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中川日医会長スキャンダルで浮上した日医総研の〝闇〟

中川日医会長スキャンダルで浮上した日医総研の〝闇〟
パワハラ、論文の偏向、非医師だらけの研究員……

 週刊誌から毎週のように叩かれている日本医師会(日医)の中川俊男会長。そのきっかけを作った『週刊新潮』の記事では、日本医師会総合政策研究機構(日医総研、所長は中川氏)の女性研究員との〝寿司デート〟が報じられたり、中川氏が副会長当時の原中勝征会長に談判して女性研究員の年俸を日医職員で最も高給な1800万円に引き上げさせたりしたことが報じられている。

 厚生労働省からの天下りポストである日医の事務局長で年俸は約1500万円。日医の常任理事の本給が1416万円、副会長でも1740万円であり、女性研究員の厚遇ぶりがうかがえる。

 中川氏だけでなく、この女性研究員にも注目が集まる中、日医広報課から6月1日、日医総研の研究成果として「ワーキングペーパー」2本と「リサーチ・エッセイ」1本のリストが珍しく送られてきた。リサーチ・エッセイの作成者の名前は女性研究員だった。あえてこの時期に研究成果を送ってきたのは、スキャンダルを気にせず、研究を淡々と行っている姿勢を示そうとしているのか。

 しかし、日医の関係者の中には、今回のスキャンダル報道をきっかけに、日医総研の〝膿〟が出されることを期待している向きもある。その理由として、ある関係者は以下の問題点を挙げる。

①女性研究員によるパワハラ。女性研究員は「日医総研の女帝」と呼ばれ、嫌われた研究員は出世の見込みがなくなると囁かれ、辞めていった研究員もいる。

②中川氏と同様、女性研究員も医療政策に関しては保守的で、改革的な論文が通らない。

③医療政策を企画立案する組織なのに、医師がほとんどいない。理由として、文系の研究員だと抑えやすいのではないかと推測される。

④研究員の年俸が平均1400万〜1500万円と高過ぎる。日本最大手のシンクタンク・野村総合研究所の社員でさえ、平均年収は約1235万円(2020年3月期有価証券報告書から)だ。

 野村総研のように業務委託などで稼いでいるわけでもないのに研究員の年俸は高く、外部の医師等が務める「客員研究員」は無給で、名誉職的な立場に置かれているため、実質的な研究成果は不透明で分かりづらい。客員研究員に対するこのような対応は、日医と医師双方の単なる箔付けにすぎないように思われる。

 日医総研の設立目的に1つに「信頼できる正確な情報の提供」がある。女性研究員による〝専横〟がまかり通っているようでは、果たして「正確な情報」が提供されているのかが懸念される。

 医療政策に関して言えば、日医の中に「医療政策会議」があり、日医の3大会議の1つに位置付けられている。委員には都道府県医師会長が多く、議長にはこれまで、厚生労働省社会保障審議会委員等を務めた田中滋氏(慶應義塾大学名誉教授、埼玉県立大学理事長)や、中川氏の出身母体である北海道医師会の長瀬清会長が就き、現在は権丈 善一氏(慶應義塾大学商学部教授)が務めている。

 ある日医に詳しい医師は「権丈氏も医療政策に対しては保守的。医療政策会議の報告書もインパクトのある内容はほとんどなく、内向きの会議にしか見えない」と指摘する。

 コロナ禍で国民に自粛を求める一方で、自らは政治資金パーティーに発起人として参加したり、寿司屋で部下とデートを楽しんだりする中川氏。そのような人物をトップに選んだ日医は「学術専門団体」と自称しているが、国民目線から見ればご都合主義的な政治圧力団体にしか見えない。そんな団体が提言する、既得権益を守ろうとするかのような医療政策を、国民が納得するとでも日医は思っているのだろうか。

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