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第18回未来の会

日医次期会長選で「中川副会長擁立」の動きが急浮上

日医次期会長選で「中川副会長擁立」の動きが急浮上
倍政策にと横満募す会員


倉(義武)会長の4選で決まりとみられてきた日医(日本医師会)の次期会長選は、展開が全く読めなくなった」。地方医師会の幹部がこう語った。

 「かねてより横倉会長の多選を批判する声があったが、ここにきて中川俊男副会長を来年の会長選に担ぎ出そうという動きが急浮上している。中川氏本人もまんざらではないようだ」と言うのだ。

 反横倉派のベテラン医師が、急浮上した中川氏擁立の動きの背景について解説した。「横倉先生は、民主党支持に舵を切った原中勝征元会長の後を受けて会長となった。自民党支持に回帰させ、自民党からの不信感の払拭に力を注ぎ、関係改善を果たしたことは大きな実績と認めたい。だが、そのために安倍政権に譲歩し過ぎた。多くの日医会員は何でも安倍政権の政策に追随する姿勢に不満を募らせている」というのだ。

世界医師会会長「花道」に勇退論

 横倉氏と距離を置く別の地方医師会幹部は「多くの医師は『強い日医』の復活を望んでいる」と語る。「その点、中川副会長は相手が誰であろうとも、ひるむことなく堂々と正論を展開する。医療を取り巻く環境が大きく変わろうとしている今だからこそ、政府に対してもはっきりと日医の考えを主張出来る人物が会長になるべきだ」と続けた。

 これに関連して、別の反横倉派の医師は、7月5日の中央社会保険医療協議会(中医協、会長=田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)総会における中川氏の退任挨拶を高く評価する。「中川先生は中医協の委員を辞められる時、『このままでは日本の医療政策が、時々の権力構造におもねる形で決まっていきはしないか危うさを感じる』と語ったようだが、それはまさに我々の思いだ。この挨拶は『自分が会長になったならば、権力におもねるつもりはない』と宣言したようなものだ」と言うのだ。

 そして、「中川先生のこの退任挨拶は横倉会長を意識しての発言だろう。中川氏に強いリーダーシップを感じた会員は少なくないはずだ」と感想を述べた。

 こうした中、横倉会長の勇退論も出始めた。かつて日医の幹部を務めたベテラン医師は「横倉会長は世界医師会長にまでなった。押しも押されもせぬ〝大会長〟であることは誰もが認めるところだ。前回の会長選挙の前には手術もしている。世界医師会長を花道として、そろそろ若い世代にバトンを引き継いでもいいだろう」と世代交代を促す。

 こうした動きに対して、横倉支持派も黙ってはいない。横倉氏に近いベテラン医師は「世界医師会長をもっての勇退論というのは、一部の地方医師会幹部が思惑含みで流しているだけだろう。日医内の世論でそんなに広がりがあるとは思えない。むしろ、世界医師会長の職にある人を引きずり下ろして、内紛劇のようなイメージを世間に持たれたることを嫌う声の方が強い」と反論する。

 別の親横倉派の医師は「民主党支持に回って日医の信頼は大きく損なわれた。それをようやくここまで修復した。今、トップが交代して、強気一辺倒の中川氏が会長になったら、自民党とのパイプは再び途切れるだろう。誰にでも強気に責め立てる中川氏の後ろ盾となる政治家や厚労官僚は思い当たらない」と牽制する。

 横倉派のもう一人の医師も「高齢化で医療財政は厳しい。誰が会長になったとしても、政府や自民党との関係を構築していくことが難しい時代だ。横倉会長は安倍首相とのパイプの太さばかりがクローズアップされるが、決して安倍首相一辺倒ではない。自らいろいろな自民党の幹部を回って日医の政策に理解を取り付けてきた。では、現在の3人の副会長や、地方医師会の幹部で横倉会長に代わって自民党と渡り合っていける人物がいるのか。中川副会長を擁立しようとしている人達のように、日医が強気の姿勢を示せば、相手が引っ込むと思っているのなら、時代錯誤も甚だしい」と批判した。

 そして、「横倉会長は気力も体力も衰えていない。医療政策が極めて難しい局面にある中で、日医がゴタゴタしている場合ではない。少なくとも誰かにボストを譲る考えはないと思う。そんな話は聞いたことがない」と語った。

 ところが、中川氏擁立を模索する動きは、親横倉派の予想よりも速そうだ。日医の内情に詳しい関係者は「肝心の中川氏本人が態度表明をしたわけではないのに情報が先行している」と語る。「『中川氏サイドが大票田である大阪府医師会の協力を取り付けるべく、松原謙二・日医副会長に続投要請の考えを伝えた』とか、『東京都医師会の中川氏と近い人物にも協力要請を働き掛けている』といった情報が駆け巡っている」というのだ。

 ただ、別の関係者は中川氏の擁立に対して懐疑的だ。「票田の小さな北海道選出の中川氏の場合、大票田の支援取り付けが不可欠で、東京都医師会や大阪府医師会への協力要請があっても不思議ではない。潜在的な横倉批判票も少なくなく、日医内では知名度のある中川氏が立候補すれば、かなりの得票は期待出来るだろう。だが、勝てるかといえば、そうとは言えない。中川氏の強気の性格は、どうしても敵を作る。地元の北海道ですら大きく割れており、一枚岩で支持するとは限らない」というのだ。

会長選でしこり残れば日医は弱体化

 「既に一部の医療団体には、中川会長の誕生を阻止しようとの動きもある。石井正三・常任理事が反旗を翻した前回会長選では、徹底した

〝石井包囲網〟が形成された。横倉陣営は総力を挙げて〝中川潰し〟に出てくるだろう」と指摘した。

 こうした動きについて、自民党の厚労族議員はシビアに見立てる。「会長選挙をきっかけにしてしこりが残れば、日医は組織としての弱体化を招く。そうした状況を最も喜ぶのは安倍官邸であり、財務省であり、厚労省だ」というのだ。

 厚労官僚OBは「任期満了を待たずして中川副会長を中医協から外したことが、様々な憶測を呼んでいる」とした上で、「日医は武見太郎会長時代を忘れられないのだろうが、あれは日医が強かったのではなく、武見さんという傑出した人物の政治力があったからこそ発言力を持てたのだ。そこを勘違いすれば、日医は医療政策の決定メンバーから外されるだけだ」と言い切った。

 「一強」と言われてきた安倍政権の支持率が急落し、各支持団体が「ポスト安倍」との〝距離〟をどう詰めるのかを模索し始めた今、日医の動きもその一環なのか。

 横倉会長、中川副会長とも黙りを決め込む中で、思惑が先行する展開がしばらく続きそうでもある。いずれにしても、次期診療報酬改定の結果が、今後のシナリオを大きく書き換えていくことだけは間違いない。

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