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第144回 「働き方改革」対応の診療報酬改定だが、現場からは「不十分」の声

第144回 「働き方改革」対応の診療報酬改定だが、現場からは「不十分」の声

 2020年度の医療の公定価格、診療報酬の改定案がまとまった。最大のテーマは長時間労働で疲弊する勤務医の「働き方改革」への対応で、24年度からの残業規制強化を受け、救急病院の人件費を手厚くした事等が柱だ。それでも、医療現場からは「不十分」と効果を疑問視する声が漏れている。

 地域で医療を支える勤務医のうち、1割は年1920時間以上と過労死ラインの2倍の残業をしている。厚生労働省は24年度から規制を強化し、原則は会社員らと同じ年960時間とする。ただし、急患の多い病院の勤務医や研修医は当面、年1860時間とする。

 今回の診療報酬改定は、あと4年で始まる残業規制強化への対応が焦点だった。このため、昨年末の改定率決定の際は、「医師の働き方改革への特例的な対応」として、本体部分を0・08%分上乗せして0・55%増とした。そして年明けに「地域医療体制確保加算」の新設を決めた。救急車やヘリコプターによる患者受け入れが年2000件以上あり、勤務医の負担軽減、処遇改善計画を作成している事等が算定出来る要件だ。病院側には1回の入院ごとに5200円が加算される。

 厚労省は全国で900程度の病院が該当し、約400億円が支払われるとみている。この加算分を使って新たに医師や看護師らを配置してもらい、医師1人当たりの労働時間短縮に結び付ける狙いがある。厚労省は「限られた財源の中で最大限の配分をした」(幹部)と言う。

 関東地区のある病院は、新設の地域医療体制確保加算を確保した場合、年間3000万円程度の増収になると試算している。ただ、この病院の関係者は「もちろん有り難い」としつつ、表情はさえない。地方に多い慢性的な人手不足の解消に繋がるとは思えないと言うのだ。「病床を減らしても生き残っていける仕組みを整備しないと、医師の報酬増だけでは一定の効果に終わる」と話す。

 厚労省幹部は「地域の他の医療機関との連携で残業を減らした病院だってある。努力不足の医療機関も多い」と反論する一方で、病床再編や医療機関の役割分担を明確にする事が不可欠であるのは重々承知している。今回の改定でも、患者7人に看護師1人が付く最も報酬が手厚い「7対1病床」の算定要件を強化した。来年度からは、重症入院患者の割合(現行要件30%)を31%に引き上げないと算定出来ない。計算上は3割程度の患者が「7対1」からより報酬の低い「10対1」に移る事になるという。

 だが「7対1」の削減に向けては、診療報酬改定ごとに手を打ってきたにもかかわらず、依然7対1病床は当初想定の10倍、約35万6000床ある。費用負担側の委員は「31%ではまだ甘い」と批判し、「もっと引き上げないと患者の移動は起こらない」と指摘する。

 勤務医の負担軽減策としては、紹介状なく大病院の外来に訪れた患者から、初診時に5000円以上の負担上乗せをする制度の金額を引き上げた上で対象病院を広げる方針も打ち出した。現在の「400床以上」という対象病院を「200床以上」に広げる方針だが、病院団体等の反発は強い。

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