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未来の会

第102回 霞が関にも「第2の人生」多様化の波

第102回 霞が関にも「第2の人生」多様化の波

厚生労働省を退官した幹部の「セカンドキャリア」への意識に変化が生じている。社会保障や労働関連の公的団体に勤務するだけでなく、これ迄の経験を生かして稼ぎを重視する元幹部も出てきている為だ。高齢者でも働く世の中になり、更には物価や賃金が上昇しているのも影響していそうだ。

 所謂キャリア官僚でも全員が出世する訳ではない。事務次官や局長クラス迄出世するのは僅かだが、遅くとも課長級迄は昇進するのが通例だ。幹部として60歳前後で退官し、厚労省であれば、社会保障や労働関連の公的な関連団体、大手の生損保、大学等に再就職するケースが多い。決して年収は高くないものの、引き続き公的な性格を帯びた仕事を続ける事で、継続して社会に奉仕していると言えなくもない。只、或る程度出世しなければ、こうした再就職先を見つけ難い為、或る課長級の職員は「局長とは言わずとも、せめて審議官位迄は出世したい」と漏らす。

 こうした中、渉外能力が高い元幹部の内、稼ぎを重視する様な姿勢も目立ってきている。幹部になると離職後2年間は内閣人事局に就職先の届け出が必要だが、営利企業以外なら年103万円以下の報酬であれば届け出不要だ。例えば、昨年12月に公表された再就職先の届け出状況(同年7〜9月分)をみると、医務技監で退官した福島靖正氏は一般財団法人「日本公衆衛生協会」の代表理事(理事長)に、労働基準局長で辞めた鈴木英二郎氏は「全国社会保険労務士会連合会」の専務理事、大臣官房審議官(社会、援護等の担当)で退職した本多則恵氏は「日本司法支援センター」の非常勤理事と「飯田グループホールディングス」の社外取締役にそれぞれ就いているという。同年4〜6月分では、大臣官房↘審議官(医薬担当)で退官した山本史氏が「株式会社先端技術共創機構」の社外アドバイザー、同じ役職で辞めた吉田易範氏が千葉大薬学部客員教授に就任した事が報告されている(此処で取り上げた元幹部は別の時期に他の役職を報告している可能性も有る事を申し上げておく)。

 届け出をした上で複数の営利企業から報酬を得ている元幹部も見受けられる一方で、年103万円以下で複数の非営利的な団体から報酬を得るケース↖も増えてきているという。これ迄の経験や実力を評価され、各種団体から引っ張りだこになっているとも言えるが、こうした実態は外部からは見え難く、中堅職員の1人は「メインとなる収入源が有りつつ、複数の団体から『小銭』を集めるやり方で、相当な報酬を得ている元幹部が存在するのは確かな様だ」と明かす。或る幹部は「事務次官や局長に迄なったのであれば、民間企業等で稼ぐのではなく公的な分野で活躍して欲しい」とぼやく。

 この様な元幹部以外も含まれるが、現職の職員から評判が悪いのは資料の作成依頼等だ。別の中堅職員は「自分の講演等で使う資料の作成依頼が来たりする。更に自分の再就職先に絡んだ会合での講演依頼も有る。先輩なので断り難く、忙しい最中だと業務に支障を来し兼ねない」とこぼす。

 霞が関の中では、将来を見据えたり仕事の幅を広げたりする狙いで、一定の条件をクリアし正式に届け出をした上で民間企業と兼業する現職職員も出始めている。幹部で退官する国家公務員の第2の人生の在り方は今後、益々多様化していくかも知れない。

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