 不正入試の背景に、女性医師の妊娠・出産や子育てによる離職と、それに伴う医師不足と現場の過重労働が指摘されている点を踏まえ、「将来の自身の働き方を不安に思うか」と質問したところ、「とてもそう思う」(21%)と「まあそう思う」(46%)を合わせ、全体で67%が不安感を持っていた。男女別では、「とてもそう思う」と答えた女性が31%と、男性より17ポイント高かった。

 具体的には、過重労働が自身の健康や生活を壊したり、医療ミスに繋がったりすることへの不安や、現在の医療体制が改善される見込みがない現状を嘆く声が寄せられた。女性からは、出産や育児の際、職場のサポートや理解が得られるか、一度休職した後に復職できるのか不安の声があった。

 入試時の面接では、14%が結婚や出産、育児、家族の介護などライフイベントに関わる質問を受けていた。具体的には、「結婚した場合、医師を続けるか」「妊娠はあなたにとってメリットかデメリットか」など、結婚・出産と医師の仕事の両立を問う質問や、性別を理由にキャリア↖の多様性を否定するような質問もあった。

 また、年齢に特化した質問をされた医学生は、全体で5%いた。現役生以外は8%、他大学入学後に医学部を受け直した再受験生は25%に上った。「本当に今から医学部に入って医者になる気があるのか」など、年齢を重ねてから医師人生に挑戦することを否定するような質問があった。中には、集団面接で再受験生に質問が集中したり、年齢を理由に早々に切り上げられたりするケースもあった。

 入学後も約1割の医学生が性別や年齢を理由に嫌な思いをした経験があると回答。「『女医は結婚すれば働かなくていいから楽だよね』と何度も言われた」など、女子学生が医師や教員から言葉の暴力を、男子学生からセクハラを受けているという回答もあった。一方、男子学生からは「解剖実習で、女性に手厚く教え、男性には全く質問を受け付けないという性別による差別が露骨に行われている」という回答も寄せられた。

 医学連は「医学部に根強く残る差別意識が多くの医学生を抑圧している現状を看過することはできない。また、入試差別により医師の多様性が損なわれてしまうことは、多様なニーズへの対応を医療に求めている社会の要請するところではない」として2つの提言を発表した。

•受験生を公正に選抜するべく、性別・年齢を理由とした不公平な扱いを禁止せよ

•労働環境改善は何より急務、柔軟なキャリア設計を保証する研修制度も不可欠

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