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低迷する石破内閣支持率の先は

低迷する石破内閣支持率の先は

野党による連立政権を望む声と玉木首相誕生の可能性

石破茂内閣の支持率が低迷している。首相が当選1回の自民党衆院議員に1人10万円の商品券を配った影響で、報道各社の3月の世論調査は政権発足以降で最低を記録。その後もV字回復には至らず、ほぼ横這いを辿っている。

 本稿を執筆している4月時点で、世論調査を比較すると、読売新聞社が4月11〜13日に実施した調査では内閣支持率は31%。前月調査(3月14〜16日)と同じだった。少し時期をずらして実施された朝日新聞社の調査(4月19〜20日)だと30%で、前月調査(3月15〜16日)の26%よりやや上昇している。

 毎日新聞社が4月12〜13日に実施した世論調査では内閣支持率は24%。3月15〜16日の調査で記録した23%より1ポイント回復したが、ほぼ横這いと言っていい。日本経済新聞社とテレビ東京の世論調査も掲載しておくと、4月時点は33%で3月よりも2ポイント低くなっている。

 各社共に少しずつ異なった結果が出ているが、低迷している傾向に変わりは無い。永田町界隈で正確性が有ると信頼されている時事通信の世論調査を記しておくと、4月11〜14日に実施した調査では23・1%で、4・8ポイントも下落している。

 不支持率も高まっており、読売新聞は54%、朝日で56%、毎日だと61%、日経も60%に上り、軒並み5割を超えているのも特徴だ。支持しない理由は、読売の調査では「政策に期待出来ない」が最も高く35%で、「首相に指導力が無い」は19%、「自民党中心の政権だから」は18%を占めた。自民党の或る秘書は「商品券問題が響いて支持率が大きく低下した。高額療養費問題等で後手の対応を繰り返し、支持率の底が見えない」と指摘する。

 昨年10月の内閣発足時には、曲がりなりにも内閣支持率はそれなりに有った。例えば政権に批判的な朝日、毎日でも46%、読売では51%と5割を超えていた。それが朝日、毎日では20%台を記録する低迷ぶり。大手メディア関係者は「数々の言行不一致が影響しているのは間違いない」と明かす。

政権の枠組みで連立を望む声 

 ここに来て興味深いのは、一部のメディアが連立の枠組みに関する質問項目を世論調査に盛り込んでいる点だ。例えば、毎日では、今後の政権の枠組みとしてどの様な政権が望ましいかを尋ねた。最も多かったのは「野党による連立政権」が22%で、次いで「自公に国民民主党を加えた政権」が11%だった。「現在の枠組みを維持」は9%に過ぎず3番目だった。「自公に立憲民主党を加えた政権」と「自公に日本維新の会を加えた政権」は7%だった。「野党による連立政権」が最多だったというのは、与党に厳しい毎日の調査という点を差し引いても意外な結果だ。反対に「現在の枠組みを維持」が9%しか無く、少数与党による政権運営の不安定さに危機感を覚える国民が多い事を窺わせた。

 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)は4月19〜20日に実施した世論調査で、同様に今後の望ましい政権の枠組みについて尋ねている。その結果、「自民・公明両党に野党の一部が加わった政権」が48・3%で最も多く、続いて「現在の野党中心の政権に交代」が30・2%だった。現状の「自公両党による政権の継続」は13・9%に留まっている。保守系の産経の調査にも拘らず、自公政権の維持を望む人は少なく、政権の枠組みに変化を求める傾向の有る人が多い結果が浮き彫りになった。

  JNN(TBS系全国28局のニュースネットワーク)が4月5〜6日に実施した世論調査でも、望ましい政権の在り方について尋ねたところ、最も多かったのは「自公に新たな野党を加え連立を再編」が38%だった。次いで、「いまの野党を中心とする政権に交代」が29%、「少数与党の自民・公明の政権の継続」は最も少ない20%だった。

自公に国民民主党を加える枠組み支持多く

選択肢の設定が異なるので一概に比較は出来ないが、現在の自公連立政権の枠組みを支持する人は一部で、大多数の人は連立の組み替えを求めている傾向が明らかになった。中でも自公連立政権に一部の野党を加えた選択を求める人が多い。毎日の調査では、どの野党を加えるのが良いか選択肢を設けており、一番多かったのは参院選でも躍進が予想されている国民民主党を加える選択肢だ。

 政党支持率でも国民民主党の支持は高く、読売の4月調査では13%と、自民党の28%に次いで2番目に高い。付記しておくと、立憲民主党は6%で、公明党3%、れいわ新選組3%、日本維新の会2%、共産党2%、参政党1%、日本保守党1%だった。無党派層は37%を占めた。他のメディアでも同様の傾向で、毎日の4月調査では、参院選の比例代表の投票先を尋ねたところ、自民党と国民民主党は16%と並んでトップだった。

 連立の枠組みに話を戻すと、更に興味深いのは、何れの調査でも、自公の枠組みよりも野党連立政権の方が上回った点だ。それだけ今の政権の枠組みに閉塞感を覚えているという事だろう。或る大手紙記者も「永田町でも連立の枠組みの組み替えは真しやかに囁かれている」と明かす。

 永田町の一部で囁かれているのは、立憲民主党を加えた大連立構想だ。前述の記者は「石破首相と立憲民主党の野田佳彦代表は議論好きや政策通という共通点が有り、実は気脈が通じるのではないかと考えられている。首相も野党と組むなら野田代表と考えている節が有った。立憲民主党の幹部でも同様に考える人もいる。只、野田代表が時限措置とは言え消費税減税に舵を切ったので、やや不透明な状況にはなっている」と解説する。

玉木雄一郎首相誕生の可能性も浮上

 週刊誌を中心に賑わせているのが、国民民主党を加え、玉木雄一郎代表を首班指名するという構想だ。消費税減税の表明以降、立憲民主党の野田代表の評判が相対的に低下している反面、野心を隠さない玉木首相誕生の可能性は今後ますます現実味を帯びて来るかも知れない。

 野党連立という選択肢は有るのだろうか。衆院に於ける左派勢力の共産党(8議席)やれいわ新選組(9議席)と、保守系の日本維新の会(38議席)や国民民主党(28議席)が政権運営で協力するとは考え難い。仮に、立憲民主党(148議席)と日本維新の会、国民民主党が連立を組んだとしても過半数に足りず、立憲民主党から造反者が出る可能性も有る為、衆院の勢力図が変わらない現状では、この選択肢は非現実的と言える。

石破政権が一発逆転するには

 石破政権は連立組み替えを避け、V字回復を望めるのか。自民党関係者は「有るとすればトランプ関税での一発逆転だ」と声を潜める。相互関税は4月9日に完全適用が開始されているが、トランプ米大統領は国別に設定した上乗せ分を90日間停止するとしており、その期限を7月上旬に迎える。参院選の公示日は7月3日、投開票が7月20日と予想されており、この問題に上手く対処出来れば支持率の大幅な回復を見込める可能性は高い。

 只、トランプ米大統領との交渉は一筋縄では行かない可能性が高く、交渉役の赤沢亮正経済再生担当相の手腕も未知数と、不透明な点も多々有る。更に、米価やガソリン代の高騰等生活が苦しいと感じている国民も多いとされる。夏の参院選後は「ポスト石破」、「ポスト自公政権」を巡り、与野党間での駆け引きが激化する可能性が高い。

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