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第150回 浜六郎の臨床副作用ノート ◉ SGLT2阻害剤:なぜダメか

第150回 浜六郎の臨床副作用ノート ◉ SGLT2阻害剤:なぜダメか

SGLT2(Sodium Glucose coTransporter2)阻害剤のランダム化比較試験(RCT)で、心血管死や総死亡を低下したと、メタ解析で示され、一部の製品は、糖尿病以外の慢性心不全や慢性腎臓病への使用が承認されている。薬のチェックでは、承認当初から徹底的に検討し、問題点を指摘してきたが、102号で改めて根拠となったRCT11件(糖尿病対象6件、心不全対象4件、慢性腎臓病対象1件)を批判的に吟味した1)

利尿効果が著しく遮蔽は外れやすい

 SGLT2阻害剤は利尿効果が著しく、あるSGLT2阻害剤では、1日尿量で平均600mL、1日1リットル増加するような人もありうる。そのために、二重遮蔽法が採用されていても、担当医は、患者に使用されたのがSGLT2阻害剤かプラセボか容易に分かり(遮蔽不全)、プラセボ群に不利な判断がなされる可能性がある。ある時からイベントがプラセボ群で急増し、SGLT2阻害剤群は逆に増加が鈍る現象は、この影響が大いに考えられる。エンドポイントが心不全による入院の場合には、特にSGLT2阻害剤に有利になるよう判断されやすい。該当する試験が6件あった(糖尿病対象3件、心不全対象2件、腎疾患対象1件)。

重要な背景因子がSGLT2阻害剤に有利

本来、RCTでは、対象者は試験群とプラセボ群にランダムに割り付けられるため、試験物質の使用有無以外の因子に原則的に偏りはできない。これを前提とするからこそ、アウトカムの差を、使用した試験物質に帰することができる。

ところが、SGLT2阻害剤のRCT中には、予後に強く影響する背景因子にSGLT2阻害剤に有利に働き、p<0.1の偏りのある例が11件中4件あった。糖尿病対象試験でインスリン使用者(比較的重症者)がプラセボ群に多い(p=0.036)。重症心不全対象試験でLVEF30%以下(重症心不全)がプラセボ群に多い(p=0.054)。糖尿病対象試験でアテローム性心血管疾患がプラセボ群に多い(p=0.0096)。慢性腎疾患対象試験でeGFR30mL/分/1.73m2未満がプラセボ群に多かった(p=0.0999、遮蔽不全の兆候もあり)。

修正メタ解析結果は総死亡オッズ比1.01

遮蔽不全の兆候は顕著でないものの、予後に影響する背景因子がSGLT2阻害剤群に有利に偏った3試験の背景因子の違いを補正した総死亡オッズ比を求め、背景の偏りもなく遮蔽不全の兆候も顕著でないRCT2件、合計5件の総死亡危険度をメタ解析した。その結果、併合オッズ比は1.01(糖尿病3試験で1.00、心不全2試験で1.02)と、総死亡を改善する効果はまったく認められなかった。

下肢切断、骨折、心血管以外の死亡が増加

遮蔽不全の影響は、有害事象の登録にも影響する。性器感染症やケトアシドーシスは遮蔽不全の有無にかかわらずSGLT2阻害剤に多く報告されていた。しかし下肢切断や骨折、尿路感染症は遮蔽不全RCTではプラセボ群と差がなく、遮蔽不全の少ないRCTではSGLT2阻害剤群に有意に多く報告されていた。

死亡例全例の死因リストが公表された試験では、外傷による死亡例がプラセボ群2人(0.07%)に対してエンパグリフロジン群には13人(0.43%)、オッズ比6.51(p=0.0045)と有意であった。心血管死以外の死因による死亡が増える可能性がある。

結論

SGLT2阻害剤の試験は欠陥が多く害も大きい。糖尿病、心不全、慢性腎障害に対して使用すべきでない


参考文献: 1)薬のチェック2022: 22(102): 83-86

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