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未来の会

若者の間で深刻化する「市販薬」の過剰摂取

若者の間で深刻化する「市販薬」の過剰摂取
ルール守らぬドラッグストアも……

「オーバードーズ(OD)に使う処方薬を買う為に、市販薬を売ってお金を稼いでいた」

 新宿・歌舞伎町で市販薬を違法に販売したとして、警視庁が12月に逮捕した高校生から、そんな衝撃的な供述が飛び出した。

 逮捕されたのは、東京都三鷹市の通信制高校1年の少女(16歳)。少女は日常的に薬を過剰摂取して興奮状態になる「OD」をしていたといい、お金に困って万引きした市販薬を売ってお金を作り、更に効果が〝強力〟な処方薬を得ていたというのだ。

 「歌舞伎町の複合施設『新宿東宝ビル』周辺の通称『トー横』と呼ばれるエリアがここ5年程、中学生や高校生等若者の溜まり場になり、喫煙や売春、ドラッグ等の違法行為が確認されているのです。悪質なホストクラブの餌食になる等、犯罪に巻き込まれる事も多く、警視庁はトー横の浄化に全力を挙げています」(全国紙の警視庁担当記者)。

 10月には、警視庁が一斉補導を行い、13歳から18歳迄の計42人が補導された。「トー横キッズ」と呼ばれる彼らは都外から来た中高生も多く、保護者から寄せられる相談も増えている。

 トー横に集まる若者の間で流行しているというのが、市販薬を過剰摂取して興奮状態になるのを楽しむ「OD」だ。中には救急搬送される子供も居るといい、深刻な問題となっている。「警視庁少年育成課は11月、市販の咳止め薬を若者に違法に販売したとして、千葉県成田市の無職の高橋光夢容疑者(21歳)ら男女4人を逮捕している。高橋容疑者は自らを『パンダ』と名乗り、『この辺で一番安く売っている』等と購入を持ち掛けていたそうです」(同)。

 「パンダ」の客から事情を聴いた警視庁が高橋容疑者らの関係先を捜索したところ、咳止め薬約2000錠が見つかった。薬局の半額以下で売られてい↖たと見られ、警視庁は入手経路を調べている。

 厚生労働省等によると、市販されている一部の咳止め薬や風邪薬には依存性の有る成分が含まれている。例えば、咳止め薬に含まれる「コデイン」はモルヒネと似た化学構造を持ち、同様の効果が有ると言われている。厚労省研究班の調査では、薬物依存の治療を受ける10代の患者が使用した主な薬物として、2014年には0%だった市販薬は、22年には65%と最多になっている。解熱鎮痛剤、咳止め薬、風邪薬等をドラッグストアで購入して過剰摂取する例が多いという。

 こうした事態を受けて、厚労省は「コデイン」等乱用の恐れが有る6成分を含む医薬品について、20歳未満の大量購入を禁止する方針を示した。だが、そもそもこれらの薬には既に、乱用を防ぐ為のルールが設けられていると医療担当記者は指摘する。

 「現在でも、原則1人1個迄の販売とし、中学生や高校生と見られる子供に販売する場合には、店側は氏名と年齢を確認する必要が有る。しかし、厚労省の22年度の調査では、調査員が訪問した店舗の24%で、氏名や年齢の確認をされずに複数個の購入が可能だった。ルールが守られていない実態が有る」

 新たな規制強化策では、20歳未満にこれらの薬を販売する場合、購入者の氏名や年齢を確認するだけでなく、記録する事を義務化する。又、20歳未満に複数個の販売は出来ない。只、「万引きや怪しいルートで手に入れた市販薬を、仲間内に転売するトー横キッズ達の様に、規制を強化したところで抜け道は有りそうだ」(同)との指摘も多い。少なくとも薬局やドラッグストアといった正規の販売店はルールをしっかり守り、若者の乱用を防いで行く責任が有る。厚労省調査で判明した通り、4分の1もの店舗がルールを守らないのでは、話にならない。

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