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未来の会

第149回 浜六郎の臨床副作用ノート ワクチンの害とデータ操作の害

第149回 浜六郎の臨床副作用ノート ワクチンの害とデータ操作の害

最近、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)用のワクチンに関連して、厚労省のデータ操作が2件明らかになった。薬のチェック102号のEditorial1)で「日常茶飯事のデータ操作を放置してよいか」とのタイトルで取り上げたので紹介する。

接種していても接種日不明を未接種者に

1つは、メディアで報道されたワクチン接種者の誤登録の問題である。

新規COVID-19罹患者の割合をワクチンの接種状況で比較する際に、接種したことは確かでも接種日が不明であった場合を、「接種者」でなく「未接種者」と扱っていたのである。本来、接種群の新規感染者であるはずの人を「未接種群」に入れたために、新規感染割合が、接種群で異常に低く、未接種群で異常に高くなった。当然ながら、ワクチンがよく効くような印象を持たせるデータになっていた。

小島勢二・名古屋大学名誉教授の指摘で4月11日以降のデータは訂正された。その結果、10万人当たりの新規感染者数は、2回接種者のほうが未接種者よりも多い年代もあり、ほとんどの年代で差はなくなり、ワクチンの効果が急速に失われることが示された。

その後のデータを見ると、ワクチンの効果がさらになくなっていることが分かる。本誌7月号で示した「健康者接種バイアス」を考慮すると、さらに効果が低くなっているといえる。

心筋炎の頻度を操作

もう1つは、SUN-TV(兵庫県)が報道したワクチンによる心筋炎の頻度を低く見せる操作だ2)。今でも自治体が広報に使用している厚労省のパンフレットで、ワクチンの安全性を印象づける役割を担っているから重要である。パンフレットでは20代男性接種者の心筋炎罹患率は100万人あたり10人(ファイザー)と26人(モデルナ)としている。その一方、15〜39歳の男性がCOVID-19罹患後は100万人あたり834人とグラフで示している。厚労省健康局長は国会で、COVID-19罹患後のデータは2021年5月31日時点で全国の病院に入院した同年齢のCOVID-19患者4798人のうち心筋炎を合併したのが4人という数字から算出したと答弁した。しかし、この時までに15〜39歳男性COVID-19罹患累積患者数は合計約16万人(SUN-TVが示した30万人は男女合計数)なので16万人を分母にすると100万人あたり25人と低くなる。

モデルナ製2回後は50〜100人/100万人

報道されていないが、実は接種者に生じた心筋炎の頻度も低すぎる。ワクチンの接種回数は2回が標準である。国立感染症研究所のデータでは、モデルナ製2回接種後の心筋炎は、10代では100万人あたり102人、20代は47人である。この頻度は、COVID-19罹患時よりもはるかに高頻度である。

ワクチンを打たず、COVID-19にも罹らなければ心筋炎罹患率はさらに低くなる。

データ操作する厚労省の審査は信頼できるか

問題が指摘されても、厚労省はパンフレットの記載を改める予定はないという。厚労省のデータ改ざんは今に始まったことではない。したがって、モルヌピラビルのデータ操作(本誌6月号)や、SGLT2阻害剤の背景因子の偏り、遮蔽不全の疑い3)を徹底的に検証して審査することを厚労省には期待できそうにない。

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