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「民泊の推進と規制」を巡り国と自治体で温度差

「民泊の推進と規制」を巡り国と自治体で温度差
地域住民に配慮した条令で民泊法は厳しい船出

マンションや自宅などの空き部屋に観光客らを有料で泊める「民泊」を条件付きで全国的に解禁する住宅宿泊事業法(民泊法)に関する登録・届け出の受付が3月15日に始まった。

 民泊法は6月15日に施行予定で、事業者が随時届け出れば、年180日を上限に営業が解禁される。

 ただ、民泊は増え続ける外国人観光客を受け入れる態勢整備の起爆剤になると期待される一方、自治体は周辺住民の住環境に悪影響を及ぼす可能性があることなどから独自規制を強めている。

 これまでは旅館業法で許可を得るか、大阪市などの国家戦略特区内に限ってのみ民泊営業が可能だった。

 しかし、違法な「ヤミ民泊」が全国に広がり取り締まりが難しいことなどから、政府はルールを作って合法化し、届け出た事業者には指導や監督が行えるように整備する方針に転換。民泊法が昨年成立し、都道府県などに届け出ることで認められることになった。

 事業者には宿泊者名簿の作成やチェックイン時の本人確認などが義務付けられることになり、都道府県は営業停止などを命じることができ、無届け営業の罰則が強化された。

 登録・届け出が始まった3月15日には、自治体に届け出たり、相談したりする人の姿が見られた。都内の区役所では「東京は外国人に人気がある。外国人をもてなすために、民泊に関心があった」と話す人もいた。

 政府は東京五輪・パラリンピックが開催される2020年に外国人観光客を4000万人に増やす目標を掲げており、官民挙げてインバウンド(訪日外国人客)事業を推進している。03年時点では約520万人だった訪日客数は17年には2870万人に上り、過去最多を記録した。

 その一方で、宿泊施設の整備が訪日客の増加スピードに追い付いていない。特に東京や大阪などの都市部で、ホテルの予約が取りにくい状況が続いている。

 17年7〜9月に訪日した外国人の1割超が民泊を利用していたとのデータもある。民泊を解禁することで、受け入れ態勢の整備に繋げたい、との思惑が政府内にある。

 ただ、独自の規制を検討する自治体も出てきた。都道府県と政令指定都市、東京都23区、中核市などは条例で民泊営業を規制できるが、観光庁の調べで、こうした自治体150のうち44自治体で営業区域や期間などを規制する条例を制定していることが判明した。

 このうち、神戸市や東京都大田区などは住宅専用(住専)地域での営業を年間通じて禁止する方針である。新宿区は住専地域、目黒区や中央区では区内全域で、それぞれ平日を中心に営業を禁止。京都市の住専地域では、家主居住型施設や町家を活用する場合は通年で営業を認めるが、それ以外は観光閑散期(1月中旬〜3月中旬)に限定する。

 ある全国紙の経済部記者は「騒音やゴミ出しなどを巡り、これまでのヤミ民泊で近隣トラブルが多かったことに加え、既存の旅館業者らの反発もあり、こうした規制に乗り出しているのではないか」と話す。

 政府の思惑通りに、ヤミ民泊を取り締まり、利便性の高い地域で健全な民泊事業者のみが育成できるかなど、民泊がスムーズに動き出すか不透明な部分は多そうだ。

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