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未来の会

第41回 厚労省の屋台骨支える1992年組

第41回 厚労省の屋台骨支える1992年組
野村 知司・大臣官房総務課長

 昨年夏の幹部人事で、厚生労働省の枢要な部署に抜てきされたのが「1992年入省組」だ。旧厚生分野の各局で束ね役になる総務課長として「活躍」しているが、特に中心的な存在と言えるが、野村知司・大臣官房総務課長だ。

 野村氏は洛南高校、東京大法学部を経て、旧厚生省に入省した。医政局や社会・援護局等でキャリアを積んできたが、官邸や国会周辺での勤務が長い事で知られる。

 民主党政権時代には、岡田克也・副総理秘書官を務め、出世の登竜門とされる大臣官房総務課国会連絡室長を2年も経験した。2017年7月から1年間は、首相秘書官の下で官邸と厚労省とのパイプ役になる「官邸参事官」に抜てきされた。保険局国民健康保険課長を経て、昨年8月から官房総務課長に。あるキャリア官僚は「野村氏は説明能力も高く、経歴からして官房総務課長に適任だ」と話す。

 野村氏の下で働いた事もある職員は「そつなく仕事をこなすタイプ。永田町回りが長いだけあって、与野党ともに人脈は豊富だ」と話す。生粋の阪神ファンで、「酒が入ると関西弁が強くなる」(別の職員)という。永田町の秘書からも信頼が厚く、ある自民党厚労族の秘書は「フットワークが軽く、ソフトで頭の良い感じでやり手タイプ」と評判だ。ただ、「サバサバしているので、政策を熱く語る昔ながらの厚生官僚という感じはない」(別の秘書)という意見もある。

 今回抜てきされたのは野村氏だけではない。榊原毅・大臣官房人事課長や竹林悟史・老健局総務課長、竹林経治・健康局総務課長、込山愛郎・医薬・生活衛生局総務課長も「92年組」だ。ある幹部は「今回の人事で特徴の1つと言えるのは、92年組が枢要な部署に抜てきされた事だ」と話す。

 「92年組」とひと括りにしても、その評判は様々だ。東京大法学部出身の榊原氏は榊原記念病院の創設一家のエリート。医薬・生活衛生局生活衛生課長や内閣官房副長官補室での勤務を経て現職に。ただ、「人事情報の漏洩に気を使うあまり、省内の根回しが乏しい」(中堅キャリア)との批判もある。

 早稲田大法学部卒業の込山氏は、老健局振興課長、保険局高齢者医療課長等を歴任。仕事面での評判は良いが、元々酒癖が悪く、「飲むとハラスメントをする傾向がある」(中堅職員)という。

 一方、2人いる竹林氏のうち、悟史氏は灘高校、東京大法学部を経て入省したエリート。老健局介護保険計画課長や子ども家庭局保育課長等を経て現職に。「話は長いが、経緯から丁寧に説明する能力はピカイチ」(大手紙記者)。

 もう1人の経治氏も東京大法学部を卒業して入省した経緯は同じだが、地道に仕事をこなすタイプで、当人も「もう1人の竹林です」と謙遜しているという。健康局難病対策課長時代、ハンセン病患者への補償法を議員立法でまとめる際、裏方として尽力し、加藤勝信厚労相(当時)ら省内の評判を高めた。

 今後、それぞれ総務課長等を経て、審議官、局長と出世していくであろう「92年組」。人材豊富で優秀な世代とされており、将来的には紹介した中から事務次官を輩出する事になるかもしれない。

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